見出し画像

海外ペットテック スタートアップ カオスマップから見る市場トレンド

米国拠点でアーリーステージのスタートアップに投資を行うベンチャーキャピタルLerer HippeauがMediumで紹介していたペットテックスタートアップのカオスマップを紹介します。制作は2021年と少し前のことですが全体像を掴む上では有益かと思います。

2021年版 ペットテックカオスマップ Lerer Hippeau©️

アメリカを中心とするペット市場のトレンド

マップを見ていると製作者の意図から海外、特にアメリカのペット市場のトレンドを垣間見ることができます。ざっと羅列するだけでもこのような感じ。まだまだたくさんあります。

・アメリカにおけるペット保険加入率の成長余地が豊富。加入率は2-3%と言われている。ペット保険のマーケットプレイスの成功事例も登場(Pawlicity他)
・ペット保険が解決しようとする課題、医療費負担の増大を解決する、ペット保険以外の解決策の登場=ペット版Fintechの台頭(ScratchpayFursure他)
・ペット保険でカバーできない予防医療の負担をカバーするペットウェルネスプランの一般化(wagmo他)
・コロナ禍に生じたpet adoption(里親)急増、その主要なプレイヤーであるシェルターやレスキューの運営効率化
・コロナ禍を通じた生活様式の変化によるオンライン診療/相談需要の増加(airvet他)
・同様にクリニックへの通院を不要とするオンライン薬局の台頭(mixlab他)
・ウェアラブルを中心としたペットxテクノロジーの日常生活への浸透(whistle他)
・スマートデバイス浸透によるペットの日常データ取得と個別最適化した健康プランの助言
・フードは市場規模は大きく且つ引き続き成長領域。ペットの「人間化("Pet Humanizatoin")」のトレンドに伴うペットフードの品質向上。Human-Gradeなフード=人間でも食べれるフードをペットにも与える、そして、人間と同様にペットの「個性」を重視して個体ごとにパーソナライズドしたフードを与えるというトレンド。
・フードの中でも多様なトレンド。フレッシュ、自宅調理、植物由来、代替タンパク質、CBD、ネガティブカーボン、等々。
・メンバーシップ&サブスク型、デジタルの力で滑らかな医療体験を再構築しようとする動物病院の台頭(smalldoor他)。

ペットテック投資ポートフォリオ

Lerer Hippeauは以下のようなペットスタートアップに出資を行なっているようです。
・メディア&コンテンツ(The Dodo
・ペットフード&プロダクト(OllieBarkBox
・垂直型eCommerceマーケットプレイス(Corro
・IoT(Fi
・獣医療(Small Door
・薬(FidoCure
・ペット保険会社(Fetch by the Dodo 旧Petplan)
日本でペットテックスタートアップに幅広く投資しているベンチャーキャピタルはエンジェル投資家を除いて稀有だと思いますがアメリカではこのようなプレイヤーが複数存在しています。いくつかメモです。
→Dodoは巨大なペットメディアを持ちながら保険領域への参入を果たしています。Dodoのペット保険参入の記事はこちら
→Ollieはフレッシュ&パーソナライズされたD2Cフードの草分け的な存在です。
→Barkboxは既に上場しています(Barkを紹介した記事はこちらこちら)。ちなみにアメリカでSPAC上場した企業は2021年〜2022年にかけて軒並み撃沈していますがBarkもその一社。上場以来、株価は90%以上下落。FEDによる強力な政策金利引き上げによるPERの剥落が株価下落の主要因ですが、2023年はリセッションを控える中での業績に注目しています。

着目する市場のトレンドはZ世代による消費

ちなみにLerer Hippeauが着目しているペット市場におけるトレンドは若い世代(Z世代、ミレニアル世代)の台頭。以下のチャートはアメリカにおけるペット飼育者の世代別構成割合。「最も孤独な世代」と呼ばれるZ世代は消費が旺盛になる時機にペットとの触れ合いを求めることが多いようです。犬の飼育者の中でミレニアル世代とZ世代は現在45%を占めており、2025年には60%を構成すると予想されています。

アメリカにおける世代別 犬の飼育割合構成

◆ ◆ ◆

その他、Nestle/PurinaやCB Insightsが制作したカオスマップを紹介した記事は以下から。


いいなと思ったら応援しよう!