ペットxスタートアップ海外事例 D2Cドッグフードx獣医オンライン相談「Get Joy ゲットジョイ」
今回ご紹介するのは「Get Joy」というD2Cペットフードスタートアップ。
今一番流行りのD2Cフード。またかという感じですが、Get Joyは顧客に「Free On-Demand Vet Access」を24時間365日提供しているという点で、今後日本のフードブランドでも増えそうなので、先に紹介しておきます。
要はフードのサブスク既存会員は、獣医療の専門家と、いつでもどこでも、リモートで、チャットやビデオコールができ、ペットの健康に関して助言を受けられる、というサービスを組み込んでいるという点です。(現在は会員以外もアクセスできるよう。)
さらにGet Joyはメタバースにまで踏み込んでいるので、攻めてるなあという印象ですが、本業もこれからという時に、リソース分散できるはずもないので、実態としてはブランディング含めて長期投資の一施策でしょう。
それでは見ていきます。
Get Joy 会社概要
・本社:アメリカ、コネチカット
・創業年:2019年
・創業者:Tom Arrix
・資金調達フェーズ:Seed
・資金調達合計金額:$4M
ウェブのトップに「Unleash Wellness」とコピーが表現されていますが、ペット関連の企業で「Unleash」というコピー/言葉はよくつかわれます。動詞の場合、日本語のイメージとしては「解き放つ」という感覚です。可能性を解放するような文脈でよく使用されます。「犬をつなぐひも」をリーシュといいますよね。あれに「un」をつけた反意語で、解き放つ、と。ピュリナのアクセラプログラムも「Unleashed」ですね。逸れました。続けます。
創業者
LinkedInを見ると創業者のTomは、2006年から2013年までMeta(旧Facebook)で北米のGlobal Marketing SolutionsのVP。その後はマーケティング支援の会社を共同創業、Managing Partnerを務めたあと、2019年にGet Joyを創業。というのが主な経歴。その前は放送業界にも身を置いていたようで、デジタルx放送xコンテンツ、このあたりがキャリアのバックグラウンドでしょう。
資金調達進捗
1年前の2022年1月にSeedラウンドで$4Mを調達。2023年は余程ひどいリセッションに入らない限りVCのお金も戻ってきそうな感じはするのと、バリュエーションも回復する今年か来年、事業がうまく推移していけば、次のラウンドを検討しているのでは。
事業
上の写真の通り、ドッグフード、犬用トリーツとガム、そして、冒頭に説明したように獣医とのオンライン相談も事業として手掛けているのがGet Joyです。メタバースはひとまず脇に置いておきます。
ペットフードに関してはペットの家族は物価高騰がかなり気掛かりなはずで、インフレもどこまで長引いて顧客は価格転嫁に耐えられるのだろうか。実際にアメリカは2022年12月でペットフードのYoYの高騰率は15.2%。ペット関連のインフレは"Petflation"とも呼ばれています。
販売しているドッグフード
以下がヘルシーフレッシュフード。フレイバーは、ターキー、ビーフ、チキン、そしてここには載せていませんが、ラムもあるので、合計4種類を展開。価格はそれぞれ同一で$48.93で平均的な体重の犬だと1日あたり$6.99(日本円で900円ぐらい)。細かな説明はこちらからどうぞ。
以下がFreeze-Dried Food。32オンス(約900g)で価格は$59.99(日本円で800円ぐらい)。
チュー(ガム)は以下な感じですね。
付加サービスのオンライン相談
2023年内は既存顧客にあわせて、顧客以外も誰でも無料で使える様子。昨年は既存客にしぼっていたので、既存顧客の繋ぎ止めというよりは、新規客を獲得する施策としての位置付けに変化してきているかもしれません。助言を行う領域も幅広く、ウェブでは以下のように示されています。
FirstVetを紹介した際も、FirstVetは世界のペット保険会社何十社と提携して、ペット保険加入者は無料で獣医師や専門家とオンライン相談できる仕組みが当たり前になっていることを紹介しましたが、日本でも増えていくでしょうね。
メタバース進出
Get Joyは世界初のメタバース上でのドッグパークを開発すると宣言。「Get Joy Dog Zone」と名付けて、仮想世界「Decentraland」(イーサリアムブロックチェーン上で動く一つの仮想空間。トークンとしては$MANAが流通しているプラットフォーム。土地は$LAND)に2022年4月に立ち上げたのこと。実際にブラウザから入ってみましたが以下な感じ。Decentralandに入って「38.12」アドレスに移動すると「GetJoyDog-Zone」を確認できます。GetJoyロゴの入ったバンも確認できます。・・・めちゃくちゃ操作が重くてつかいものにならないので即退出。。。Get Joyは今これにリソース割く段階ではないでしょうね。
目的は「犬のウェルネスのために現実世界と仮想世界をつないでブランドと顧客のエンゲージメントを高めていく」とありましたが、具体的な運用はまだまだこれからでしょう。
単なるフードメーカー、フード通販会社から、ペットやペットの親を取り巻く困りごとをより本質的に解決をしようとすると、また、利益率の高いビジネスを育てていこうとすると、ペットウェルネス、ペットのウェルビーイング領域に入っていく事業展開が普通の考えだと思うので、日本でもペット関連企業が成長を語る資料は、今後もそんな内容にあふれるでしょうね。Petcoが「Petco Animal Supplies」から「Petco Health and Wellness Company」へとリブランディングしたような社名変更の後追いも増えそう。
以上、Get Joyの紹介でした。
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