ヴァイナル(アナログレコード)の経験:久しぶりに再開して、結局やめるまでの経緯
10年近く前、狭いマンションから少し広めの1軒家に引っ越したのを期に、長らく途絶えていたレコード趣味を再開させました。
クラシック音楽には弱音部分が多く、レコードのノイズが耐え難かった所にCDが登場したため、完全に置き換えたわけです。
しかし近年のヴァイナルブーム、私も久々に乗ってみようと思ったわけです。
とは言っても、初めはお手頃価格の機器から。
最初はオーストリア製(といっても、旧ユーゴのスタービ社を引き継ぐスロヴェニアの工場製では?)のベルトドライブ機を買ったのですが、ケチりすぎて失敗。
そこで、マニアには評判の良くないダイレクトドライブながら、造りや動作が手堅いDENONのDP-500Mに買い替えました。これは成功でした。
カートリッジもフォノイコライザーもお手頃価格ながら、安いなりに良いものを厳選して購入。
フォノイコはオーディオテクニカ。
カートリッジはナガオカのMMシリーズを数種類に、英国GoldringやOrtofonなど。
一番のお気に入りはOrtofoneのMC3Turbo。闊達な音が印象的でした。
しかし結局、2年ほどですべて売却し、CD+シリコンオンリーに戻ってしまいました。
「こんな安物ばっか揃えてアナログを分かった気になるな!」と怒られそうですが、安物使いなりに理由がありまして・・・:
1.音質は装置より盤質に大きく左右される
50−60年代の英国DECCAの盤は、造りも音質も実に素晴らしい。
CDでは味わい難い深い音質。ヴァイナルの良さが全開です。
しかし70年代以降は、国内プレスはもちろん海外プレスも怪しい。
特にCD登場前後は、盤質もジャケットも音質も明らかな手抜き。
装置の価格を10倍したとしても、この差は埋められないのでは?
それどころかCDにも負けるのでは?
2.盤面の手入れの時間がもったいない
上記の良質盤ならほぼメンテナンスフリーですが、そうでない盤は
聴くたびに入念にクリーニングしないとノイズに悩まされます。
そのための時間を、音楽鑑賞に振り分けたいと思ったのです。
3.ディスプレイを置きたくなった
私の狭い書斎に置く関係上、レコードプレーヤーがあると
映像用ディスプレイが置けないのです。
4.入手できるソフトが限られる
これが一番大きかったですね。
「新しい酒は新しい革袋に」の故事ではないですが、最新録音を
ヴァイナルで聴ける機会は極めて限られます。
仮にあったとしても、大音響の音源ならピックアップ・
スタイラス(レコード針)のトレース限界を楽々超えるでしょう。
再生装置は売ってしまいましたが、大切な盤は飾ったり取り出して眺めたりして、溝を追いながら音楽を再生できたような妄想に浸っています。
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