伴田良輔「天国のフェイマス」
“Utaroの私的な、文学的な、サブカルと芸術に関する記録ノート”。
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「伴田良輔『天国のフェイマス』」。
“現代日本”にこれを書いてる私自身は、相当、ひねくれているか、美味いと評判のラーメン屋に「絶対並ばない」たちであることがうかがえる、いわゆる厭世家なのだろうと、客観的に思ってしまったりする。ここでいう“現代日本”とは、大変嫌味のある表現になってしまうかもしれないが、元総理の安倍晋三氏が居なくなった以後の、かよわい日本を指す。私は安倍氏を支持もしないが、それ以後の日本も支持しない。つまらない日本になりつつあって、私は今、これを書いている。
作家・伴田良輔氏は、つくづくアンディ・ウォーホルに関心があるのだなということがわかる、彼のエッセイ「天国のフェイマス」。ウォーホル尽くしなのである。むしろ、この世の中を、伴田氏はウォーホルの目玉を借りて見渡しているのではないかと思うくらいに、ウォーホルの人生に深く入り込んでいた気がする。私もどうも、その姿勢に、関心が及んできた、というわけなのである。
一方で、私は、その正反対で全く名前を出さず、顔を出さず、身体をさらさず、日陰に真面目に働いて、たった一人ぼっちで生涯を送ろうとしている何人(なんぴと)かの若い人たちを知っている。彼らは、フェイマスとは無縁の人たちである。
こうしたコントラストに、私はなにか、この世を読み取りたいと思うのだ。そのきっかけとして、「天国のフェイマス」――伴田氏が関心に及んだところのウォーホルについて、今後掘り下げることができれば、と考えている。