No.180 2024年7月 ヒミツキチ森学園を再訪する
2024年7月にオルタナティブスクール(もう1つの学校)の葉山にある「ヒミツキチ森学園」を再訪しました。
初めての訪問のようすは、エッセー138「2022年11月~ オルタナティブスクール(もう1つの学校)に関心をもって」にありますので参照して下さい。
今回は「ヒミツキチ森学園のステッカー」をつくり販売するプロジェクトの過程がわかる発表会の様子を視察させて頂きました。同じ7月に訪問した軽井沢風越学園の「テーマプロジェクト」のミニ版を見ているような感じでした。私のような外部からの参観者以外にも保護者が自由に参加していました。とても面白かったです。各グループのプレゼンに必ずフィードバックをすることも共通していました。あるグループでの私のフィードバックに対してグループリーダー(先生)に「こんなフィードバックがあった」とキラキラ輝く顔で話していた子どもが印象に残っています。教育の中心には「笑顔」が最も大切ですよね。
プロジェクトでこどもたちが関わったステッカーを売っていました。私も買いました。
ヒミツキチ森学園
https://himitsukichi-school.com/
ヒミツキチ森学園はイエナプランに基づいた実践をしています。実は私はイエナプランについて精通しているわけではないので、現在学び中です。次のホームページが参考になります。
日本イエナプラン教育協会
https://japanjenaplan.org/
今回はこのプロジェクトを推進する教師に焦点をあてました。ホームページを見ますと4人のスタッフがいます。みな個性的な人柄です
前回の訪問時もお会いしていますが、青山雄太(あおちゃん)グループリーダーの教え方にとても関心を持ちました。穏やかな教え方が子どもたちに安心感を与えています。今回も私のフィードバックに喜んでいた子どもにも穏やかに接していました。今回少し話すことができ私の考えが間違っていないことを確認できたようです。
ホームページの「メンバー紹介」に次のように書かれています。
青山 雄太(あおちゃん)グループリーダー
こんにちは!ヒミツキチ森学園のグループリーダー(先生)のあおです。本名を青山雄太と言います。ボクは15年間公立の小学校で、先生をしていました。学校現場は、本当に楽しく、涙するほど感動する場面も多く、子どもたちの成長を近くで支えることができる尊い仕事だなぁって今でも思っています。
でも続けてきたからこその違和感もありました。それは「目の前の子どもたち一人ひとりの個性を、自分が削ってしまっているのではないか」という感覚です。
学校の中では「集団で動くこと」「やらなくてはならないこと」が多数あります。先生としての自分と個人としての自分は、いつもぶつかっていました。「こうすればいいんだけど」を抱えながら、でもやらなくてはいけないことを優先して子どもを動かしてしまう…
学校は社会の縮図であって欲しいと願っています。
ボクが生まれた頃に比べて、随分と世の中は変わりました。当時は誤解を恐れずに言えば、成績でいう「オール4をとる子」が社会に必要とされていて、そういった子を育てるのが学校の役目だったと思います。得意なことを伸ばすよりかは、苦手を克服するのに時間をかけ、指摘されては直していく。この姿は実は今の学校でも変わらず残っています。
でも時代は変わりました。「オール4」に価値は無くなってきているのです。それよりもとびっきり突出した「5」の方が必要とされてはないでしょうか。他の苦手なことがあっても、輝く1つの個性があれば、それで生きていける…そんな時代が来ているのです。
PLAYFULに出会って一緒に立ち上げたヒミツキチ森学園。4年目を迎えて人数も増えて、賑やかになりました。
今でもふと思います。
「ボクは子どもたちの角を削っていないだろうか。」
そんな時は子どもたちの様子をじっと見つめてみます。
そこには、今日も個性を尖らせて輝いている子どもたちの姿があり、それが何よりも尊いです。
ぜひボクらの学園に遊びに来て、そんな子どもたちに出会ってください!
青山雄太グループリーダーは既に単著を2冊出されています。
『先生が知っておきたい「仕事」のデザイン』(明治図書、2022年)
『「プロジェクト活動」のススメ』(明治図書、2024年)
今回、『「プロジェクト活動」のススメ』から青山グループリーダーの考え・実践を探ってみます
本書の章立てを紹介致します。
第1章 プロジェクト活動とは何か?
第2章 プロジェクト活動を始めてみよう
第3章 プロジェクト活動でクラスが変わる
第4章 プロジェクト活動を支えるクラスづくり
第5章 進化し続けるプロジェクト活動
巻末Q&A プロジェクト活動を始めたいと思ったら
本書はおそらく公立小学校の先生方に向けたものと思われます。プロジェクト学習と係活動を繋ぐことを意図しています。一部の私立小学校やオルタナティブスクールで実践しているプロジェクト学習についてほとんど言及はしていません。この視点はとても大切で、私も担任しているある時期に「今までにないような学級の係活動を考えよう」と提案して実践したことがあります。面白かった経験があります。プロジェクト活動を一部の学校に限定せず応用できる方法を提起していることが分かります。青山さんの考えがよく表れています。
オルタナティブスクールでのプロジェクト学習については、第5章の中に「マイプロジェクトからクラスプロジェクトへ」「やりたいことを自分でプレゼン! 予算獲得して『つくる』」Column「プロジェクトを共につくる」がとても参考になるでしょう。ヒミツキチ森学園の活動が理解できます。
青山雄太グループリーダーの実践を今後も追いかけていくつもりです。ここにきて1つさらに探究してみたい課題が出てきました。
前記の青山さんの「メンバー紹介」の文章の中で「PLAYFULに出会って一緒に立ち上げたヒミツキチ森学園。」とあります。「PLAYFUL」とはどのような組織なのでしょうか。
PLAYFUL
https://www.playfulinc.co.jp/
ホームページのトップに次のような文章がありました。
playfulは、YouTubeなど、スポーツを中心とする動画チャンネル運営およびそれに付帯するコンテンツ・広告・パブリシティ・イベント事業を行う会社です。playfulとは遊び心を意味します。スポーツの楽しみ方を、企画を凝らし、想いを馳せ、情熱を傾けながら、増やしていくことを目指します。
今後オルタナティブスクールではそれぞれどのようなグループが支援しているのか、そしてどのようにスクールの運営に関わっているのか調べてみることにしました。