喫茶店・コーヒーと私⑤

 さて、こと喫茶店・コーヒーに関していえば、話は一気に大学一年生まで飛んでいきます。その間、私の喫茶店への憧れは息をひそめていました。

 しかし、大学一年の春休み、私は唐突に、コーヒーをブラックで飲めるようになりたいと思いました。なぜかというと、当時の私は、コーヒーをブラックで飲めるのはカッコイイことだと思っていました。つまり、ちょっとカッコツケたくなったのでしょう。そして、コーヒーをブラックで飲んでカッコツケたいという気持ちは、今も変っていません。

 ところが、いきなりコーヒーをブラックで飲めるようになれるわけではありません。コーヒーは、初めはただ苦いだけの黒い液体でした。こんなに苦い飲み物を、私ははたして飲めるようになるのだろうかと思いました。

 そこで私は、まず慣れることから始めました。市販のカフェオレだかカフェラテだか、砂糖がどっさり入ったコーヒー系飲料を買って、だんだんと砂糖含有量が少ないものにシフトしていくという作戦を考えつきました。

 そして、この作戦は大成功でした。

 私はある日、コーヒーをブラックで飲めるようになりました。ただ、残念なことに、私はコーヒーを飲めるようになった瞬間を、全くもって覚えていないのです。(覚えていないことだらけで、誠に申し訳ありません(_ _))

 コーヒーを苦いと思ったのか、苦みをおいしいと感じたのか、何も記憶には残っていません。何かができるようになった時、自分がどんな気持ちだったのかを忘れてしまうのは、少し寂しいことです。

 しかし、なにはともあれ私はコーヒーをブラックで飲めるようになりました。

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