「ペット」と生きるために考えたい。救急救命で守る「家族」の命。
・いつもと同じようにペットと眠りについたのに、いくら呼びかけても目を覚まさない
・愛犬に心臓に持病がある。もし倒れたらどうしよう
・大災害が発生し避難所生活をすることに。災害時は動物病院も被災する
この様な状況は、大切なあなたの家族であるペットにも、何の前触れもなく突然起こりうるかもしれません。もしものときに慌てず対応できるためにも、私たちにできることは何か考えてみましょう。
ペット救命救急の必要性
2020年度の全国犬猫飼育実態調査によると、日本で飼育されているペットのうち犬が約 848万9千頭、猫は約 964万4千頭にのぼります。コロナ禍で自宅にいる時間が増えたことで、安らぎや癒やしを求めてペットを飼い始めたという方も多いようです。
旧石器時代には人間とともに埋葬された犬の骨が見つかったり、平安時代には貴族の間で猫を飼うことが大流行したりと、古くから犬や猫を中心としたペットは私たちの大切な家族の一員です。
そんな大切な家族であるペットと一日でも長く過ごすためには、飼い主が普段からペットの身を守るため、危機管理意識を持ち、具体的に予防することで、起こりうる事故の被害を最小限に抑えることができます。
つまり、平時から助けるための方法を学び、可能な限り救命率を上げられるよう、動物病院へつれて行く前に対応するべき手順や応急処置法を身につけておくことが必要です。
備えがあることで、万が一不慮の事態が起きてしまっても、迷いなく行動することができるのです。いや、備えを万全にするのです。
「ペットBLSトレーニングセンター」設立にあたっての想い
私は元消防士で救急救命士です。
救急車に12年乗務して、人間に対する救命法の講習会は何百回と経験してきました。
また、幼い頃から犬や猫、そしてウサギを飼った経験があり、現在は保護猫と暮らしています。私にとってもペットはずっと身近な存在でした。
現在は、琉球大学地域創出総合研究棟に防災の研究所を設立し、沖縄県で防災士の養成に携わっています。
防災士とは、社会の様々な場で防災力を高める活動が期待され、防災に対する一定の知識・技能を修得したことを日本防災士機構から認証されることで取得できる資格です。
防災士として認定されるには、知識の習得である試験突破に加えて、技能の習得である救命講習の修了証が必要になります。
つまり防災士になるためには、応急手当の技術が必要だということです。
私たちの生活において、人間の救命方法は、学校の授業や車の運転免許取得時など、習得する機会は多くありますが、ペットの救命方法を習う機会は非常に少ないのが現状です。
弊社依頼の調査機関によるとペットが心肺停止状態に陥った際の救命方法を知らないという飼い主は、93%に上ります。
そこで、ペットBLSトレーニングセンターでは、ペットの救命方法を学びたい方の72%がオンラインでの受講を希望されていることと、新型コロナウイルスの感染拡大予防対策として、救命方法をオンラインで学べるよう計画しております。
2022年1月下旬から予約受付開始を予定しているため、詳細が決まり次第、noteでもお知らせいたします。
災害からペットを守りたい
ペットBLSトレーニングセンター設立にあたり、先ずは私自身がペット防災や救命にしっかり向き合うために、琉球大学地域創出総合研究棟内に地区防災研究所を設立しました。
地区防災研究所の運営には「防災や危機管理に関する学術的・専門的支援」を基に「人と動物の共生」や、「質の高い防災教育」を皆さんに届ける目的もあり、沖縄県からSDGsパートナー認定をいただいております。
東日本大震災をきっかけに、多くの災害経験を経て、動物愛護管理法改正や、国や都道府県・市町村の防災計画に動物の取り扱いが盛り込まれるなど、10年前と比較して状況は徐々に改善されつつあります。
しかし、ペットの救命救急用整備が進んでいるアメリカやカナダ、ドイツなどと比較すると、まだまだペットの救命救急は普及活動が必要な状況と言わざるを得ません。
なんて後悔することがないように、飼育する方には知識を得てほしいと思い、2021年12月にペットBLSトレーニングセンターを設立しました。
ペットも救急の日
2022年1月1日付で、毎年9月9日は「ペットも救急の日」になります。
元々この日は1982年に国によって「救急の日」と定められていましたが、それに重ねる形で「ペットも救急の日」を制定し、日本記念日協会から正式登録が決まりました。
普段の生活で起こる救命救急はもちろん、災害現場でも人間同様にペットも助けられるようにしていくなど、私たちの大切な家族の一員である、ペットの救急についても改めて考える日として認知拡大を目指します。
これまでの人間と動物との関係性を踏まえて、動物保護の観点等から、様々な考慮がなされているとはいえ、未だにペットは日本の法律上では「物」として扱われている複雑な側面があります。
それを踏まえたうえで、動物愛護の精神やペット救急救命をいかに普及させていけるかが、ペットBLSトレーニングセンターにおける今後の重要な課題です。