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雪原Rap

ラップギフトプロジェクトの第五弾「雪原Rap」が完成した。世界中を旅し、今は北海道に根を下ろし暮らすKeycoさんとオンラインで対談した内容をラップ作品にしたのだが、制作期間は5カ月に渡った。高校で学年主任を務め、ちょうど卒業生を出すタイミングであったため、卒業シーズンはなかなか手をつけられなかったが、コツコツと作詞をし自宅レコーディングを何度も試みた。なかなか依頼者の世界観をラップで表現できず、歌詞や発声方法がフィットしなかった為、試行錯誤を繰り返した。

北の大地の自然美、静寂の中で月明かりに照らされ一歩ずつ踏みしめ進む質感をRapで表現するために、あれこれ発声を試したり機材を試したりした。劇団プレイバッカーズで10年以上再現劇を追求し、語り手に寄り添うことを模索してきた自分は、Keycoさんの世界観に近づくことへの執着が強く出てきたのだろう。そんな中、春休み、いざレコーディング!というタイミングで今までに無いほど身体を壊し一週間寝込む。特に持病の痛風発作で足が異常に腫れて自宅すら這いつくばって移動する状態だった。その弱った身体で自宅録音を行った際に新たな発見があった。椅子に座り脱力状態でささやく録音が一番、音声の響きとして、この曲の「自然の中で孤高の生活を表現する姿勢」にぴたりと合った。声高らかに張りのある発声でラップするのが真骨頂だった自分にとっては目から鱗だった。今回は自分の中で特別な作品となったため、外部レコーディングをすることに決め、知人のエンジニアに依頼をしレコーディングを行う。一日で終えるはずが、3日間もかける。こだわり過ぎてしまう自分にあきれるが、納得いくまで妥協せず制作したく、エンジニアのよしさんも応援してくれ、やっと完成した。

他者の人生を預かり、自分が媒体となり曲を披露するために、未熟で不足している表現技術や未習得の表現方法に手を伸ばし、新境地へ自分を届けることが出来た。ありがたい。今回の撮影写真や動画編集は全て依頼者のKeycoさんによるもので動画の部分は全てお任せし、曲制作に専念でき、合作で作り上げる喜びもあった。ちょうどkeycoさんの誕生日にこの曲をリリース出来て嬉しかった。

ラップギフトプロジェクトは#6以降も続き、今後の依頼者は現時点で10名程予約待機して頂いているのだが、ひとつずつ焦らずじっくりと制作を続けていきたい。

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