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No.162 1991年10月 『新聞のほん』出版

 エッセーNo.17で、日本新聞協会が進めるNIEの存在を知り、関わるような経緯について述べました。そして、エッセーNo.120で私の本格的なNIE起点の授業としての「新聞と友だちになろう」(1989年度5年生の授業)について記述しました。今回はメディアが発信する情報を評価し批判的に理解する能力と共にメディアを使いこなす技能を身につけるメディアリテラシーを意識した「新聞と友だちになろう」の授業を基に執筆した『新聞のほん』(リブリオ出版、1992年)についてご紹介致します。
 この本は小学生を対象にした子ども向きの本で、私が一人で執筆した拙著になります。幸いなことに私の初めての単著に、元文部大臣・国連大学特別顧問・国際文化会館理事長の永井道雄氏が推薦文をお書き下さり推薦して下さったことです。「新聞と友だちになろう」の授業と『新聞のほん』の出版はその後の私のNIE実践と研究の原点になる貴重な経験でした。


 本書の目次は以下です。
Ⅰ 新聞を開いてみよう
Ⅱ 新聞となかよくなろう
 見出しをキャッチ 写真をキャッチ 数字をキャッチ イラストをキャッチ
 おもしろ広告をキャッチ 4コママンガをキャッチ テレビ欄をキャッチ
 新聞のまちがいをキャッチ
Ⅲ 新聞と遊んでみよう
Ⅳ 日本のニュースを新聞に
 ニュースが原稿になるまで 原稿が新聞になるまで 日本のニュースを世界に送る
Ⅴ 世界のニュースを新聞に
 特派員と外報部 特派員に手紙でインタビュー 通信社のはたらき
Ⅵ 新聞あれこれ
 専門新聞 地方新聞 世界の新聞 新聞トピックス
  

 いくつかの章について見ていきましょう(ほんの一部です)。
Ⅰ 新聞を開いてみよう
 国際面の記事です。「ベルリンの壁崩壊」「新生ドイツのスタート」「米ソ冷戦時代に幕」「ゴルバチョフ大統領就任」など国際社会にとって大きな動きがあった時代でした。

Ⅱ 新聞となかよくなろう
 「新聞のまちがいをキャッチ」です。メディアリテラシーにとって新聞にも間違いがあることを理解しておくことはとても大切です。1989年の「新聞と友だちになろう」の授業時に偶然にも朝日・毎日・読売3社で大きな間違いが発生しました。3社とも記事の掲載を許可して頂きました。当時の前向きな姿勢にはとても感謝しました。
 
 「朝日新聞」のサンゴ礁を記者が自分で傷つけ「ねつ造」した記事でした。後に「おわび」も出されメディアの在り方が大きく問われた事件でした。

 グリコの江崎社長が誘拐された事件で犯人が取り調べを受けたという毎日新聞の「誤った記事」でした。後に「行き過ぎ紙面を自戒」の記事が出されました。事件は未解決時効を迎えましたが、この事件を題材にした映画「罪の声」(2020年)が公開されました。
 3幼女を殺害したとされる宮崎勤のアジトがあったとされる読売新聞の「誤った記事」でした。後に「おわび」が出されました。

Ⅲ 新聞と遊んでみよう
 子どもたちが新聞を使って自由研究を試みた作品を紹介しています。
 このページでは「日本の国土を追いかける」「歴史のなぞを追いかける」「世界のニュースを追いかける」子どもたちの研究の具体例を掲載しています。

Ⅳ 日本のニュースを新聞に
 ここでは「毎日新聞」編集局社会部での福永平和記者の行動を追いかけています。

Ⅴ 世界のニュースを新聞に
 ここでは授業で子どもたちが世界各地の特派員に手紙を出して、その役割や仕事のようすをお聞きしたものを基にして掲載しました。

 掲載させて頂いたのは以下の方です。
 波津博明記者(読売新聞、リオデジャネイロ特派員)
 黒田勝弘記者(産経新聞、ソウル特派員)現在もソウルに滞在されて報道されているようです。よくテレビで拝見します。
 伊藤友治記者(毎日新聞、ジンバブエ・ハラレ特派員)
 村上宏一記者(朝日新聞、テヘラン特派員)
 山本進記者(毎日新聞、ニューヨーク特派員)

Ⅵ 新聞あれこれ
 ここでは点字新聞の話題と「点字毎日」のことを取り上げています。
 

 子どもたちがこの『新聞のほん』を読み取り、新聞を読んだり新聞で研究したりすることにつながっていけばいいなという思いで出版しました。1991年の33年前の出版ですが、今でも何かのヒントが提供できましたら嬉しいです。


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