しのぶ奥様ストーリー①
裸一貫、男一人でビジネスを立ち上げ、ひとかどの人物にはなれたと思う。
自営業として一から十までなんでもやらなきゃいけない毎日は大変だが、やりがいもある。
少なくとも私にはそういう生き方が合っていた。
だから五十代も半ばでも独身を貫き、家に帰っても誰もいない。
孤独に一抹の寂しさを感じないわけではないが、自分で選んだ道なのだから後悔はない。
とはいえ。
「はぁ……疲れた」
ハードなスケジュールをこなした後は、疲労とストレスが溜まる。
自己管理が大切である以上、ストレス解消の方法はいくつか用意してあった。
今回は難しい案件が無事終わったお祝いも兼ね、少し奮発したストレス発散方法を選んだ。
ソファでだらしなく脱力しながら携帯を弄り、ブックマークを開いて、目当てのページへとアクセスする。
いつも利用しているデリヘルの、目当ての人物のプロフィールが画面に表示される。
幼いと言えるほどに可愛らしく小柄な、笑顔の素敵な彼女の名前は――しのぶちゃんという。