Petorashika_note

関心ごとは、手仕事とローカルエコノミー。趣味はお散歩と地域史。 大学での八王子織物に関…

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関心ごとは、手仕事とローカルエコノミー。趣味はお散歩と地域史。 大学での八王子織物に関する卒業研究から始まった、個人的な自由研究。調べたことを記録するノートとして書いているので時々書き途中の原稿をアップすることもあります。悪しからず。

マガジン

  • 私的妄想シルクロード

    大陸から朝鮮半島を経て、日本という島へつながるシルクロード。実は、八王子や諏訪など、日本の中でもミクロなシルクロードが続いてるのではと、その道すじを勝手に想像力を働かせて、再現してみる試み。

  • 実践編_手を仕う事

    色々考えてばかりじゃ面白くないので、実践編として自分の手を仕って衣食住を組み立てる試み。

  • 文字通り「羊をめぐる旅」

    某作家(○上春樹)の小説の主人公さながら、私は行く先々で、羊に関連する事柄に出会うことが多い。まったく、これはどういう訳なのかは分からないが、某作家に倣って、ここに私が出会った羊をめぐる旅について書いてみる。無意識の井戸でも掘るように。 ♯私はハルキストではない。

  • 手仕事エトセトラ

    おばあちゃんが作るアクリル毛糸のお人形、ヤップ島で貰ったココナッツをくりぬいたお椀、藁葺きの屋根など、伝統工芸や工藝などという枠組みには収まらない手仕事と、その他諸々の事柄について。

  • おさんぽと地域史

    いろんな町や山をお散歩して、出会った地域史の記録。 主に神戸が多め。

最近の記事

宮ヶ瀬湖ダム開発と消えた集落

江戸時代の宮ヶ瀬村 丹沢の山々が湖面に映る宮ヶ瀬湖。 この湖は、自然的に発生したものではなく、 昭和に人工的に造られたものである。 この湖のある場所に、かつては宮ヶ瀬村という集落があった。宮ヶ瀬村の当時の姿を知りたくて、宮ヶ瀬湖にある宮ヶ瀬水の郷交流館を訪ねてみた。 宮ヶ瀬村は、山々に挟まれた狭い渓谷にあった。貧しい農地に替えて、豊富な森林資源に恵まれたこの村では、山の管理が主な村の仕事となっていた。 上記引用にもあるように、森林管理の仕事の見返りとして、米などが給付

    • 福知山で丹波生活衣を見る

      綾部からの帰り道、福知山で途中下車をしてみた。何気なくGoogleマップを見てたら、 「丹羽生活衣館」とやらいうのが目に入り、 せっかくなので訪ねてみた。 衣にまつわるコレクション約3600点!(すごい量)の資料を収集・展示している資料館で、 主に庶民の生活のなかで日常的に使われていた着物などを「丹波生活衣」とカテゴライズした衣を主に収集している。 この「生活衣」っていうのがいいな!と思った。ハレの着物ではなく、生活に根付いたケの着物を残すという点に惹かれたのだ。 ハレ

      • 関西の生糸が集まる神戸生糸精査所

        綾部で製糸会社であるグンゼの歴史を調べていたら、綾部など京都兵庫の山間部で製造された生糸は、神戸港へ集められ、海外へ輸出されていたと知り、気になって神戸港の旧検査所を訪ねてみた。 三宮の駅を降りて、港に面した倉庫街を目指して歩くと、KIITOが見えてくる。 KIITOは、2012年に開業したデザイン・クリエイティブセンター神戸のことで、図書館や企画展示場などの文化センターとして活用されている施設だ。 KIITOの建物は、かつて旧市立生糸検査所として使われていた。1927年

