PGTの用語2

ヒトは37.2兆個の細胞によって構成されてます。個々の細胞の核には、23対46本の染色体が格納されています。

ヒト染色体

23対46本の染色体というのは、父親から23本の染色体が、母親から同じ23本の染色体を受け継いで、合計で23対46本の染色体となります。染色体はサイズの大きいものから順に番号 (1番染色体、2番染色体など) が付いていて、1-22番の常染色体と、性別を決める性染色体 (XとYで、男性はXY、女性はXX)によって構成されます。最も大きな染色体は1番染色体で、約2,489,600bp(A,C,G,Tの塩基が250万個も並んでいます)のサイズを持ち、5,485個の遺伝子が載っています。一方で最も小さい染色体は21番染色体で、467,100bpのサイズで、827個の遺伝子しかありません(リファレンスGRCh38.p14)。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/genome/?term=txid9606[orgn]

染色体異常とは、染色体数に過不足が生じたり、構成に変化が起きることです。染色体異常の結果、遺伝子量に変化が起きると、流産や先天奇形、発育異常の原因になります。PGTの用語1で参照しました論文には、PGTだけでなく、PGTの際に用いられる染色体や染色体異常の用語についても記載がありましたので、まとめてみたいと思います。

Diploidy/Euploidy: 1つの細胞が2組の染色体を持つことで、ヒトの場合ですと、2倍体胚は22対44本の常染色体と2本の性染色体を持ちます。
Aneuploidy: 染色体の本数が正常ではない状態をいいます(つまり異常)。日本語ですと異数性と言います。ヒト場合、46本以外の状態を言い、大半の異数性を持つ胚は、着床や妊娠せず、もしくは流産になります。
Complex aneuploidies: 2本以上の異なる染色体で本数の異常が見られる状態を言います。
Monosomy: 1対2本の染色体のうち、1本が欠けた状態です。常染色体モノソミーを胚のほとんどは、着床や妊娠しません。21番染色体のモノソミーのみが流産症例で見られることがあります。
Trisomy: 染色体が通常の2本ではなく3本存在する状態です。常染色体トリソミーを持つ胚のほとんどは、着床や妊娠せず、もしくは流産になります。13, 18, 21番染色体のトリソミーのみが出生に至ります。
Polyploidy: 3倍体の胚(Triploidy)は69本の染色体を持ち、4倍体の胚(Tetraploidy)は92本の染色体を持ちます。大半の倍数体を持つ胚は、着床や妊娠せず、もしくは流産になります。
Mosaicism: 1つの胚から2つ以上の核型が生じる状態。例えば染色体を46本持つ細胞と45本持つ細胞が混在している状態のことです。

参考論文
Zegers-Hochschild, F. et al. The International Glossary on Infertility and Fertility Care, 2017. Fertil Steril 108, 393–406 (2017)

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