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No.11 2012年~ ゆるやかなフィールドワーク そこでの面白写真

私の専門教科は社会科です。他の教科と最も違うところは机の上の勉強だけではなく、国内外各地を訪ね実際に五感を働かせてその土地の文化に触れる研究が必要なことではないでしょうか。初等科で4―4-4制が本格的に動き出したのが2012年でした。その時から私は担任から社会科専科になり、5年生と6年生の社会科を務めることになりました。それまで多くのフィールドワークをしてきました(後に少しずつご紹介していきます)。確かに、今までのフィールドワークは私一人か研究グループで事前の計画に合わせてスケジュール通り進めることが時間の関係で不可欠でした。それなりの成果はありましたが、還暦近くになりもっとゆるやかなフィールドワークを心がけることにしました。それは、妻の「もっとゆっくり歩くといろいろなものが見えるよ」という旅行中の言葉です。電車やバスを使い、これからも二人でフィールドワークをしていく意向ですが、まだまだじっくり観察する力に私は欠けているようです。いつ直すか?今でしょ。

 ゆるやかにフィールドワークをしていくと面白い場面に出会いました。今回はそんな話題をご紹介いたします。

JR土合駅の462階段(2013年8月)
 映画「クライマーズハイ」(2008年、作家・横山秀夫氏が地元記者として日航機墜落事故を取材しその小説を映画化したもの)の冒頭で、谷川岳に向かう人物が土合駅の階段を登っていく場面が印象に残っていました。この階段はJR土合駅にあります。湯檜曾温泉に泊まりロープウェイで谷川岳天神平に登り谷川岳を見に行くことが数回ありました。ある時土合駅で降りてこの階段を登ってみました。この階段は462段あります。映画の人物のように階段を登ってみました。10分ぐらいかかりました。やはり疲れました。この土合駅上りと下りではホームの位置が異なるのです。そこも面白かったです。この「日本一のもぐら駅」には2020年から宿泊
や飲食施設、野外サウナがあります。ぜひ、訪ねてみたいです。

土合駅の階段

上高地の行儀がいい野生のお猿さん(2018年7月)
 上高地を初めて訪ねました。夏の避暑地として軽井沢や清里には何回も行きましたが、最近温暖化の影響か以前のようには涼しく感じられません。高地にある上高地はやはり涼しかったです。宿泊は温泉ホテルで標高1500mの自家源泉かけ流しのホテルで露天風呂も楽しめました。大正池、田代池、明神池、焼岳、穂高連峰など自然を満喫しました。5日間滞在しましたが、河童橋近くを散策していた時に、妻が「あれ、あそこにお猿さんがいる」と言うので見てみると、お猿さんが行儀よく岩に腰かけているのです。思わずカメラを向けました。何枚か撮ると「もういいでしょ」と言わんばかりに猿は歩いて山の方に向かいました。去る(サル)ことは得意なのでしょう。野生の動物を撮ることはほとんどなかったのですが面白いお猿さんが撮れました。

上高地の行儀がいい野生のお猿さん

ギネス記録 小豆島 世界一狭い海峡
「土淵海峡」(2019年8月)

 小豆島に5日間滞在しました。二十四の瞳映画村、寒霞渓(かんかけい)、銚子渓おさるの国、エンジェルロード、中山千枚田、迷路のまちなど訪ねましたが、ギネス記録の世界一狭い海峡「土淵海峡」に関心を持ちました。海峡とは「陸と陸の間に挟まれて、海の幅の狭くなったところ」を言います。日本では津軽海峡や関門海峡が有名ですね。「土淵海峡」は小豆島本島と前島の間を流れる全長2.5kmの海峡で、幅の最も狭いところは9.93mです。そこがギネス記録になっています。

「土淵海峡」

高尾山 たこ杉の中、ハートの蜘蛛の巣(2020年8月)
 以前引率したことがあるのですが、初等科でも5年生が高尾山に遠足で行ったことがあります。歩いて登りお弁当を食べて遊び帰りはケーブルカーで下っていきました。ところが、学校から高尾山までバスでの往復に時間がかかるということで他の場所に代わりました。現在、高尾山は外国人にも人気があり多くの方のハイキングコースになっています。私と妻は本格的な登山はできないので、高尾山や御岳山にはよく行きます。ゆっくり歩いて見る習慣が少しついてきたのか、サル園・野草園の近くの「たこ杉」の根の穴にハートの形をした蜘蛛の巣を見つけました。蜘蛛の巣には結構関心をもってよく見ていますが、ハートの形は初めてです。このハートの蜘蛛の巣、蜘蛛だけに何か意図(糸)があったのでしょうか。

タコ杉の根 根の穴にハート型の蜘蛛の巣が

塩原温泉 街を歩いていると(2021年3月)
 
宿泊してのフィールドワークをする時には近くに温泉の宿があることを原則にしています。温泉は私たちにとって大きな楽しみです。塩原温泉は関東地方の有名な温泉地ではまだ行っていない所でした。那須塩原温泉として有名な温泉ですが、少し活気がないことが気になりました。人も少ない街を歩いていると、写真のような龍の口から水が出ている水道がいつかありました。これも妻が見つけました。まだまだ私にはじっくり観察する力がありませんでした。市内を流れている犀川のほとりには小さな露天風呂がありました。入りたかったです。        

 昔、源氏の武将が再興を期して隠れ住んでいたとされる鍾乳洞の源三窟に行く途中でした。階段を登って行くのですが、途中にその段階に応じて言葉が書いてありました。それも妻が見つけました。階段の最初の方でした。「まだまだ余裕さ」の見出しで「人は年を重ねるから老いるのではない。夢を失った時から老いが始まる。」という文章です。素敵な言葉だと思いました。私たちはどのような夢を持っているのだろうか考えてしまいました。そう言えば昭和30年代に、橋幸夫と吉永小百合のデュエット「いつでも夢を」という歌があり、映画もあり観ました。「いつでも夢を持っていれば老いることはないか」と考えていくことにしました。

龍の口から水が出ている
夢を失ったときから老いがはじまる

面白写真、これからも撮れるよう「ゆるやかなフィールドワーク」を心がけます。

参考
土合駅|ググっと群馬公式サイト|
上高地公式ウェブサイト
土淵海峡|ワクワク小豆島
高尾山遊歩
塩原温泉公式ページ

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