ひめか奥様ストーリー⑥
「……! はぁっ……はぁっ……!」
彼女がひと際強く、私の腕にしがみついて来るのがわかった。
通行人を避けると同時に、なるべく身を隠したいのだろう。
そんな彼女の気持ちは手に取るようにわかった。
(まあ、そうはさせないんだけど)
私たちは普通に通行人とすれ違う。相手は一瞬こちらに目を向けたが、特に何かを感じた様子はなく、そのまますれ違っていこうとしていた。
ひめかちゃんの手から少し力が抜ける。
その瞬間、私はとびっこの振動を最強にした。
「――んひぅっ!?」
ひめかちゃんにしてみれば、気を緩めた瞬間に強烈な快感が押し寄せて来たようなものだ。
彼女は僅かに悲鳴をあげてしまい、その声が聞こえたらしい通行人が、怪訝そうな顔で私たちを見た。
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