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[連詩]モガリヨガリ/森は見ていた

かさねさんと一行交代で連詩を書かせていただきました。
かさねさんスタートです。
「モガリヨガリ」は、タイトルやテーマは無しでかさねさんの一行目をどのように受けて、つないで行くか、全くのフリーから始まり、締めまで書き、手直しはしていないものになります。
「森は見ていた」は、それを先にかさねさんがご自分のパートを推敲して、その後ちゃも月が自分のパートを推敲して仕上げたものになります。
タイトルは二つ目が出来上がってから。「モガリヨガリ」はかさねさん。「森は見ていた」をちゃも月が付けました。
では、お読みくださいませ…

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「モガリヨガリ」

殯(もがり)から蘇った男の目は輝いていた

夜明けを宿した瞳の奥に柵切り裂く刃が光る

時間の煌めき 錆びて焦げ落ち朽ち果て芽生え

隠された約束の匂いを谷風(こくふう)が運ぶ

逢いたい 冷たい無機質に微かに潜む温もり

横たわる雄弁に目もくれず 沈黙の手に身を晒す

ぽつんと切り離されし 日溜りの中 飛び交ふ妖精の羽音

鱗粉のように散る声を纏て揺らぐ冷たい緑

甘酸っぱさとほろ苦さ痺れる 深海に沈みし秘宝

遠く彼方のあたたかい手を離れ

光の中の光に溶けて響く夕景

還らずの土に染み渡り産まれた翼 応えてきらり

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「森は見ていた」

二十億年かけて静かに起き上がる殯(もがり)の

瞳の奥に宿した夜明け 刃は柵断ち切って

錆び焦げ落ち朽ち果て 震える芽生え

隠された約束の匂いを谷風(こくふう)が運ぶ

消えた影の輪郭 瞼に浮かぶ情景の

横たわる雄弁に目もくれず沈黙の手に身を晒す

日溜りの中 飛び交ふ妖精の羽音

鱗粉のように散る声は緑の中深く舞う

甘酸っぱさ ほろ苦さ 痺れる秘宝

遠く彼方のあたたかい手を離れれば

散る花の残影 いつまでも哀しく

還らずの土に染み渡りて応える翼に朝露が光る


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