        • グンゼの企業城下町、綾部を巡る

          生糸の製糸で世界的に有名なGUNZE。 創業の地である京都府綾部の町を、 グンゼと製糸業、企業城下町にてついて考えながら歩いてみた。 グンゼはこの綾部の地に年に創業した。それまで京都近郊のこの地域では品質の低い生糸の産地であったが、グンゼの登場とともに瞬く間に生糸の一大生産地へと登りつめた。 綾部の町は、丹波の山々に囲まれた非常に山深いエリアにあり、なぜここでグンゼは創業できたのか、と思うぐらい都市部からも距離がある。 10:00 綾部駅着・グンゼ博苑へ 綾部駅から1

        宮ヶ瀬湖ダム開発と消えた集落

        マガジン

        • 私的妄想シルクロード
          5本
        • 実践編_手を仕う事
          2本
        • 文字通り「羊をめぐる旅」
          1本
        • 手仕事エトセトラ
          2本
        • おさんぽと地域史
          2本
        • 民話の中の八王子
          1本

        記事

          西陣のまちと西陣織のルーツを巡る

          ※下記基本的にメモなので、適当に読み流しください。 12:30 西陣織会館 西陣織の歴史と織物の実物が見たくて最初に西陣織会館へ向かう。 【西陣織の歴史】 ・応仁の乱の後、西軍の本陣跡一帯に機屋や流通業者が集住 ・京都という立地から為政者の庇護もあり、華やあかな高級織物を中心に発展した。 ・明治維新後、東京遷都により一度衰退するも、ジャガードをはじめ とする近代織物技術を導入し、精密な高級織物の量産を可能にした。 ・1976年に伝統的工品品として指定される。 【西陣織

          西陣のまちと西陣織のルーツを巡る

          衣|野良着を自分で縫う

          4年越しに出来上がった藍染のはかま 今年になって、4年越しの藍染のはかま(ズボン)が完成した。9月から始めた畑に合わせて、新しい農作業用のユニフォームが欲しくなって、4年間も放置していた作品づくりに取り掛かったのだ。このはかまは大学を卒業して就職した最初の1年目の春に縫い始めたのだが、慣れない8時間労働の日々の中、こういう藍染の服を縫ったり着る気分になれず、ほったらかしていた。そんなこんなでコロナ禍を経て、気づいたら4年の時の経っていたのだが、やっと自分ではかまを縫いたいと

          衣|野良着を自分で縫う

          フィンランドの手仕事「フェルティング」とセルフケアのお話し

          ハロウィンも終わって、冬が到来する頃、クリスマスの準備のためにフェルトでできた小人の飾りを出してみた。この小人は、フィンランドに留学していた時に羊のフェルトをチクチクして自分で作ったもの。フィンランドの手仕事といえば、編み物や刺繍が有名だが、フェルティングの存在も欠かせない。小人を眺めていたら、なぜフィンランドではフェルティングという手仕事が広く愛されているのか、そんな問いが浮かんできたので、実体験をもとに少し考えてみた。 フェルティングという手仕事 フェルティングは、細

          フィンランドの手仕事「フェルティング」とセルフケアのお話し

          「自分どんな人間?」と、北加賀屋の街に問われる。

          生まれも育ちも関東なので、いまだに大阪のまちは未知数で、私のGoogleマップ上では「行きたいスポット」のフラグが立ちまくっている。そんな大阪の中でも、中心地から離れているくせにやたらとフラグが乱立してて、異様な光を放っていたのがこの北加賀屋なのだが、この度お散歩しに行ってみたら、やっぱり思った通りとんでもないまちだった(2023年10月29日のお散歩の記録) クリエイティブセンター大阪で自己喪失 今回、北加賀屋にきた目的は、このクリエイティブセンター大阪を会場にして開催

