喫茶店・コーヒーと私③

 さて、中学生になると、以前ほどの頻度で喫茶店に連れて行ってもらうことはなくなりました。

 話は変わりますが、中学二年生の秋ごろ、職場体験という学習活動がありました。その名の通り、自らで体験する職場を探し、許可を取り、一週間その職場で働かせてもらう、という一大イベントです。

 さあどうしようどこに行こうと思いました。友達は、カラオケ屋やうどん屋、消防署などを希望していたと記憶しています。そんな中、私が最初に電話をかけたのは、とある法律事務所でした。なぜ法律事務所なのかというと、三つ年上の姉が、そこで職場体験をしたからです。当時はまっていた裁判もののゲームの影響もあったと思いますが、姉が行っていたところなら安心だという気持ちが大きかったのでしょう。私はもう法律事務所に決まった気になっていました。

 私は大の緊張しいです。そんな私にとって、電話とは最も避けなければならない手段の一つでした。しかし、アポ取りは電話でするというのがルールでしたので、私は仕方なしに電話で法律事務所に連絡を取りました。結果はNOででした。今年はそのような体験は受け入れていない、というのが理由だった気がします。緊張で震えながらかけた電話が断られてしまったのはショックでしたが、私は次なる候補を探す必要に迫らました。

 最初から第二希望を用意していたのか、断られてから探したのか定かではありませんが、私が次に電話をかけたのが、そう「ちろる庵」でした。これまた、自分の意志でそう決めたのか、はたまた母親が勧めたのか覚えていなませんが、幸運なことに「ちろる庵」は私が働くことを快諾してくれました。

 お店にはお客として何回も行っていたので、マスターは私のことを覚えていてくれたようでした。事前の打ち合わせの際に、マスターの奥さんが、ここが第一希望だったの?と聞いたとき、咄嗟にはいそうですと言ってしまったことはよく覚えています。これは、おそらく私がついた優しいウソ第一号でしょう。奥さんはとても喜んでました。


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