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ペットxスタートアップ海外事例の詳細解説 犬の遺伝子検査「Embark」

今回は遺伝子検査を手掛けるペットテック スタートアップの紹介です。

バイオテックベンチャーの動きが活発な中、ユニコーンとして知名度も高い「23andMe」をはじめとして人向けの遺伝子検査を手掛けるスタートアップの注目度が高まっている昨今、アメリカではペット向けの遺伝子検査も普及し始めています。

各メディアでの比較記事に頻繁に登場するプロダクトはいくつかありますが、2つの人気プロダクトがあります。一つは買収を通じて遺伝子検査事業を強化してきた資本力のあるMarsによる「Wisdom Panel」、もう一つが2015年創業のスタートアップ「Embark」。今回は後者の「Embark」を見ていきます。

Boyco兄弟が率いるEmbark

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・会社名 : Embark Veterinary, Inc. 
・本社 :  ボストン(アメリカ)
・設立年  : 2015年
・創業者 : Adam Boyko, Ryan Boyko, Matt Salzberg, Spencer Wells
・調達状況 : Series A
・調達合計 : $16.3M
・投資家 : Freestyle Capital(Seed)、F-Prime Capital(Series A)、他

2015年に創業したEmbark。興味深いポイントはBoyko兄弟がEmbarkを率いているということ。兄のAdamは2011年からコーネル大学の助教授(犬の遺伝学)も務めており現在はEmbarkのChief Science Officer。現在もEmbarkとコーネル大学は提携関係。Adamが助教授になった以降、当時から存在していた犬向けの遺伝子検査「Wisdom Panel」や「DNA My Dog」とは異なるプロダクトを作るべく弟のRyanと「犬向けの23andMeをつくりたい」と議論を交わしていたとのこと。そして、現CEOのRyanは2005年にハーバード大学でコンピューターサイエンスの学位を取得。Ryanと同じスタディグループには在学中にfacebookを創業したザッカーバーグがいます(Forbes: A Startup, Embark, Wants To Be A 23andMe For Dogs)。

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2種類のプロダクト

飼い主向けには2種類のプロダクトが用意されています(ブリーダー向けにカスタマイズされた商品もあり)。以下写真のように検査範囲の狭い広いによって「Breed ID Kit」と「Breed + Health Kit」、2つの価格帯があります。Embarkのこれまでのテスト実績数の多さを根拠として、遺伝子検査の正確性は競合よりも10〜20倍高いと謳われています。

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顧客体験としてはともに、①会員登録して購入→②自宅に届いたキットに同封されている綿棒でペットの口の中をこすって返送→③3-5週間で検査結果が判明という簡易な流れです。

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それでは2つの商品を見ていくと

①Breed Identification Kit($129)

これはシンプルに犬種(350以上)や血統の特定を行うことができる遺伝子検査キット。どの犬種の血が何パーセント入っているのか、先祖(親、祖父母、曾祖父母)はどういう血筋を辿っているのかに関する家系図を把握することができます。Embarkで検査を受けて内容を外部に公開している人の中で、ペットの親戚を見つけて会うことも可能だそう。

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②Breed + Health Kit($199)

こちらが競合との差別化をしようと試みる主力商品かと思います。犬種に加えて、遺伝子からみた疾患リスクを特定できる検査で、緑内障(glaucoma)、変性性脊髄症(Degenerative Myelopathy)、肥大型心筋症(dilated cardiomyopathy)といった成犬で発症する代表的な病気を含む、190以上の遺伝性疾患を把握することができるようです。

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顧客の感情に寄り添った対応

私はスタートアップのプロダクトに対する顧客の反応を見るために、よくamazonやyelpを確認して(フェイクを見分ける感覚も大事)、ざっくりユーザーがどんな印象を持っているか把握するようにしています。

今回もUS Amazonで販売されているEmbarkのレビューを見てみると結構評判は良さそうです。コメントの中でも「疾患リスクに関して心配を要しそうな遺伝子検査結果が送り届けられる前に、獣医師から電話で結果内容についての説明があり助かった」のような、Embarkとして顧客体験を感情的にも大切にする評判が見られたのが印象的でした。

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実績数をベースとした正確性という点でのプロダクトの根幹にある提供価値だけでなく、徹底的に顧客の気持ちに寄り添った体験をデザインすること、それが差別化にもつながり、大手企業と競合するスタートアップとしての勝ち筋のヒントになるのかもしれませんね。

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