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【研究・学会発表】オシャレな発表スライドを作成するために気を付けていること
学会発表のスライド作りから現実逃避するためにスライド作った👋🥱 pic.twitter.com/WSYghDNfOi
— ぺさかわ🥨 (@Pessary_mount) January 21, 2022
割といいねが多かったこのツイート。
全ての放射線技師が学会発表の道を通るわけではありませんが、そうでなくても「資料を作って他人に見てもらう」という機会は社会人であれば避けて通れません。マニュアル作り、部内広報、イベントチラシ、etc.…。さらに「資料を使って聴衆にプレゼンする」を学ぶ機会と言う意味では、個人的には小さな規模でも良いので、若い技師には1回でも発表の経験を積んでもらいたいと思っています。
「内容が良ければスライドの見栄えは関係なく伝わる」という意見もありますが、そもそも「見る気も起きない」スライド(プレゼン資料)はどんなに内容が良くても無価値です。
プレゼンテーションをおこなう上で多くの⼈が参考にしているアプローチに、「メラビアンの法則」というものがあります。⽶国の⼼理学者 アルバート‧メラビアン⽒が発表したもので、「Verbal= ⾔語情報」 「Vocal= 聴覚情報」「Visual=視覚情報」の頭⽂字をとって「3V の法則」とも呼ばれています。
この法則では、コミュニケーションにおいて話し⼿が聞き⼿に与える影響は、「⾔葉や⽂章などの⾔語情報 が7%」「声のトーンや⼝調などの聴覚情報が38%」「⾒た⽬などの視覚情報が55%」の割合になると説いています。
これは単に「⾔葉や⽂章よりも⾒た⽬が重要」というわけではありません。いくら内容が良くても、話し⽅ や⾒た⽬の雰囲気にも気を配らないと、聞き⼿の⼼理によって間違った受け取り⽅をされる可能性があると いうことを⽰唆しています。裏を返せば、内容、話し⽅、⾒た⽬が合致することで、情報をより正確に、より印象的に伝えることができるのです。
0.まずは目を通しておくべきサイト(書籍)
プレゼン資料を作成する際の必読と言っても良いでしょう。HPにも多くの情報が載っており無料で学べますが、個人的には書籍版を購入することをお勧めします。
途中途中にコラムがあり、「PowerPointの小技」的な情報が非常に有用です。
1.スライドのサイズは4:3か16:9か問題
最近の個人的トピックですが、学会等で指定がある場合はそれに則るのが原則です。
昔はスライドと言えば4:3で作成するのが基本でした。しかしPCディスプレーがワイド画面が主流となり、またweb学会が増えたことにより16:9で指定される機会も増えてきました。一方、イベント会場のプロジェクタが4:3仕様になっている場合、16:9サイズでスライドを作ってしまうと悲惨な目にあいます。
【 再掲|パワポのスライドサイズ選びのポイント 】ワイド画面のスライドをA4用紙いっぱいに印刷したとき、上下の空きが気になったことはありませんか? これはスライドと印刷用紙の縦横比が異なるために発生する現象です。パワポの主要なスライドサイズと、環境ごとの見え方の違いをまとめました。 pic.twitter.com/RQyqUrv7Zs
— プレゼンデザイン (@presen_design) July 15, 2022
上記ツイート先の画像を見てもらえばわかりますが、「A4」で作成すると、どちらの環境になっても「ロスが少ない」ことになります(逆にどっちの化環境でも少し縮む)。私は最近の発表の場では指定が無い限りは(と言うか指定があっても)「A4」で作成する凶行に出ています。これは「過去スライドを使い回したいのに、機会によってはプロジェクの画角が変わる」という場合にも対応でき便利です。ただし繰り返しになりますが学会等で指定がある場合はそれに則るのが原則です。
2.フォントはメイリオ一択なのか?問題
最近のWindowsでは標準フォントが「游ゴシック」になっています。これは美しいフォントだと個人的に思いますが、「大文字のⅠ(アイ)」と「小文字のL(エル)」の見分けがつかないという大きな欠点があります。
![](https://assets.st-note.com/img/1667751996288-NQ305hDAsg.png?width=1200)
多くのスライド作成指南サイトでは「とりあえずメイリオを使っておけばOK」という記述が多いです。これは間違いではないと思いますが、超個人的な好みの問題として「英数の横幅、狭くない?」という印象を持っています。また標準線幅と太字との落差が大きすぎるなぁ、とも思います。
パワポで結構深刻な問題として「メイリオ、上に寄る問題」もあります。これは「Meiryo UI」を使えば解決するのですが、UIフォントだとさらに英数の幅が狭くなります。
そこで、さらに一歩上を行くフォントとして「UDフォント(ユニバーサルデザインフォント)」の使用を検討してみてはいかがでしょうか?
