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「わんちゃんの甘噛み」はどうすれば治るの?第6回セミナーまとめ【前編】
みなさんこんにちは!PETWELLclinic広報担当です。 今回は4月15日にウェビナー形式で行われた第6回無料セミナー『 わんちゃんの甘噛み」はどうすれば治るの?』のサマリーをご報告します。講師は人と動物の関係学を専門にされている鹿野正顕先生です。 当日オンライン配信された映像を一部編集し、前後編に分けてアップしています。まずは前編です【約22分】。 チャプターリスト 00:00 鹿野正顕先生自己紹介 02:51 甘噛みに関する飼い主さんの悩み 04:42 甘噛みの原因 10:45 甘噛みを予防するポイント 12:05 ポイント1/日頃の接しかた 子犬の飼い主さんから一番相談が多い内容は、甘噛み。よく相談をうけるのは、「洋服の袖、ズボンの裾、髪の毛などを噛んでくる」「おもちゃで遊んでいるとき、サークルから出すとき、なでようとしたときに手を噛んでくる」といったシチュエーションだ。 そもそもなぜ甘噛みをするのか。 犬は遊びたいという欲求が強く、特に子犬のときは口を使って遊ぶ傾向がある。遊びたい気持ちが日頃から満たされていないと、色々なものを噛むことによって欲求を満たそうとする。 また、犬は犬同士よりも飼い主との遊びを好む習性があり、飼い主との遊びによってオキシトシンという幸福を感じるホルモンが分泌される。イギリスでの調査によれば、遊びの前後で、犬の血液中のオキシトシン濃度は猫の5倍上昇する結果が出ている。 犬は飼い主との遊びの中では、人の動きや意図を読み取って協調したような行動をとる。ただ遊ぶだけでなく、人とのやりとりを好んで遊ぶことも研究でわかっている。おもちゃを使っていても噛むのは、「犬同士がお互いの身体を噛み合って遊ぶ」ということに起因する。愛着の対象となる飼い主にも、似通って手などを噛んでしまうのである。 大好きな飼い主と一緒に遊びたいから子犬は噛む。それが甘噛みの原因である。 飼い主も困らないように、子犬の習性を理解し、子犬の遊びたい気持ちを発散できるよう、のぞましい対応をとることがポイント。成長に伴って噛む頻度は減る傾向にある。子犬も飼い主もお互い心地よく、遊びを通して楽しむことができるような習慣づけ、飼い主の適切な対応によって、甘噛みの問題はクリアすることができる。 甘噛みを予防するポイント1【日頃の接しかた】 ● 散歩だけでなく遊ぶ頻度を増やす リードをつけたお散歩だけでは運動不足が解消できていない場合がある 犬の遊びは狩りの模倣なので、おもちゃを使って遊ぶ時間を増やす ● サークルから出したとき、最初に遊んであげる 犬は囲いの中でフラストレーションがたまっている 遊びたい欲求を満たしてあげてから、撫でるなどのコミュニケーションに進む ● 手を使って遊ばない 手でじゃれさせて遊ぶと、噛んでも良いと教えていることと一緒になってしまう ● かわいいからといって噛ませ続けない ● 噛むことを止めるために手で払わず、手は後ろに隠す ● 手のひらからご褒美をあげる習慣をつける(ハンドフィーディング) ● 興奮しているときは無理に撫でず、リラックスしているときに撫でる
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わんちゃんも楽しい"歯磨き"の練習方法について学ぼう-第5回セミナーまとめ【後編】
