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はるか奥様ストーリー②

翌々日の夜ー。今日も、雨は降り続いている。
「日帰り出張」という名目を妻に通した俺は、駅前にいた。
気温も上がって蒸し暑いが、不快ではない。独身気分に戻っていた。
(ずいぶんと久しぶりだなあ……)
この3年、ほとんど飲みにも出ていなかった。
妻に尻に敷かれ、くたびれた家庭人の役割から解放され、いい気分だ。
街行く女たちを見回す目が、自然と、柔らかな曲線を拾う。
欲求不満を思い知るようで、我知らず苦笑しているとー。
ふいに、とんとん、と指で、死角から左肩をつつかれた。
「あのう。キノシタさんですか?」
店に告げた偽名で、問いかけられて、振り返る。
ミディアムレイヤーの茶髪が品よくまとめられた、都会的な美女がいる。
「もしかすると……はるかさん、ですか?」
マスクをしたまま、こくり、とうなづいた。
大粒な目が強い生気を湛え、輝いている。
薄桃色の、パッド付きのキャミソール。
細っこい肩がむき出しになり、夜目にも白い肌は、沁み一つなく……。
白黒の水玉スカートはひざ下まで、ナマ足でヒールを履いた足首が、細っこい。
バストは薄手の服ごしでも分かるほど自己主張して、ド迫力。
くびれのラインも保たれているが、もしや、着やせするタイプなのだろうか?
「い、いこっか。でへへ」
我ながら、声が上ずってしまい、有頂天になっているのがバレバレだ。
「ハイ、よろしくお願いしますね」
にっこりと笑った、はるかさんの瞳が、無邪気に揺れていた。

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