実は一定数の割合で「明朝体が読みづらい」「英文独特のフォントが読みづらい」という「ディスクレシア」という視覚障害を持つ方が(自覚の有無も含め)居ます。そういった方々に配慮したフォントを使用することで、ストレスなく内容を頭に入れてもらうことが可能になります。
Windows標準であれば「BIZ UDPゴシック」と「UD デジタル 教科書体 NK-R」が見栄えが良いです。後者は非常に優しい印象を受けますが、「数字の1」と「小文字のL(エル)」の区別がつかず、また太字にした際の強調が足りない欠点があります。
ちなみに私は「BIZ UDPゴシック」をメインに使っていますが、英数字は別のフォント(Verdana)を組み合わせて使用しています。
3.エクセルのグラフはそのまま貼るな!問題
![](https://assets.st-note.com/img/1667753223949-Uc0QkH0Gdq.png?width=1200)
右が最適と言うわけではありません。例えばスライドのフォントをメイリオで作成していても、エクセルのフォントが「遊ゴシック」であった場合に、資料内でフォントが一貫しないという事象が起きます。また後述します「スライドのテーマカラー」から逸脱した色が使われてしまう場合があります。図表はプレゼンの「最大の目玉」なのでフォントサイズや色にもこだわるようにしましょう。
4.色はどうしよう問題
![](https://assets.st-note.com/img/1667754035408-TQ1xeTUu19.png?width=1200)
まずは「背景は白(系)バックか、黒(系)バックか問題」というものがあります。昔のプロジェクタは性能が悪かったために、明るい背景を使用すると目がチカチカするということがあり「黒っぽい背景に白っぽい文字」というのが推奨されていました。しかし近年のプロジェクは視聴環境の向上により、近年は「白っぽい背景に黒っぽい文字」の方が好評な気がします。
![](https://assets.st-note.com/img/1667754332057-GPHnErkmXk.png?width=1200)
ここでのテクニックとして「真っ白」と「真っ黒」を避ける、というものがあります。輝度・コントラストが強いディスプレイの場合でも優しい印象を受けます。
![](https://assets.st-note.com/img/1667753516108-cTfKSuJN5D.png)
「テーマカラーは4色まで」とよく言われます。あまりに多数の色の使用は、何が重要な情報であるかというメッセージを失わせます。またWindowsで現れる「標準の色」は彩度と明度が高過ぎるため、目に優しくないですし「安易に色を選んでいる」感が出てしまい残念です。
色の選び方は本記事の冒頭の私のツイートにあるように、プロのデザイナーが使用している色をスポイトする手法を推奨します。あるいは下記に示すような配色サイトを活用しましょう。
5.フォントと配色を決めた「myテンプレ」を作っておく
![](https://assets.st-note.com/img/1667755312784-NHdhgrGl15.png?width=1200)
無料のPowerPointテンプレートを配布しているサイトも多いですので、それをカスタマイズして使用するのも良いです。ただし場が学会発表であればポップ過ぎるのもよろしくないので、ある程度はTPOに合った落ち着きのあるデザインを心がけましょう。
上記が私が使用している「myテンプレ」です。ここに自分の施設のロゴが入ったりしますが、オレンジなどは施設のロゴからスポイトした色を使用しています。割と良く出来ていると思います。
多くの学会発表は時間が7分~10分であり、正直に言うと「発表の内容はほとんど聴衆の頭には残らない」と言っても過言ではありません。グラフやデザインを駆使し、「記憶に残る強烈な一発」を残すのがある意味学会発表時のテクニックとも言えるでしょう。
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