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AI・ディープラーニングの基礎知識を問われるG検定の勉強方法をご紹介

2024年9月7日に実施された日本ディープラーニング協会(以下、JDLAと記載)のG検定に合格することができました。本noteではその勉強方法や本番試験の対策などを紹介します。これらの情報がこれから試験合格を目指す方の参考になれば幸いです。


G検定の概要

AI・ディープラーニングの活用リテラシー習得のための検定です。ディープラーニングをはじめとする、 AIに関する様々な技術的な手法やビジネス活用のための基礎知識を有しているかどうかを検定します。
・試験時間:120分
・出題形式:知識問題(多肢選択式)
・出題数:160問程度 ・オンライン実施(自宅受験)
・2024年は6回開催(1月、3月、5月、7月、9月、11月)
・費用:一般:13,200円(税込)学生:5,500円(税込)

JDLA G検定紹介資料_20240924.pdf/G検定試験概要より抜粋 

G検定とはAI・ディープラーニングについての知識を問われる検定試験です。G検定のGは「General/Generalist」のGで、AIやディープラーニングをビジネス活用するビジネスサイド向けの内容になっています。

なお開発者向けには、E資格というエンジニア向けの検定試験も用意されています。E資格では「ディープラーニングの理論を理解し、適切な手法を選択して実装する能力や知識」が問われます。

オンライン試験だからこその特徴

G検定は自宅で受験するオンライン試験です。カメラによる監視などもないオンライン試験ですので、試験中に手元のテキストも見放題、Google検索し放題なのですが、それでも検定試験として成立するように「問題数と時間」が設定されています。

こちらのJDLA公式動画の中でも19分55秒からその点が説明されています。
・試験はオンラインでやりたかった
・そうなると手元に資料がある中で受けてもらう試験になる
・本当にわかっているかどうかは1問30秒くらいでパッと答えられるか
・制限時間の中でたくさんの問題を解いてもらう形式となった

ですので、これからG検定の対策をされる方は、以下特徴を理解したうえで勉強の計画をたてていくとよいかと思います。

  • 本番では120分で200問近くの問題を解く

  • 1問あたり30~40秒で回答していかなければならない

  • わからない問題はテキストを見てもよいが時間がない、そのためキーワード検索できるチートシートを用意する(詳細は後述)

  • 本番試験における体感的な解答方法の割合としては以下

    • 50%→保有知識で解答

    • 30%→チートシートを使用して解答

    • 10%→チートシートになくGoogle検索して解答

    • 10%→それでもわからず勘で解答

  • 「保有知識で解答」できる問題は15~20秒くらいで解答し、チートシートを使用しないといけない問題や、さらにGoogle検索しないといけない問題のための時間を確保しなければならない

  • 「保有知識で解答」できる問題が50%以下になると、おそらく全体として時間不足となる。即答できる問題を増やすために試験対策が必要。チートシートが使えるからといって勉強不要なわけでは決してない。


合格ラインは非開示

G検定では総合得点率、設問個別の正解・不正解、合格ラインなどは全て非開示となっており確認することはできません。試験を受けた後、2週間程度するとJDLAから合否通知メールが送られてくるのですが、そのメールには試験の合否と、以下のような試験分野別の得点率が記載されています。

1.人工知能とは. 人工知能をめぐる動向. 人工知能分野の問題:100%
2.機械学習の具体的手法:65%
3.ディープラーニングの概要:80%
4.ディープラーニングの手法:77%
5.ディープラーニングの社会実装に向けて:100%
6.数理・統計:83%
7.法律・倫理・社会問題:75%

私の合否メールに記載されていた試験分野別の得点率

試験に合格された方はこのメールのキャプチャをXにポストすることが多いのですが、それらを見ていると皆さん大体平均して70%以上は正解できているようです。ですので、あくまでも目安ではありますが、だいたい正解率70%というのが勉強するうえでの目標ラインと考えてよいかもしれません。

勉強開始時点の知識量はほぼゼロ

勉強方法や期間・時間が参考になるかどうかの目安として、勉強開始時点の私の知識量を説明しておくと、ほぼゼロに近い状態だったと思います。これまでAIやディープラーニングに関わるような仕事をしたことはなく、過去に趣味の範囲で入門書を数冊読んだ程度でした。キーワードは聞いたことがあるけれど中身の説明まではできないといったレベルです。

勉強期間と勉強時間

日別の勉強時間

G検定向け対策の実績数値はこちらです。
 勉強期間:10日間
 勉強時間:19.6時間

ただこれは期間としても短かったし、時間も少なかったと自分では考えています。全然余裕がなかったし、やろうと思っていた対策もすべて終わらなかったし、知識が十分身についたわけではないのに運よく試験に合格してしまったという感触でした。これから勉強する方はもっと期間に余裕を持ち、十分な勉強時間を確保できるように計画したほうがよいと思います。

勉強期間が短い言い訳(このブロックは読まずに飛ばしてもOK)

実はG検定受験を決めたのは本番1週間前で、それまではAWS MLS(Machine Learning - Specialty)の受験対策をしていました。MLSの模試を受けたところAWSサービス以前に機械学習分野がボロボロだったため、MLSの試験対策としてもよく使われているG検定公式テキストを購入したのがG検定受験のきっかけでした。

テキストを読み始めて「そういえばG検定の試験っていつだろう?」と調べてみたところ1週間後が試験本番でした。どうせMLS対策として1週間くらいでテキスト終わらせるつもりでしたし、それなら今回G検定もついでに受けておこうかなと勢いだけで申込みをしたため、勉強期間は10日間しかとれなかったというのが実情です。その後コロナ陽性となり、貴重な10日間のうち2日間ほどは高熱で勉強できず、勉強時間も不足する結果となりました。


