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ヴァイオリンのニスを今さらながら考える:オイルかアルコールか

いま所有のヴァイオリンは、1996年作のわりと新しい楽器。

表板にオイルニスが塗られ、裏板、横板、スクロールにはアルコールニスと、そこそこ凝った製作です。

確かに光沢が明らかに違います。
オイルニスの表板は、まさに飴を塗ったような光沢と柔らかい触感。
最初の2年くらいは、小さな傷も翌日には自己修復していたほど。

対して他の板のニスは、触感も見た目も少し鋭く固め。

フォーカスが甘いですが、ニスの違いは感じてもらえるかと。

では、音質上の利点は何でしょう?
そもそも、オイルもアルコールもニス(ヴァニッシュ)の溶媒に過ぎず、乾燥してしまえば溶質(樹脂や染料など)が残るだけです。
溶媒自体がヴァイオリンの音に影響を与えるとは考えづらい。

ここで製作者の意図について推察してみました。
1.製作品の差別化ーーこんなに面倒くさいことをする人はあまりいない
2.美観ーー適切な条件で塗られたオイルニスは、深い光沢を見せる
3.音質ーー表板がバランス上で軽いので、重めのオイルニスが必要
4.実用ーー裏板にオイルニスだと、ケースに引っ付いたりする

個人的には、アルコールニスは水彩画、オイルニスは油彩画に近いなと思っています(楽器に塗ったことはないですが)。

そこを製作者が理解して使い分けたとすれば、(自分の愛器で恐縮ながら)優れた製作品だと思うのです。






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