ネスレピュリナ注目のペットテック/ペットケア関連スタートアップ #1
今日はペット関連のグローバル企業がどんなペットテック、ペットケアスタートアップに注目しているかをご紹介します。その中でも今回はネスレ/ピュリナに注目を当ててみます。
ネスレのペットケアブランド「Purina/ピュリナ」がグローバルで展開するペットケアのスタートアップ企業の育成サポートプログラム「Unleashed」。オープンイノベーションの取り組みですね。
ちなみにネスレの競合であるMarsによるオープンイノベーションの一つは「Leap Venture Studio」。クリエイティブエージェンシーのR/GAと非営利団体のMichelson Found Animalsとの協業で進められています。
2023年からはAPAC、具体的には、日本、オーストラリア、ニュージーランドのスタートアップにも門戸が開かれています。既に応募は締め切られており、今回のWinnersは来月3月頃に発表されるようです。
2019年から開始されたこの取り組み。毎年6社ずつ選抜され、すでにアラムナイスタートアップが18社いるので、過去にどのようなペットテック、ペットケアスタートアップが選抜されていたのか、注目されていたのか。その変遷とともに3回(2020年、2021年、2022年)に分けてご紹介したいと思います。今回紹介するのは2020年Winnersの6社から。
2020年に選抜された6社
・Novameat 植物性の代替肉ペットフード 🇪🇸
・Borrow My Doggy ペットケアのマーケットプレイス(犬向け)🇬🇧
・BlueNalu 培養魚肉ペットフード🇺🇸
・Cat in a Flat ペットケアのマーケットプレイス(猫向け)🇬🇧
・PETABLE 獣医とペットの親をつなぐデジタルソリューション🇵🇹
・OneMindDogs 犬のトレーニング🇫🇮
1.Novameat 植物性の代替肉ペットフード(スペイン)
・創業年:2018年
・創業地:スペイン バルセロナ
・合計調達額:€5.5M
フードテックスタートアップのNovameat。3Dプリンターで生成する技術を活かしてPlant-basedのフードを手掛けます。まだ商用段階には至っていない状況。ペット向けというよりも人向けの商品としての方が有名な気がします。2020年当時(今もだと思いますが)はペット向けの商品展開を協業するパートナーを探していた様子。現段階では市場で販売しているペットフードは無いと思いますが、「ペットの家族化」が進むにつれてペットフードの細分化も進み、サステナビリティやサーキュラーエコノミーの文脈に沿った植物由来のペットフードの人気も徐々に高まる中、今後も注目しておきたい一社です。
2.Borrow My Doggy 犬向けペットケアのマーケットプレイス(イギリス)
・創業年:2012年
・創業地:イギリス ロンドン
・合計調達額:$3.4M
BorrowMyDoggyは、自分のペットの世話を手伝ってくれる信頼できる地元の愛犬家を見つけることができるオンラインプラットフォーム。犬の散歩、犬のシッティング等。RoverやWag!等が手掛けるペットケアのCtoCマッチングサービスのイギリス特化版ですね。2012年創業なのでこの類のサービス提供者としては老舗。サービスの訴求として「地域でペットを育てよう」だったり「ペットは飼えないけれど週末や休日にペットと触れ合うために」といったような言葉が並ぶので、グローバルに展開するプレイヤーとの差別化を図っている様子。
3.BlueNalu 培養魚肉ペットフード(アメリカ)
・創業年:2017年
・創業地:アメリカ サンディエゴ
・合計調達額:$84.8M
上の写真は実際のマグロではなく培養肉です。BlueNaluは"cell-cultured seafood"いわゆる"細胞培養水産物"を提供するフードテックスタートアップ。魚の組織から生きた細胞を分離し培養液に入れて増殖させることで水産物を生成している。世界の水産物の需要はかつてないほど高まる一方で供給はこの需要に追いつかず、1970年以降に海洋生物の個体数は半減していたり、現在のシーフードには様々な環境汚染物質が含まれていたり、という社会的課題への解決策。現在はまだペットフードの販売には至っていない様子なので既述のNovameat同様にペット事業におけるパートナーを探しているか、既にステルスに進めているか、今後に期待。日本からは住友商事も出資している。
4.Cat in a Flat 猫向けペットケアのマーケットプレイス(イギリス)
・創業年:2014年
・創業地:イギリス ロンドン
・合計調達額:£50.6K
Cat in a Flatは上述のBorrowMyDoggyの猫版。創業地はイギリスですが既に欧州数カ国やアメリカへも展開している様子。ペットフードや健康管理IoTも猫特化版のスタートアップが誕生していますがペットケアのマーケットプレイスで猫特化はあまり他に見たことがないかも。私も猫と過ごす毎日なので家を数日離れる際に猫の世話をどうするかは悩みの種。きっと皆さんも同じ気持ちですよね。私は近所でペットシッターを提供する方にお願いする習慣になっていますが、世界的に普及している解決策はオンデマンド型のCtoCマッチング。今後どんなサービスが出てくるかは楽しみです。
5.PETABLE 獣医とペットの親をつなぐデジタルソリューション(ポルトガル)
・創業年:2013年
・創業地:ポルトガル リスボン
・合計調達額:€700K
PETABLEはペットの親と動物病院(獣医師)をモバイルで繋いでペットの予防ケア、健康管理を行うソフトウェアを提供。獣医からも積極的にリマインダーを出すなどして自宅でのペットケアの質の向上を目的としている。ビジネスとしては動物病院向けのSaaSで利用料は以下の通り。ペットの家族はもちろん無料で利用できる。
6.OneMindDogs 犬のトレーニング(フィンランド)
・創業年:2012年
・創業地:フィンランド トゥルク
・合計調達額:€900K
OneMindDogsは独自のメソッドに基づいた犬のトレーニングを月額課金のアプリで提供するスタートアップ。ビデオを確認して愛犬のトレーニングを行い、アプリを通じて専門家からのフィードバックやアドバイスを得られるという仕組み。ちなみに調達した€900Kのうち、€600Kは2019年に実施した株式投資型のクラウドファンディングで調達。
という2020年Winnerの6社でした。
人向けのフードテック、CtoCマッチング、という2020年時のトレンドを受けての選抜だったのかと思います。
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