キャラソン日記 2023年7月編その2
こんにちは、私的音楽同好会です。
今回は、2023年7月下旬分の #キャラソン日記 をまとめました。
ぜひ皆さまも、レビューを読みながら曲を聴いてみてください!
7/18 最強無敵アイドルさっちゃんあらわる
歌唱:さっちゃん(CV. 高野麻里佳)
発表年:2018
作品名:三ツ星カラーズ
東京都台東区上野の平和を守る小学生3人組三ツ星カラーズのメンバー、人一倍元気なさっちゃん(黄瀬沙希)がアイドルごっこをしているキャラソン。一般的に、キャラクターソングを苦手と思う一因として「キャラが歌う理由が分からない」ことが挙げられることが多い。本曲も、キャラソン演出上の過度な自己顕示である、ファンによって欲望されたキャラ像を歌わされている、と捉えて遠ざけてしまう人もいるだろう。しかしさっちゃんは、三ツ星カラーズの中でも実は気配り上手であり、自分の元気な言動も活用して周囲を楽しませているのだ。そのため、本曲でアイドルごっこを通して大っぴらに自分について歌うことも、さっちゃん自身の姿勢と矛盾しておらず、さっちゃんの日常の一部になっている。どんな時も、「一度きりに全力、それが私」なのだ。
7/19 めいあいへるぷゆー?
歌唱:山神ルーシー(略)、三好紗耶、千早恵(CV:茅野愛衣・中原麻衣・豊崎愛生)
発表年:2013
作品名:サーバント×サービス
「WORKING!!」の作者である高津カリノ氏の別作品である「サーバント×サービス」のOPである本曲。話中に登場する山神ルーシー(略)、三好紗耶、千早恵の3人が歌っている。
曲としてはPlus-Tech Squeeze BoxやYMCKに代表される「ネオ渋谷系」ムーブメントを見事に踏襲。複雑なトイピアノのフレーズや止めどなく鳴り続ける効果音、ポイントごとに忙しなく変わり続ける楽器群など、曲全体を通して洪水のような情報量の音が鳴り続ける。
このカラフルで明るい音色がコメディタッチな本作と見事にマッチしていると感じられる。
筆者個人的にはCメロ前の間奏でのみ突如登場して弾き倒すフラメンコギターがかなりツボ。
7/20 なんでもちゃんと
歌唱:二葉あおい(CV:村川梨衣)
発表年:2013
作品名:ビビッドレッド・オペレーション
ビビオペのニコ生で暴れ回っていた”りえしょん”による、軽快なリズムのナンバー。当時、「りえしょんってこんなお淑やかな声出せるんだ......プロってすごい」と感嘆したものである。ギターのアレンジもとっても軽妙でいいし、何より、りえしょんの歌が上手い!!「サ行」の発音が特徴的なのも、「村川梨衣らしさ」を感じられていい。一色あかね(CV:佐倉綾音)とのデュエット曲である「We Are One!」もいい曲なのでそちらも是非。
7/21 staple stable
歌唱:戦場ヶ原ひたぎ(CV:斎藤千和)
発表年:2009
作品名:化物語
アニメ『化物語』のオープニングソング。作詞は中川翔子への作詞提供で知られるmeg rock、作曲は『涼宮ハルヒの憂鬱』の劇伴・挿入歌で名を馳せた神前暁であり、ゼロ年代アニソンを語る上で外せない2人が作詞作曲を務めている。爽やかなギターとは対照的な深刻さを感じさせるリリックや、「いじわるで優しい」という撞着しているサビ部分の歌詞は実写映像をふんだんに使ったオープニングと合わさることによって、ヒロインの戦場ヶ原ひたぎの機微を巧みに表現している。また、個人的な解釈になるが「重さじゃ量れない こんな想い」という歌詞には「想い」と「重い」の二重の意味が込められており、怪異に体重を奪われていた戦場ヶ原ひたぎの心情を巧妙に描写している。ヒロインの二重性を各所に散りばめた名曲だ。
7/22 スイーツランド・パラドックス
歌唱:白咲花(CV:指出毬亜)
発表年:2020
作品名:私に天使が舞い降りた!
甘いお菓子に弾む心とそれを乗せるキラキラのシャッフルビートは相性抜群。 同じく白咲花の歌うキャラソン「シュガーコート・ドリーム」(2019)の続編とも言うべきダンスチューン。キャラソンを2曲並べて聴くだけでも展開が見えてとても良い、、
7/24 マイペースでいきましょう
歌唱:七森中☆ごらく部
発表年:2011
作品名:ゆるゆり
一人で歌唱する曲ではなく、ごらく部のみんなで歌唱する曲である。『ゆるゆり』のキャラソンでは、例えば、赤座あかりのキャラソンでは不憫な子という彼女のキャラクター性が前面に押し出されているように、個人のキャラクターソングではその個人について歌った内容となっている。
それに対して、この曲では、ごらく部というコミュニティの〈好きにだらだらするだけ〉というアティチュードがよく表現されている。個人の内面を歌った曲というのもキャラソンらしくて良いが、個ではなく集団としてのアティチュードを歌うというのもまた別のキャラソンのあり方であろう。
7/25 ふわふわチョップ!とまチョップ
歌唱:とまチョップ
発表年:2019
作品名:-
「キャラソン」とは何だろうか。暗黙的に「アニメのキャラクター」が歌う曲を指す事が一般的であるが、果たしてその定義は絶対的なものだろうか?我々にとって一つ悩ましいテーマかもしれない。
こういう時はエッジケースを考えてみるのが一つの策だ。本曲の歌唱者はアニメキャラでもなければ所謂「二次元」のキャラでもない。北海道は苫小牧市のご当地ゆるキャラである「とまチョップ」である。
作曲にvoid、編曲にRoughSketch名義でも知られるuno(IOSYS)が参加。非常に質の高いエレクトロポップが鳴らされる。
また歌詞もとまチョップのキャラクターを反映した内容となっている。「鶏肉だけ抜きのメニューでお疲れさん 未来の市長 夢見ておやすみね」など非常にキュートだ。
キャラクターがいて、そのパーソナリティがあって、その内容が反映された歌詞と曲があって、それをキャラクター自身が歌って踊っている。これは「キャラソン」ではないか? さて、改めて問いたい。「キャラソン」とは何だろうか?
