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【プロマネ講座】会社により異なるプロジェクト計画書とPMBOKの関係
本noteでは、プロマネ講座として「プロジェクト計画書は会社により異なる」ことを説明します。記事の分類としては「プロジェクト統合マネジメント✕基本概念」です。
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なお初めての方はこちらの記事からお読みいただくことをオススメします。
プロジェクトマネジメント講座の全体像
◆変更履歴◆
2024.06.11 初版公開
プロジェクト計画書は会社により異なる
本noteで最も伝えたいメッセージがこれです。これが理解できている人は、もうここから先は読まなくても大丈夫なくらい今回はこの話しかしません。
なぜこれが一番のメッセージかと言うと、プロジェクト計画書ってプロジェクトマネジメントの世界では非常によく聞くドキュメントで、いかにも公式っぽい響きもあり標準化もされてそうな雰囲気があるため、
『プロジェクト計画書とはこんな目次のこういうものがスタンダードだ!』
という思い込みが発生しやすいからです。しかし実際は、顧客と自社で異なりますし、IT会社同士でも内容が異なることも少なくありません。そのことを理解できていないと、
顧客『じゃあまずはプロジェクト計画書を作ってもらえますか』
PM『いや、現状だと情報が不足して作れませんよ』
顧客『え、そうなんですか?
他のプロジェクトだとこのタイミングで作りますよ』
PM『え、だって要件定義終わってませんよ』
なんていうすれ違いを現場で続けることになります。ネットでプロジェクト計画書の目次を検索してみても、自分が求めるものとは何か違うものが数多くヒットするのも、「プロジェクト計画書は会社により異なる」ことが原因だと思われます。
PMBOKにプロジェクト計画書というアウトプット定義はない
『会社によりそんなバラバラなはずがない!』『PMBOKではどうなっているんだ!』という声が聞こえてきそうですが、PMBOKにはプロジェクト計画書というアウトプット定義はありません。現場でよく見るプロジェクト計画書と類似の内容でアウトプット定義されているのは、プロジェクト憲章とプロジェクトマネジメント計画書になります。
以下の表は、書籍【「プロジェクトマネジメント」実践講座】の解説内容を筆者が表にまとめたものです。目次と内容を見ると、自分がプロジェクト計画書だと思っていたドキュメントが実はプロジェクト憲章だったり、プロジェクトマネジメント計画書だったりする方もいるのではないでしょうか。
プロジェクト憲章
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プロジェクトマネジメント計画書
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プロジェクト計画書は大きく分けて3種類
PMBOKのアウトプット定義には存在しませんが、システム開発の現場ではプロジェクト計画書が存在します。実際に現場でよく使われているプロジェクト計画書ですが、その内容や用途で分けると大きく3種類に分類することができます。
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【タイプA】プロジェクトサマリ型
プロジェクトの目的や期待される結果、費用対効果、必要資産を含む
PMBOKでいうプロジェクト憲章とほぼ同じ内容
企業内でプロジェクトを正式承認するために使用(承認されると要件定義に着手可能)
主にプロジェクトオーナー企業で作成
全内容がプロジェクトメンバー全員に共有されるわけではない(ビジネス戦略や費用対効果は協力会社メンバーには非公開)
【タイプB】マネジメント計画型
品質/コスト/スケジュール等の具体的なマネジメント計画を含む
PMBOKでいうプロジェクトマネジメント計画書とほぼ同じ内容
システム開発プロジェクトをマネジメントするために使用
主にシステム開発を請負うIT会社で作成
全内容がプロジェクトメンバー全員に公開される
【タイプC】ミックス型
プロジェクトサマリ型とマネジメント計画型の両方の内容を含む
最初は企業内でプロジェクトを正式承認するためのドキュメントとして作成、その後プロジェクトのフェーズが進むにつれて各種マネジメント計画が追記・更新されていくケースが多い
プロジェクトの正式承認、および、システム開発プロジェクトをマネジメントするために使用
主にプロジェクトオーナー企業で作成
全内容がプロジェクトメンバー全員に共有されるわけではない(ビジネス戦略や費用対効果は協力会社メンバーには非公開)
プロジェクト計画書の作成タイミング
内容と用途を説明したのでだいたい想像がつくかもしれませんが、プロジェクト計画書の作成タイミングをタイプ別に説明します。
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【タイプA】プロジェクトサマリ型
プロジェクトの立上げフェーズ(企画/調査/プロジェクト定義)で作成
組織内で正式承認されたら後続フェーズ(要件定義)に着手可能
【タイプB】マネジメント計画型
要件定義をしながら作成し、要件定義終了とともに完成
この計画をよりどころとしてプロジェクトのマネジメントが実施される
【タイプC】ミックス型
プロジェクトの立上げフェーズ(企画/調査/プロジェクト定義)で作成
組織内で正式承認されたら後続フェーズ(要件定義)に着手可能
要件定義をしながら必要箇所の追記・更新を行う
この計画をよりどころとしてプロジェクトのマネジメントが実施される
すれ違いを防ぐために違いを知る
ここまで読んでいただいた方には、冒頭に記載した会話のすれ違いの原因がわかったかと思います。
顧客『じゃあまずはプロジェクト計画書を作ってもらえますか』
PM『いや、現状だと情報が不足して作れませんよ』
顧客『え、そうなんですか?
他のプロジェクトだとこのタイミングで作りますよ』
PM『え、だって要件定義終わってませんよ』
顧客側のプロジェクト計画書は【タイプA】プロジェクトサマリ型で、PM側のプロジェクト計画書は【タイプB】マネジメント計画型だった、ということですね。
今回は大きく3分類としましたが、実際の現場では会社ごとにもっと多くのバリエーションがあります。違いがあることを知っているだけで、無駄なすれ違いを防ぐことができますので、プロジェクト計画書について顧客や他社の方とやり取りするときは注意するようにしてください。
プロマネ講座のプロジェクト計画書
プロマネ講座で作成方法を解説していくプロジェクト計画書は、システム開発を請負うIT会社が作成することが多い【タイプB】マネジメント計画型を予定しています。品質、コスト、スケジュールについて個別の計画作成の解説をした後に、プロジェクト計画書の作成について、それぞれ別noteで解説したいと考えています。
参考書籍/参考サイト
「プロジェクトマネジメント」実践講座(伊藤大輔(著)、日本実業出版社)
通勤大学 図解PMコース1 プロジェクトマネジメント 理論編 第3版
PMBOK対応 童話でわかるプロジェクトマネジメント
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