使用教材と勉強方法

教材の使用期間

1.公式テキスト1周目(4日間で9.7時間)

まずは公式テキストを頭から読んでいきます。各章を読み章末問題もやります。知識ゼロから勉強をスタートしているため初めて目にするキーワードばかりであり、最初から全部覚えようとしても絶対できません。テキスト1周目で目指すのは「あ、この単語なんか聞いたことがあるけどなんだったっけ?」のレベルです。そのくらいの気楽さで、まずは時間をかけずに1周してしまったほうがトータルの効率はいいのではないかと思っています。

なお、私は勉強するときに蛍光ペンでテキストに線を引くのが大好きなのですが、テキスト1周目では絶対にやりません。なぜなら「問題演習をしていないのでテストに出るポイントがわかっていないから」です。自分が大事だと思った箇所がテストにでるわけではないですからね。問題演習や模試の復習時や、一通り問題演習をやって知識を定着させるためにテキストを読み直すときになってようやく蛍光ペンを使うようにしています。

公式テキスト1周目にかけた時間と章末問題の正答率はこちらです。各章を読んだ後すぐに章末問題をやっているので正答率は全体的に高めですが、第6章ディープラーニングの応用例がひどい結果になっています。ボリュームも多く時間もかかったのですが、1周目では説明を読んでも何を説明されているのかわからずしんどかったです。


2.スマホアプリで問題演習(2日間で4.9時間)

問題演習にはSkillUpのG検定対策アプリを使いました。移動中やすき間時間にも進めたかったので、数問ごとに答え合わせと復習ができるタイプのものを探してこれになりました。問題数は320問です。これは時間を見つけてガンガン進めていくだけです。解説が少しあっさりしているので、解説以上に理解したいときは公式テキストの該当箇所を読み直して理解を深めたりもしました。

そしてこちらが各ユニットにかかった時間と正答率です。サクサク進めることができるので時間はそれほどかかりません。やはりボリュームが多く覚えることがたくさんある「ディープラーニングの概要」「ディープラーニングの手法」で苦戦していることが正答率からもわかります。

そして「このままじゃまずい!もっと問題をやりこまないと!」と思い焦って追加購入したのが次の問題集です。

3.さらに追加の問題集をやりこむ ⇒実施できず

焦って追加購入したこの問題集ですが、コロナによる高熱でまったく手をつけることができず本番前日をむかえることになります。

残り1日でこの問題集に着手するよりも、公式テキストを再度読み込んだほうがいいはずだと方針転換し、この問題集をやるのは断念しました。

4.公式テキスト2周目(本番前日+当日で4.8時間)

公式テキストの2周目です。1周目で章末問題をやったりG検定対策アプリでたくさんの問題をこなしているため、何がどのように問われるのかがなんとなくわかった状態になっているはずです。そのため本番で出題されそうなキーワードに蛍光ペンで線を引いたり、しっかりと説明を理解するように読み込んでいきます。私の場合2周目は、もう時間がない状態だったので章末問題はやらず、ただただ集中して読んでいくだけになりました。

5.チートシートの準備

チートシートも自分で準備する時間はなく、ネット上に公開されているものの中から自分の好みにあったものを選ぶだけになりました。改ページやリンクで別ページに飛ぶようなタイプだと試験本番で時間がかかってしまうので、1ページにキーワードとその意味がすべて網羅されているものを選びました。あとは最新の問題にも対応できるようになるべく最近作成されたものですね。使わせていただいたのはこちらのサイトです。


試験本番の様子

試験が始まると時間との勝負です。最初に全体の問題数を確認し、30分ごとに何問目まで解答できていないといけないのかペース配分を考えました。私がうけた時は190問以上だったので、30分50問を目安に解答していきます。途中ペースが遅れることもあり焦りましたがなんとか巻き返し、最後の問題に解答したときには残り時間1分40秒となっていました。そのため見直しをする時間はほとんどありませんでした。

前述もしましたが、チートシートはフル活用して解答しています。再掲すると解答の仕方の割合はこんな感じです。

  • 50%→保有知識で解答

  • 30%→チートシートを使用して解答

  • 10%→チートシートになくGoogle検索して解答

  • 10%→それでもわからず勘で解答

問題には後で見直すようにチェックをつけることができますが、どうせ見直しをする時間は取れないだろうと思い、勘で解答した自信のない問題にだけチェックをつけておくようにしました。最後に数えたら14問にチェックがついた状態だったのですが、190問以上やって自信のない解答が14問だったので、試験が終わった時には「あれ、これは合格しちゃうかも」という手ごたえでした。結果は以下の通りで正答率も悪くなかったので、ほぼ手ごたえどおりの結果になったと思います。

1.人工知能とは. 人工知能をめぐる動向. 人工知能分野の問題:100%
2.機械学習の具体的手法:65%
3.ディープラーニングの概要:80%
4.ディープラーニングの手法:77%
5.ディープラーニングの社会実装に向けて:100%
6.数理・統計:83%
7.法律・倫理・社会問題:75%

私の合否メールに記載されていた試験分野別の得点率


最後に

最後までお付き合いいただきありがとうございました。今回は対策期間が短かったり途中コロナで勉強できなかったりと、決して計画的な進め方ではなったのですが、なんとかG検定には合格することができホッとしています。これからG検定を受ける方向けに少しでも参考になる部分があるように、テキスト別の勉強時間や正答率など出来る限り詳細な情報を共有させていただきました。何かお役に立てる情報があったならば幸いです。

もし本noteをお読みになり追加の質問や相談があればこちら(コーヒー好きのPM)のアカウントまでお知らせください。いただいた質問や相談は時間のゆする限り対応したいと思います。

以上、ありがとうございました!

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