7/26 トップをねらえ!~Fly High~
歌唱:タカヤ・ノリコ(CV:日高のり子)/アマノ・カズミ(CV:佐久間レイ)
発表年:1989
作品名:トップをねらえ!
庵野秀明の出世作であり、現在でも高く評価されている『トップをねらえ!』の挿入歌である。80年代アイドル文化を踏襲しながら『トップをねらえ!』のスポコン×百合の世界観を綺麗に描きだした。ちなみに『トップをねらえ!』とほぼ同時代に日高のり子と佐久間レイの2人は『らんま1/2』でも共演しており、『トップをねらえ!』とは真逆の関係性が描かれている。
7/27 Love Song
歌唱:ミュウ(CV:高橋李依)
発表年:2020
作品名:LISTENERS
エウレカセブンの脚本家である佐藤大による、音楽×ボーイミーツガール×ロボット系アニメに登場する、強気なヒロイン“ミュウ”によるキャラソン。
キャラソンが苦手になるきっかけの一つとして、キャラクターが歌うはずのないほどの過度な演出があげれる。実際のキャラソンでも、キャラクター自身の感情を考慮せず、ファンや視聴者が楽しむことを基準に作られている曲が散見される。
しかし、本曲は聴衆に媚びた印象を感じさせない。ミュウは、聴衆のために歌っているのではなく、ミュウにとって大切な人に伝えるために歌っているのではないか。つまり、ファンが聴いていなくても、ミュウひとりで歌い続けている気がしてくるのだ。
このようにキャラソンは、ファンを楽しませるために存在する曲だけでなく、キャラ自身のために存在する曲もあるはずだ。そうだとしたら、キャラソンが持っている魅力はアニメやゲームの文化圏だけに留まらず、私たちの住む現実世界の音楽などにも共通しているのかもしれない。
7/28 秘密の扉から会いにきて
歌唱:木下 林檎(CV:田村ゆかり)
発表年:2014
作品名:のうりん
アニメ『のうりん』のヒロイン・木下 林檎が歌うオープニングソング。アニメ本編自体は田舎の農業高校に人気のアイドルが転校してくるという当時のラノベ原作ラブコメアニメの王道であったが、アニメを視聴したことのない人でもこの曲を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。この曲は当時ニコニコ動画で一世を風靡していたZ会MADで一躍有名になったからだ。「俺は・・・勉強が嫌いだああああ!!! でも・・・絶対・・・合格してやるぞおおおお!!! 待ってろキャンパスライフウウウウウウ!!!!!」というZ会のCMとうまくミックスされることで多くの受験生の休憩時間を彩ったと言っても過言ではないだろう。
7/29 おしりかじり虫
歌唱:おしりかじり虫
発表年:2007
作品名:おしりかじり虫(NHK『みんなのうた』)
NHKの『みんなのうた』で放送されたことで流行した楽曲。キャラクター自身が歌唱しているわけではないという意味で、純粋なキャラソンとは言えないかもしれないが、歌詞の内容は「おしりかじり虫」というキャラクターについて述べているという意味で、ある種のキャラソン性を帯びている。
自分は音楽にあまり縁のない子どもだったが、この曲を聞いたとき、音楽性はともかくとして歌詞の内容に惹かれた。キャラクターについて歌った歌詞というのは、子どもにとってはすごくキャッチ―なものになり得るのではないか、と個人的には考えている。
加えて、音楽にあまり触れることのないような子どもたちにとっては、『おしりかじり虫』のような曲が音楽の原体験になることもあるだろう。そう考えると、この手の楽曲について考察する価値というのは十分にあり得そうで、このサークルの活動の中でそうした方面の考察をぜひ行いたいなと思っている。
7/31 モノクロ☆HAPPY DAY
歌唱:黒猫(CV:花澤香菜)
発表年:2013
作品名:俺の妹がこんなに可愛いわけがない。
「俺妹」二期より、黒猫のキャラクターソング。本作は各話のEDを応募形式で決めており、「モノクロ☆HAPPY DAY」はそれに選ばれた形。
夏の暑い日に思わず聴きたくなる一曲。
普段は厨二病キャラ「黒猫」としてふるまい、服装も黒ばかりの五更瑠璃が「白/今日の服は/喜んでくれるかな」と歌うことの愛おしさをぜひ感じてほしい。この曲が流れる2期6話以降(7&8話)はまさに白い服を着た瑠璃が中心となった話であり、歌詞がいっそう心に響く。
この曲のややポエミーな歌詞と可愛らしい曲調は、キャラクターの心情になる手前の呟きのようなものを的確に表現しているように聞こえ、作品の展開も相まって「五更瑠璃」という一人の少女が抱える想いに思わず胸を打たれてしまう。詳しくはアニメを見ること!!!!筆者が最も好きなキャラソンのひとつ。
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