【タイ・音楽の旅2023】2日目:ゲーム(ヂュンラホーラーン)の魅力に惚れ直した夜
2023年10月22日
前日降っていた雨も上がって、昼間は誰もが想像する日差しと暑さになったバンコク。
この日はチョンブリーの県庁周辺で「水牛競争まつり」に関連するイベントが行われており、そこで今、ツアーしているヂュンラホーラーン(จุลโหฬาร)のヴォーカル・ゲーム(เกมส์ สุจิตรา)とタイ・ドゥーン・レン(ไทเดินเล่น)というバンドが来るという情報を得ていたので、チョンブリーへと向かう事にした。
パタヤへ行くなら大型バスを利用するのも可能だが、チョンブリー県庁はバンコクから行くとパタヤの少し手前で降りなければならないので、ロットゥー(乗合バン)を使う事にした。
チョンブリー方面へ行くロットゥーはバンナー交差点あたりから出ているはずだが、もしかしたらエカマイのバスターミナルに移動している可能性もある。たとえバンナーから出ていたとしても、チョンブリーへ行くにはシーナカリンからは逆方向になる。そこで、ネットで調べたところサムローンからチョンブリー行ロットゥーが出ている事が分かったので、そちらを使う事にした。
12時頃、宿をチェックアウトし、まず近くのロータスへ向かい、まだ買っていなかったSIMカードを入手する。時間的にも昼食どきだったので、フードコートで食事をし、さてサムローンへはどう行こうかとロータスを出てシーナカリン通りへ行こうとしていたところ、サムローン行きのソンテウを発見!ちょうど良い、と飛び乗った。
車1台がやっと通れるほどの民家の間を通り抜け、15分ほどでサムローンのインペリアル前に到着。ロットゥーのチケットを売っている親父に「サーラー・グラーン・チョンブリーに行きたいんだけど」と聞いた所、「ロンバンチョンで降りれば良いよ」と言われる。「ロンバンチョンってどこの事だ?」と一瞬思ったものの、すぐに「ローン(パヤー)バン・チョン(ブリー)」、つまりチョンブリー病院の事だと分かる。タイ人は地名をよく省略するけど、ここまで省略されるとさすがに分かりにくい。
サムローンを出発して、約1時間半ほどでチョンブリー病院前に到着。そこからモーターサイを使い予約していた宿にチェックインした。チョンブリーくらいの距離だったらバンコクから日帰りも可能だが、県庁周辺はタクシーがない所というのは以前、何度かここに来たことがあるので分かっていた。なので、安全策として近くに宿を確保しておいた。
チェックインした後シャワーを浴び、時間的にも余裕があったので、部屋で少し休憩。ステージは22時頃からスタートだとFBに投稿されていたが、早めの20時過ぎに会場に到着した。しかしこれが正解で、会場が大きすぎて、メインステージを見つけるのに1時間近くさまよってしまったので、もし遅かったら、お目当てのコンサートに間に合わなかったかもしれない。
バンコクから2時間弱とはいえ、ここまでくると充分な土地があるので、祭りも大規模になる。しかもものすごい人出で、前に進むのもやっと。おまけにそこらじゅうで大音量で音楽をながしているものだから、いつもステージの場所を探す時は、音を頼りに方向の目安を付けるのだけど、これではどれがステージの音だか区別がつかない。
結局、大きな会場をほぼ1周し、ようやく見つけたメインステージは、到着した時にモーターサイを降りた場所からほど近い所だった。ただ遠回りしただけだと分かった途端、疲れがどっと出てくる。
とりあえず腹ごしらえしようと、歩きながら屋台を物色していると、ラープがけご飯というのを発見した。ラープは大体もち米と食べる事が多いのだが、白米にかけて食べるのは珍しいと思い(僕がしらないだけかもしれないが)注文してみた。味もなかなかで、これには満足。
22時ちかくになり、そろそろお目当てのアーティストが出てくる頃だろうとメインステージに向かう。前座が一生懸命演奏していたが、ステージ前には誰もおらず、何故かみんな遠巻きにステージを眺めていた。
そしてほぼ予定時間に、この日のバンドのタイ・ドゥーン・レンが登場。このバンドの事は正直あまりよく知らなかったのだが、調べてみると結構キャリアの長いバンドのようで、それもあってテクニックもしっかりあり、演奏も上手かった。ジャンルとしてはスカ・レゲエ系と言えるのではないだろうか。Mocca Gardenとかに近い音楽性のバンドと言えば分かりやすいかもしれない。
冒頭からジョーイー・プーワシットのRocket Festivalなどを含むノリの良い曲を連発して、観客のご機嫌をうかがっていたのだが、チョンブリーの人たちは一向にステージに近づかない。その光景を見て、ふと思い出した。
だいぶ前に同じ場所でコンサートを観た事があったのだが、全く同じ光景が繰り広げられていたのだ。つまり、どんなプライド持っているんだか、チョンブリーの人たちはよっぽどの事がない限りステージに近づかない事が良い事だと思っているようだ。かといって、ノリが悪いわけではなく、ステージから呼びかけると、しっかりとリアクションはする。でも、何故かステージには近づかない。たまに子供やオッサンが踊りにくるくらいで、こんな状態がコンサート中盤まで続いた。
前半のバンドだけの演奏は終わり、ヒット曲「サーオ・ラムドゥアン(สาวลำดวน)」でようやくゲームが登場。ワーキャー騒いでいる客がいるものの、やはり観客は遠巻きに見ているままだった。
ゲームの登場で雰囲気がガラリと変わり、ここからゲームを中心にコンサートが進んでいく。去年(2022年)観たヂュンラホーラーンのライブの時は、ゲームのヴォーカルは全体のサウンドの一部という感じだったが、今回のタイ・ドゥーン・レンとの組み合わせはゲームとバックバンドという感じで、より彼女のヴォーカルが際立って聞こえ、ゲームの歌の魅力がより良く伝わってきたのが、すごく良かった。ただそれは、タイ・ドゥーン・レンの演奏技術の高いという証明でもある。
この動画で歌われている「イサーン・ウーイ」という曲はゲームとプリーチャー・パッパイがコラボレーションした曲なのだが、去年のヂュンラホーラーンのステージでは聴くことが出来なかったので、この日聴くことが出来たのは嬉しかった。ゲームもこの曲を気に入っているのか、彼女が参加しているプロジェクトの内のひとつ「Zound to Zion」でもこの曲を演奏している。
他にもロック・アレンジのイサーン・ラムプルーンから、サーオ・ラムウォンといった定番曲を挟み、ヂュンラホーラーンでも歌っている「ニー・ハーン」のカヴァーといった充実の選曲で、最後はゲームの呼びかけもあって、観客もようやく舞台前に来て、大盛り上がりでコンサートは終了した。
終了後、結構長い時間ステージに残って、ファン対応をしてくれていたゲーム。僕もせっかくだから写真を一緒に撮ってもらおうとカメラを渡したのだが、写真を撮るだけでなく、「Where are you from?」とか「Nice to meet you」と向こうから話しかけてくれる凄く物腰の柔らかい人で、改めてゲームの魅力に惚れ直した。
ゲームが現在参加しているこのタイ・ドゥーン・レンと、先に触れたZound to Zionというプロジェクトの他に、もうひとつ「Game Sujidtra and Ghetto All Stars」というのがあるのだが、次回はそのプロジェクトも見てみたいと思っている。僕にとって今、ゲームは最優先でコンサートを観たいアーティストのひとりである。