          「自分どんな人間?」と、北加賀屋の街に問われる。

          フィンランドのおばあちゃんと毛糸の靴下

          夜のお月様が綺麗に冴え渡り、澄み渡る空気から冬のおとづれを感じる今日のこの頃。 あったかいお風呂が幸福なこの季節、同じく私が楽しみにしているのは「毛糸の靴下を履くこと」だ。夏の間、引き出しの中で眠っていたカラフルな毛糸の靴下たちを引っ張り出してきて、優しいあたたかさに幸福感を感じるこの季節を私は愛している。 ↓毛糸の靴下は、フィンランドのおばあちゃんが私に贈ってくれた靴下たち。 毛糸の靴下で学校を歩き回るフィンランドの高校生 私が高校時代1年間を過ごしたフィンランドの高

          フィンランドのおばあちゃんと毛糸の靴下

          諏訪の町と製糸産業

          諏訪の町は、多摩の山々をこえて山梨・長野方面にドライブに行く時に通る町だった。 絹のことを調べたり、登山をするようになってから、この町は通りすがりの町ではなく、目的地として訪れる場所となった。 夏、霧ヶ峰に登って、諏訪湖の方面を眺めると、湖面がきらきらと輝く湖を中心として穏やかに広がる街並みに、人の気配を感じてほっとする。そんな諏訪の町と生糸と蚕の物語を今回はお話していきたい。 山から水は降りて…まずは霧ヶ峰へ 上の写真は、霧ヶ峰の登り口にある山小屋「コロボックルヒュッ

          諏訪の町と製糸産業

          舞鶴の東西

          ある日の金曜日、ふと映画が見たくなって偶々入った映画館にて「ラーゲリより愛を込めて」を見た。嵐の二宮和成と北川景子が主演という豪華な出演陣による映画で、ラストシーンではまんまとボロ泣きしたのだけど、「日本人」の目線だけに偏ったストーリー仕立てになっているのが気になった。 その翌日、大陸から戦後に引き上げてきた人が最初に行き着いた舞鶴の町に行って見たくなったので、朝一番の高速バスに乗って、舞鶴を訪ねてみた。 教養人としても名高い武将 細川幽斎の城下町として栄えた西舞鶴。東郷

          八王子の民話『猿塚』

          八王子の民話を読み解くシリーズ第1話目『猿塚』 ※参照『元八王子のむかしばなし』元八王子地域住民協議会広報部著 八王子の民話を絵にして読みときながら、 当時の八王子での暮らしや出来事を掘り出してみようという実験。 今回は『猿塚」のお話を取り上げてみる。 ①話の流れを読み解いてみる 「無心」様というお名前のお坊様という事だけど、 「無心」という名前に、このお話の核をつくような意図がありそうな予感。 お猿が差し入れてくれた八王子の里山で採れた木の実。もしかしたら桑の実など

          八王子の民話『猿塚』

          衣 |ひまな日曜日の「よもぎ」染め

          今朝、畑に向かう川ベリを歩いていたら、大量の蓬の葉が生えているのが目に入った。きっと新鮮なので綺麗な黄緑色に染まるだろうなと思って、 ひとつまみほど、周りの蓬を摘んで持って帰ってきた。 朝ご飯の準備をしながら、摘んできた蓬を水に晒し、少し時間をおく。 コーヒーを飲んで、パンを食べて、お腹いっぱいになり、 洗濯物も干し終わって、日曜日の家の仕事も終えて気持ちも晴れ晴れしたので いよいよ、よもぎ染に取り掛かってみる。 下準備とよもぎの色水を作る 毛糸の薄い束を作って石鹸を

          衣 |ひまな日曜日の「よもぎ」染め

          まずは自己紹介

          このnoteのテーマである「手仕事」と「サスティナビリティ」「ローカルエコノミー」という関心ごとが私の中で生まれていった経緯について、お話しをしたい。色々な事項が人生に関連しすぎて整理しながら書いてみるも、えらく長くなってしまったのは、悪しからず。 小学生時代の織物と草木染めに関する自由研究 小学生といえば、自由研究。 類に漏れず毎年テーマを考えあぐねていた小学5年生の私が、苦し紛れに家の中を見回してみると、たまたま家にあったドイツ製の織り機が目に止まった。それは、シュタ

          まずは自己紹介