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タイでコンサート三昧(ライブ回想録)-その4:スナーリー、リウ、イン

【Place4】2010年6月13日:プムプアン追悼コンサート@ドゥシット動物園(カオディン)

前日の怒涛の3ヶ所連続コンサートから1夜明け、この日はいよいよプムプアン・ドゥアンヂャンの命日である。

前日から案内してもらっているSさんからも、プムプアンの命日なので、彼女が祀られているスパンブリーのお寺「ワット・タップグラダーン(วัดทับกระดาน)」に行こうという話を受けていて、僕もそれを了承していた。

そのお寺では毎年、この命日の前後1週間ほどぶっ続けでコンサートが行われる。毎日たくさんのゲスト歌手が来てプムプアンの歌を歌って彼女を偲ぶのだが、6月13日は特に重要な日なので大物歌手が来るらしい。

ただ、コンサートが始まるのは夕方からなので、そんな早く行っても仕方ないのだが、僕が初めて行くという事もあり、わがままを聞いてもらって昼頃に車でバンコクを出発した。

ワット・タップグラダーン(この写真は2011年に訪れた際に撮影したもの)

お寺があるスパンブリーのソーンピーノン郡へはバンコクから車で約2時間で到着した。入り口から本堂へ向かう道には屋台がびっしりと並んでいて、これを見ただけでも夜の賑わいが想像できる。

まず本堂へ向かい、プムプアンにお祈りをする。その後、遅い昼食をとり、Sさんが今日のコンサートの出演者を確認してきてくれた。しかし、この日の出演歌手はどうもいまいちパッとしないメンツだったようだ。

今は6月13日の命日というと、Grammy Gold所属の歌手が多数訪れて、ステージで歌う日になっているのだが、まだこの頃はそういうのはなかった。

そこで、このまま夜まで待ってもここでコンサートを観ても良いが、バンコクの方では同様のプムプアン追悼コンサートが今日も行われているという事をSさんが教えてくれた。しかも、そちらの方がメンバー的に豪華だという。

せっかくスパンブリーまで来て、このまま帰るのはもったいない気もしたが、あまり渋すぎる歌手ばかりでも退屈してしまうかもしれない、という事を考え、Sさんと相談した上で、今回はバンコクへ戻ることにした。

断腸の思いでスパンブリーを後にし、向かった先は、今は無きドゥシット動物園(通称:カオディン)だった。2018年に惜しまれながら80年の歴史に幕を閉じたこの動物園。園内の一角にイベントスペースがあり、コンサートはそこで行われるようだ。

リハーサル中だったドゥシット動物園内のステージ

このコンサートも前日の7Cコンサートやウェーティータイのようにテレビ番組の公開放送だった。到着した時にはリハーサルが行われていて、とりあえず席を確保して、少し園内を周ってみた。

ドゥシット動物園の園内地図
タイで一番古い動物園だったという

正直、園内はこれといった目を引く場所もなく、少し歩いてすぐに飽きてしまった。これだったら、リハーサルを観ている方が楽しいかなと思い、再びステージのある場所へ戻ってきた。

リハーサルを観ていると、やはりこの番組もこの日はプムプアン・メモリアルのようで、出演歌手は彼女の曲を歌っていた。ちなみにこのコンサートはTV5の音楽番組で「ルークトゥン・トートーボー5(ลูกทุ่ง ททบ.5)コンテスト」というらしい。

番組「コンサート・ルークトゥン・トートーボー5・コンテスト」のロゴ

この日の出演歌手が誰なのか、詳しく聞いていなかったのだが、リハーサルを見ていて驚いた。なんと、あのスナーリー・ラーチャシーマー(สุนารี ราชสีมา)が現れたではないか!スナーリーと言えば、まさにプムプアンと同じ時代から歌っている歌手である。

彼女が歌う姿を生で観る事が出来る、というだけでも、ここに来た価値がある。

まさか観る事が出来ると思わなかったスナーリー

スナーリーは今も元気に歌だけでなくタレント活動もしているので、今となってはそれほどありがたがる事もないかもしれないが、1週間に満たない観光で訪れた者にとっては、間違いなくラッキーだった。

スナーリーの他の出演歌手は、リウ・アヂャリーヤーとイン・ティティカーンという前日にあった二人。それと、写真向かって右端の小柄な女性は、この番組のコンテストで優勝した人らしい。

この日の出演歌手

リハーサルがひと段落したので、前日2ショット写真を失敗してしまったイン・ティティカーンにもう一度写真をお願いしようと、バックステージに行ってみると、そこには何とプムプアンのひとり息子であるペット君の姿があった!

プムプアンのひとり息子ペット

今は30歳を超えて、だいぶ大人っぽくなったペット君であるが、この時はまだ23歳だったので、若干子供っぽさが残っているのが写真を見てもらっても分かるだろう。

女性歌手陣は本番に向けてメイクの真っ最中だった。

メイクが終わった頃を見計らって、2ショット写真をお願いした。インとリウは前日に既に撮ってもらっていたが、せっかくなのでこの日も写真を撮ってもらった。

そして、やはりスナーリーとは撮ってもらわないと、という事で、タイ人ファンが殺到する中、なんとか2ショット写真を撮ってもらう事が出来た。この後、スナーリーと写真を撮る機会には未だ恵まれていないので、これは本当に記念の1枚となっている。

まさかのスナーリーと記念の2ショット

本番が始まる直前、司会者のDJケンドーがなぜか蛇を首に巻いて遊んでいた。動物園だったから、という事なのだろうが、どこから連れてきたのか。ただ、この蛇を本番で使ったどうかは覚えていない。

蛇を首に巻く司会のDJケンドー

いよいよ本番が始まったが、トップバッターは何と今回の出演者の中では最も大御所のスナーリーだった。

彼女も2009年にGrammy Goldが制作したプムプアン・トリビュートのアルバムに参加していたので、その中からの曲を歌っていた記憶がある。

トップバッターはスナーリー

スナーリーの後はリウ、インと続き、コンテストで優勝した女性は最後に「ナックローン・バーンノーク」を歌っていた。

イン・ティティカーンがプムプアンの何の曲を歌っていたのか覚えていないが、彼女がプムプアンの曲を歌うのをこの時初めて聴いたので、自分にとってはとても新鮮だった。そして、改めて巧い歌手だと気付かされた。

リウ・アヂャリーヤー(หลิว อาจารียา)
イン・ティティカーン(หญิง ธิติกานต์)
コンテストで優勝した歌手(名前は失念)
女性歌手陣が勢揃い

女性歌手が一通り歌い終わった後、全員がステージに揃い、簡単なトークが行われた。そして、その後に登場したのが、プムプアンの息子ペット君。

やはりプムプアンの息子という理由からか、どの出演者よりも人気があった。確かに男前だし、性格も良さそうなので、ルークトゥン・ファンの中心であるおばちゃん達にとっては可愛いのだろう。

今はペット・プムプアンと名乗っている
ペットと司会者のDJケンドー

この後、スナーリー、リウ、インがそれぞれもう一度ステージに登場し、歌って番組が終了。

そして、お決まりの本番後のボーナス・ステージが始まった。この時はリウとイン、そしてコンテスト優勝歌手が再登場して歌った。やはりここでも、本番よりも断然盛り上がって、タイのコンサートらしさを満喫できた時間だった。

本番時の行儀良さはどこへやら。立ち上がって踊りまくる観客。

スナーリーと会えた事はもちろんだが、ドゥシット動物園がこの後無くなってしまった事も考えると、この時のコンサートはこれまで沢山体験したコンサートの中でも特に貴重なものとなった。


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