みなさんこんにちは!PETWELLclinic広報担当です。 先日公開いたしました『わんちゃんも楽しい"歯磨き"の練習方法について学ぼう-第5回セミナーまとめ【前編】-』の記事はご覧いただけましたでしょうか? 前回記事はこちら↓ https://note.com/petwell_clinic/n/ne9c97eea397c 今回の記事では引き続き【後編】の内容まとめをお伝えします。今回のメインテーマである「歯磨きの練習方法」がじっくりと解説されています。お見逃しなく!【約30分】 【チャプターリスト】 00:00〜 体を触られることに慣らす 08:45〜 口元を触られることに慣らす 15:10〜 ご褒美で気を反らせながら慣らす 20:42〜 歯ブラシに慣らす 【サマリー】 ホールディングに慣れることができたら、今度は体のいろいろなところに触られることに慣らしておく。各所に触れたあとは、将来、苦手になりにくくするためにきちんとご褒美をあげ、うれしい感情に結びつけることが大事。おおよそ下記の順に慣らしていく。 ●手を握る 足を拭くときに手を持つことがあるため。 ●水かきを触る トリミングで足裏をカットする際のため。 ●爪を触る 爪を切ることに慣らすため。 ●お腹を撫でる/優しく押す 獣医による触診に慣らすため。 ●耳に中に指を入れる/耳元を揉む 耳そうじに慣れるため。 ●口周りを触る 今回のテーマである歯磨きに直結する練習。基本的に犬は口元を触られるのが嫌いであり、マズルコントロール(罰として口元を抑える行為)は厳禁。舌を巻き込み窒息する可能性があり、また口元を触られることにさらに警戒するようになる。 ●唇をめくる/歯茎を触る 人間の子供と同じ様に、指を口に入れ歯茎を触る。ここまでできればシート型の歯磨き/指サック型歯ブラシなども使える。 どうしても抵抗感の強い犬には、専門のトレーナーや獣医に相談。その場合も一気に慣らすのではなく、少しづつ慣らすのが大事。恐怖反応を表すボディランゲージが見られる、その手前から慣らす。 また「ご褒美で気を反らせながら慣らす」という練習方法が有効な場合もある。その際のポイントは以下の通り。 ●過度な恐怖反応や攻撃行動が見られない場合 ●恐怖よりもご褒美に対するモチベーションが高い場合 ●大好きなご褒美を使う(日頃は使わない特別なもの) ●食べ続けている状態を保つために知育玩具を使う こうした練習の結果「ご褒美をあげないと歯を磨けない」という状態になっても構わない(ご褒美を無理になくさなくても良い)。なぜなら犬は人と違い、虫歯にならないため。犬の歯磨きの目的は、歯垢が歯石に変わる(3-5日間)前に取り除くことなので、食べ物をあげながら歯を磨いても問題はない。 そして最後に「歯ブラシに慣らす」。これはあまり難しくなく、歯ブラシにチュールなど液体状のご褒美をつけて毎日なめさせてあげれば、すぐに慣れる。市販のおやつのカロリーなどが気になる場合は、ササミの茹で汁を歯ブラシにつけるのも有効。 歯ブラシを口に入れられるようになったら、歯に当てる練習する。ここでも、ちょっと当てることができたらご褒美をあげる。大変な作業なので、体をおさえる役/歯ブラシを当てる役の二人一組で練習するのがおすすめ。 ホールディングや体&口を触る練習は、飼い主が意気込みすぎないことが大事。スキンシップの一環として、ゆったりと自然に行う方が、犬にとっての喜びとなる。
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わんちゃんも楽しい"歯磨き"の練習方法について学ぼう-第5回セミナーまとめ【前編】-
みなさんこんにちは!PETWELLclinic広報担当です。 今回は7月19日にウェビナー形式で行われた第5回無料セミナー『わんちゃんも楽しい” 歯磨き” の練習方法について学ぼう』のサマリーをご報告します。講師は人と動物の関係学を専門にされている鹿野正顕先生です。 当日オンライン配信された映像を一部編集し、前後編に分けてアップしています。まずは前編です【約22分】。 【チャプターリスト】 00:00〜 鹿野正顕先生 自己紹介 03:18〜 犬が歯磨きを嫌がる原因について 08:45〜 歯磨きができるようになるためには 13:18〜 日頃から保定に慣らす練習をする 【サマリー】 歯周病は、口の中に限らずいろいろな病気を併発する原因となり、また犬-人間の感染もあるとされているため、その予防として日頃から歯磨きをすることはとても大事。今回は自宅での歯磨きの練習方法についてポイントを絞って紹介する。 