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【映画の中の詩】『愛の調べ』(1947)
―― トロイメライはまだその甘美なメロディをやめない
「献呈」は、フリードリヒ・リュッケルトの詩にシューマンが曲をつけて妻クララに捧げるシーンです。
リュッケルトは忘れられた詩人扱いですが、名だたる作曲家たちによりその詩が歌曲とされたために音楽畑では今もよく知られているとか。
君はわがたましい わがこころ
君はわが嘆き わがよろこび
君はわが半身 わが夢 うつつ
天と地を写し出す
永劫の鏡
フリードリヒ・ヘッベルの詩はシューマンのピアノ曲集『森の情景』の1曲に添えられたもの。
しだいに精神を病んでゆくシューマンに重ねられるような演出になっています。
開巻、キャサリン・ヘップバーンの見事な演奏シーンから始まります。が、この映画の実際のピアノの演奏はすべてルービンシュタインが弾き分けたものだそうです。
参考リンク:
春山行夫の映画評がありました。
〈リンゴの花咲くドイツの春をしのびながら、久しぶりに美しい映画をみて、こころが洗いきよめられるように樂しかった。〉(『青空』[1949-04、広島図書]) https://dl.ndl.go.jp/pid/1722085/1/20
『愛の調べ 』(英和対訳モーションピクチュアライブラリー ; 22)
バーナード・シューバート, マリオ・シルヴァ, 長谷川修二
https://dl.ndl.go.jp/pid/10264394/1/1