大阪市財政局は結局、何が言いたかったのか
■218億円!!!
今日(2020年10月26日)、一部の報道機関が大阪市財政局の「とある試算」について報じています。
いつも参考にさせていただいている、おおさか未来ラボさんが、この件について、大阪市財政局から根拠資料を取り寄せています。
で、さらにおおさか未来ラボさんに無理言って、資料を連携していただきました。
■試算根拠の前提条件
早速、資料の前提条件を確認してみます。
①令和2年度の基準財政需要額をベースにしている
川嶋市議が「私の試算が正しかったと証明された!!」とおっしゃられています。
が、川嶋市議の試算は平成30年度の基準財政需要額をベースにしているので、令和2年度をベースにした今回の大阪市財政局の数字は川嶋市議の試算を直接補強するものではありません。たまたま、最終的な金額が200億円に近しい数字になったということしか言えません。
②段階補正のみを異動
段階補正という特定の補正係数のみを変更しています。その他の密度補正や態容補正などについては、大阪市の場合と同じ値を用いています。
計算を簡略化するためでしょうが、これをもって特別区の基準財政需要額とするつもりなら、率直に言って実勢を何も表していないと思います。
③4市の測定単位(人口等)は、大阪市の数値を単純に4で割っている
百歩譲って人口を4等分するのは良いとして、「人口等」の「等」に含まれているであろう世帯数まで4等分するのは、ちょっとやりすぎですね。
人口も世帯数も丁度1/4になる自治体って一体何なのでしょうね(4人世帯が1人世帯になる、すなわち人口は1/4だが世帯数そのものは変わらないケースが考慮されていません)。
④現行の大阪市をベースに試算しており、府に移管する事務に係る需要額も含まれている(例:消防費)
大阪府に移管される想定の消防事務まで含まれているということで、今回の大阪市財政局の試算が住民投票の対象となっている特別区設置とは何ら関係無いことの証明となっています。
⑤段階補正に関連する費目しか挙げられていない
②と関係しますが、段階補正に関連しない費目の基準財政需要額を試算していないため、その分については大阪市と4自治体の比較ができません(同額だという暗黙の前提なんでしょうが、それはやはり実勢を表していないと思います)。
■この試算から言えること
以上の試算の前提条件から考えると、今回の大阪市財政局の試算は、せいぜい大阪市の人口と世帯数が今の1/4になってしまった場合の基準財政需要額を表しているに過ぎません。
この額を4倍してみたところで、今回の住民投票の対象となっている4特別区の基準財政需要額とはなり得ないのは明らかです。
頑張って言おうとするならば、大阪市を人口・世帯数において均等に4つに分市した場合の基準財政需要額といったところでしょうか。
なぜ、この試算が今回の住民投票と結び付けられて報道されているのか、正直さっぱり意味がわかりません。
■独り言
大阪市財政局も、ここまでの根拠資料を公開するなら、せめて、各費目毎の段階補正の補正率表まで出してほしかったなあ・・・
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