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ランスの空と藤田嗣治
ランスに行くならフジタ礼拝堂だよ、と友人に教えられた。
正直、それまで藤田嗣治といえば、乳白色の肌に丸眼鏡の自画像くらいしか知らなかった。
でも「日本人画家による礼拝堂」という一言に何か引かれるものがあったのも事実だ。
礼拝堂は、シャンパンで有名なG.H.マム社の敷地内にしっかりと建っていた。
曇り空を背に、その控えめな存在感がかえって心に響いた。
入る前から、何か特別な時間が待っている予感がした。
でも、扉は閉ざされていた。その日は臨時休業。
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少し残念だったけれど、不思議と納得もした。
入れなかったことで、この場所に秘められたものがさらに神秘的に思えたのだ。
想像する余地があるのも、また一つの楽しみだ。
ランスでフジタ礼拝堂を訪ねたけど、残念ながら閉まってて中には入れず…
— プチドラ@フランスでこころ豊かな生活を満喫中 (@Petite_Dra) December 21, 2024
でもその近くで偶然『G.H.マム』のシャンパン工場を発見🍾 藤田嗣治と社主のご縁を知って納得
サッカー観戦が目的で来た街だけど、知れば知るほど奥深くて楽しい#ランス #フジタ礼拝堂 #シャンパン #GHマム #旅の発見 pic.twitter.com/41i3yV9guo
丸眼鏡の自画像だけが、私の中の藤田嗣治だった。
ああ、こんな人生があったなんて。
パリの夜は永遠に続くと思っていたのかもしれない。
モンパルナスのカフェで、モディリアーニと杯を交わして。
猫を描けば、パリジェンヌたちが群がった。
乳白色の肌は、まるで真珠のように輝いていたという。
でも人生って、思い通りにはいかないものね。
戦争があって、信仰があって、そして、この礼拝堂がある。
入れなかったけど、それもまた運命かもしれない。
想像の余地があるって、素敵なことじゃない?
私には分からないことばかり。 でも、それが新しい発見の始まり。
ランス美術館にも藤田の作品があると聞いていたので、その足で向かうことに。
グーグルマップで調べるとなんとここも臨時休業
でもせっかくランスまで来たし、行くだけ行ってみようと思った。
到着すると、改装中でやっぱり休業中だった
またしても、立ち止まることになった。
でも、これはまた一つの巡り合わせ。
偶然の重なりが、どこかで繋がっているような気がして、私はその場に立ち尽くした。
丸眼鏡の自画像の奥にある瞳が、どんな景色を見ていたのかな。
ランスの空は、答えを知っているのかな。
でも今日は、それだけで十分。
知らないことは、人生の調味料。
なぁーんてねぇ。