人と犬の関係において「上下関係は存在しない」というのが近年の有力な説であり、犬が歯磨きを嫌がるのも、わがままだったり、飼い主を下に見るということが原因なのではない。歯磨きを嫌がるのは、主に「無理やり歯磨きをされた」など過去に嫌な経験をしていることが原因である。また犬は「歯磨きをしなければならないということが理解できない」というのも、もうひとつの理由。歯ブラシのような異物が口に入ることは危険なことと察知し、本能的に回避しようとしている。なので前述のように「わがまま」などを嫌がる原因と誤解して、力ずくで歯磨きを行うと、余計に嫌がるようになってしまう。少しづつ歯磨きを「楽しい経験」に結びつけていくことが大事になる。 では実際、どういうことに慣らしていけばいいのか。犬は、環境が変わることで普段はできることができなくなることがある。これは場所とか人への慣れが影響している。病院やトリミングサロンで歯磨きを受ける機会が増えていると思うが、そこで歯磨きをこなすためには、まずは場所慣れと人への慣れが大事。 今回は「自宅で飼い主が歯磨きを行う」というところに焦点を合わせてポイントを紹介。それは大きく2つあり、ひとつは「保定」への慣れ。もうひとつは「歯磨きをする」ために口元を触られたり、ものを口に入れられることへの慣れ。 まずは「保定」への慣れについて。「保定」とは体を触ったり拘束することであり、これに慣れるには仔犬の頃からホールディング(仰向け抱っこ)の練習をすることが大切。社会化期(生後〜12週齢)と呼ばれる時期は、触れられることなどにスムーズに慣れてくれる。 ホールディングの時間の目安としては1時間。1時間じっとしていられるとトリミングなどもストレスなく受けられる。実は20分ぐらいじっとすることができるようになると、その後心地よく寝てしまうが多い。なぜなら哺乳動物には、体を軽く締め付けられると気持ちが落ち着くという習性があるため。大好きな飼い主に抱っこされぬくもりを感じるとオキシトシンが分泌され、慣れている犬だとすぐに寝てしまうことがある。 ホールディングのポイントは4つある。 1つ目は「手を持たないこと」。手を引っ張ってしまうと抜けてしまうリスクがあるため。胸の骨の硬いところをしっかり押さえてあげるのがコツ。 2つ目は「飼い主の脇を締めて体に密着させること」。首からしっぽの付根が飼い主の体に密着するよう心がける。 3つ目は「暴れても離さないこと」。離してしまうと「暴れると離してもらえる」と学習してしまう。もし暴れたら強めに抱き寄せ、落ち着いてから解放する。それでも無理なら練習を一旦終了する。 4つ目は「少しづつ時間を伸ばすこと」。先述の通り、仔犬の場合はいきなり20〜30分でできる場合もあるが、成犬は慣れるのに時間がかかる。1分や5分など、少しづつ時間を伸ばして練習する。 体勢については「伸ばしすぎず立ちすぎず」が肝心。伸びすぎると背中が苦しく、立ちすぎると腰に負担がかかりホールディングを嫌がりやすい。緩やかに弓なりで曲がっている姿勢がベストで、リラックス状態を保てる。 保定されることに慣らし、さらにはご褒美をあげながら、保定されることが楽しいこととなるように練習していく。 【後編】はこちら↓ https://note.com/petwell_clinic/n/nb6b822537cd7
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「犬は反省する」「トイレの失敗は嫌がらせ」って本当? -第2回セミナーまとめ【後編】-
