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【映画の中の詩】『わたしの願い』(1953)
わたしはあなたをどのように愛しているか ひとつひとつ数えあげさせてください
ダグラス・サーク監督。バーバラ・スタンウィック主演。
スタンウィック演じるドサ回りのボードビル芝居の役者ナオミは、舞台女優としてのキャリアを築くため夫と子どもたちを捨てて田舎町を出たという過去を持つ。
女優を志す娘は母を成功した舞台女優であると誤解していて、高校の卒業記念の公演を観に来てほしいという手紙をよこす。
10年ぶりに帰った町で、彼女は娘の期待通りの一流女優のふりをする。
朗読されるのは、エリザベス・バレット・ブラウニングの「ポルトガル語からのソネット」の43番。
『欲望という名の電車』(1951)『夢で逢いましょう』(1951)でも引用されている、エリザベス・ブラウニングの詩の中で最も有名な作品です。
「ポルトガル語からのソネット #43」エリザベス・バレット・ブラウニング
わたしはあなたをどのように愛しているか ひとつひとつ数えあげさせてください
あなたを愛します わたしの魂が とどく限りに深く広く高く
目には見えない存在と 神の恵みにふれるように
あなたを愛します 日々のいとなみ
昼の陽と 夜灯す ろうそくのように
あなたを愛します 誇りを持って 正しい行いをすることを選ぶ人のように
あなたを愛します 純粋に なんの見返りも求めない人のように
あなたを愛します 悲しみを湛えた日々に熱く祈った 幼いころの信仰心のように
あなたを愛します なくしていたはずの 信じたい心がもどってきたように
あなたを愛します 息をするときも 笑顔のときも 涙のときも
生きているということ そのもののように
そして 神さまがお望みになるなら
わたしはあなたを もっと愛することにいたしましょう
わたしの 死んだあとに
参考リンク:
『十四行詩(ソネット)―ポルトガル語からの―』(石井正之助訳) 世界詩人全集 第3巻 河出書房 https://dl.ndl.go.jp/pid/1335731/1/91