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広島カタレン ー 観光地における片道レンタカーの可能性


レンタカー乗り捨てで旅行した経験

私は一度だけレンタカーを乗り捨て利用したことがある。北海道を旅行したときのことだ。旭川空港で旭川ナンバーのレンタカーを借りた。そこから、旭山動物園、美瑛、富良野などを回りながら3日ほどかけて南下し札幌でレンタカーを返却した。この旅程、公共交通機関で巡るのは難儀であるのは想像に難くない。北海道では圧倒的にレンタカーに分がある。しかしながら、そのレンタカー、返却のために札幌から旭川まで戻るのは時間効率が悪い。まだまだ札幌でも訪れたい場所がたくさんあるのに、レンタカーの返却のために来た道を戻るのはばかげている。だから、乗り捨てを選択することになった。おかげで札幌で車を返却した後、札幌の町を満喫でき、新千歳空港から岐路についた。

車というのは不思議なもので、3日ほど乗っていただけなのに妙に愛着が湧いてくる。そんな感情からか札幌の店舗で返却の際にスタッフにふと尋ねた。「この車は、また旭川に行くお客さんが乗るのですか?」と。スタッフは「そういうときもありますね」と。なんとも釈然としない回答であったことを今でも覚えている。

なぜ乗り捨てが普及しないのか

数年後、私はPathfinderに入社した。片道レンタカー「カタレン」を展開する会社である。代表の小野崎曰く、「乗り捨て利用が普及しないのは高額な乗り捨て料金にある。その高額な乗り捨て料金は乗り捨てられた車を回送して再配置するコストに起因している」とのことだ。

なるほど、たしかに、私自身、北海道でしっかりと乗り捨て料金を払っていたし、あのときのスタッフの釈然としない回答もそのためか。

そこでPathfinderは、片道レンタカー「カタレン」を展開する。カタレンでは片道の顧客を集めて、双方向をマッチングすることで回送費用を極小化し、乗り捨て料金不要のレンタカーを実現している。例えば、東京-大阪では大手レンタカー会社が乗り捨て料金に3万円程度を必要とするところ、カタレンは乗り捨て料金込みの料金設定をしている。

観光資源の発掘で地域貢献を

私が経験したように北海道では乗り捨て利用に一定の需要があるようだ。ほかには九州・四国・沖縄でも同様である。旅の始点となる空港と終点となる空港を別々にして、その道中にある観光地をレンタカーで効率良く巡るという方法が一般的だからである。多くの人にとってめったに訪れることがない特別な地、高額な乗り捨て料金よりも効率よく巡るということを優先する結果ではないだろうか。

一方、本州では乗り捨て利用は一般的でない。おそらく、北海道などとは逆の感覚なのだろう。旅の効率よりも高額の乗り捨て料金がネックになっているのではないだろうか。

これはPathfinderの問題意識と合致するところであるが、現在、カタレンを提供しているのは東京を起点とした経路のみ。旅行先で観光に使える片道レンタカーは提供できていない。

しかし、もしも本州の観光地において片道レンタカーを提供し、一般化することができたならば、公共交通で巡ることが難しい観光資源にもレンタカーでアクセスすることが可能になるのではないだろうか。そうなれば、地域の観光資源の再発見につながる。さらに、主要駅周辺に集中していた観光客がそれらの観光資源を目当てに分散することも期待できる。主要駅周辺だけに限らない広範な旅行が成立し、滞在の長期化につながる。長期滞在したいような魅力的な地域であれば訪れたいと思う人も増える。片道レンタカーが地域の観光活性化のためのソリューションとなりうるのではないだろうか。

広島カタレンに込めた思い

そこで、今回、広島県においてカタレンの実証実験を行うことになった。私自身、広島県は2度ほど訪れたことがあるが、広島市内と宮島にしか行ったことがなかった。尾道やしまなみ海道というの名は聞いたことがあったが、行きたいとは思ってもなかなか行く機会がなかった。

もしも片道レンタカーがあったならどうだろう。東京から新幹線に乗り福山駅で降りる。レンタカーを借りて尾道、しまなみ海道などを経由、フェリーを駆使しながら様々な地域を訪れ、広島駅を目指す。広島駅でレンタカーを返却したら、広島市内の観光も楽しめる。岐路につくには広島駅から新幹線に乗ればよい。

片道レンタカーによってこのような観光ルートが確立できれば、広島県内の観光振興にとってカタレンが重要なピースになりうると考えた。そのような思いから、期間限定ながら広島県内における片道レンタカーの実証実験に至ったのである。

解決しなければならない課題

まずは、カタレンである以上、乗り捨て料金を無料にすること。これは、今までと変わらないこと。安価で利用しやすい片道レンタカーを提供する。

そして、最も大切なことは、レンタカーの乗り捨て利用という選択肢を顧客に浸透させること。しかし、これが最も難しい。なぜなら、乗り捨て利用が一般的でないからである。顧客にとって馴染みのない乗り捨て利用の有用性にいかに気付いてもらうのか、どうやったら気づかせることができるのか。しかも、北海道のような一大観光地ではない地域で、旅行のオフシーズンに。しかしながら、これが解決できてこそ、本当に地域に貢献することになり、前述の思いを達成できるものとも考えている。

これらがこの実証実験で問われており、Pathfinderの新たな挑戦になっている。

片道レンタカー「カタレン」が目指すもの

カタレンは、現在、東京を起点とした経路でサービスを展開している。それは、一見すると、首都圏の若者たちにちょっと変わった新サービスを提供しているだけのようにも見える。しかし、それは本質ではない。ここに述べてきたように片道レンタカーが目指すものはただの移動手段にとどまるものではない。地域の観光振興に寄与するものでもある。代表の小野崎の言葉で表せば「移動のハードルを下げる」ということである。カタレンで新しい日本や世界を作っていくことを私たちは目指している。


【期間限定:2025年2月16日まで】広島県にてカタレンを提供中

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