みなさんこんにちは!PETWELLclinic広報担当です。 先日公開いたしました『「犬は反省する」「トイレの失敗は嫌がらせ」って本当? -第2回セミナーまとめ【前編】-』の記事はご覧いただけましたでしょうか? 前回記事はこちら↓ https://note.com/petwell_clinic/n/n0c60173fc4fd 今回の記事では引き続き【後編】の内容まとめをお伝えします。トイレの失敗やトレーニングについての話題が中心となっています。お見逃しなく!【約24分】 【チャプターリスト】 00:00〜 トイレを失敗する理由 06:11〜 排泄行動の特徴 09:14〜 トイレを成功に導く環境を設定する 09:31〜 サークルの「中」の環境設定 13:19〜 サークルの「外」の環境設定 16:45〜 「失敗を予防する」ための対応 18:53〜 「失敗したとき」の対処 22:03〜 トイレのしつけで大切なこと 【サマリー】 トイレを失敗する4大理由。 ①しつけがうまくいってない →学習のし直しが必要。 ②自分の縄張りを主張するためのマーキング →掃除が完全ではなくニオイが残っている場所や、多頭飼いの場合、新しい家具を導入した場合などに起こりやすい。マーキングによる失敗は、去勢で50〜70%は改善することがわかっている。 ③トイレに対する嫌悪学習 →トレイが小さかったり、ガタガタしたりすると、そこでするのを嫌がって失敗する。また、一度失敗し、怒られたことによって恐怖心を感じ、その場所でやらなくなることもある。 ④分離不安 →お留守番中だけに失敗する場合はこの可能性が高い。不安を感じて緊張状態になり、別の場所でしてしまう。これを飼い主が、「嫌がらせ」だと受け取って叱ると、どんどん関係性が悪化し、より失敗してしまうようになる。 失敗理由を含め「寝床から離れた所で排泄する」「土など柔らかなところで排泄する」「ニオイの残ったところで排泄する」「排泄のタイミングには傾向がある」といった犬の特性を考えながら、トイレトレーニングをすすめていくことが大事になる。 まずはサークルの中の環境を設定してみる。ちなみにサークルとは、あくまでも子犬のときの行動制限のための柵であり、後々は取り払う前提で考える。犬は覆われた場所で寝るほうが安心するので、隙間のあるサークル(柵)をハウス(寝床)とするのではなく、箱状のものの中(クレートと呼ぶ)をハウスとするほうがいい。クレートの理想のサイズは、頭のてっぺんよりも天井が高く、鼻先から尻尾の付け根より幅が大きいもの。この条件を満たすクレートなら、自分から入るようになる。そしてクレートをハウスとするように習慣付くと、クレート内では排泄をしなくなり、そのすぐ外にトレイを置くと、勝手にそこでするようになる。 続いてサークル外の環境設定を考える。「サークル外に出ると失敗する」というケースがあるので、その場合は、まずは床の敷物をチェック。「絨毯」「カーペット」「畳」などを敷いていると、感触が柔らかいので、本能的にそこで排泄してしまう。なので「クッションフロア」に置き換えてみる。これなら適度な硬さがあるし、滑りにくいし、もし排泄してしまった場合でも掃除しやすい。 サークル外に犬を出す時には、トレイも一緒にサークル外に出すのがおすすめ。できることならもう1箇所トレイを置くことも考える。そして、できるだけ行動範囲を広げないことも大事。排泄を済ませてからサークルから出したり、飼い主が目を離すときは、サークル内に戻すなどの工夫も必要。また排泄には決まったタイミングがあるので、その時間を避けてサークル外に出す。 トイレトーレーニングチェックリストの活用もおすすめ。失敗だけでなく、成功率が上がっていることを飼い主が理解できる。 再びになるが、排泄の失敗は絶対に叱ってはいけない。飼い主への恐怖心が高まり、飼い主のいない場所で隠れて排泄するようになる。無言で何も騒ぎ立てず片付けることが重要。また一度ニオイがつくと、そこで繰り返ししてしまうので、ニオイを完全に消すことが大事。まずは界面活性剤が入っている食器用洗剤などでしっかり洗浄したあと、消臭スプレーなどをかける。 「成功をしたら褒める」をやっても、実はあまりうまくいかない。犬の行動の特性を把握して、その特性に沿った「環境設定」と「対応」をすることで、飼い主と犬の双方にとって望ましいトイレのしかたを学習させる。 犬がどういうふうに考えてるかを掘り下げて犬の行動をみる、ということ。しつけとは、犬の特性を理解しつつ、それが人間の生活の中でどう表現すれば問題にならないのかということを考えて、教えてあげること。これら2点が今回の講義でご理解いただきたかったポイントです。