論文紹介③ 新人看護師における職業コミットメントについて─入職前後の変動ならびに職業継続意欲との関連性─
はい、こんにちは!
つかさ@パーソナルプリセプターです!!
今回は、タイトルの論文についていよいよまとめをしていきたいなと思います!
今日まとめる論文はこれだ!
「新卒看護師の職業コミットメント─入職前後の変動ならびに職業継続意欲との関連性─」 (竹内朋子ほか)日本看護管理学会誌 2012 年 16 巻 1 号 p. 5-12
原著はこちらから
新卒看護師138人の入職前から1年後にかけての回答を分析した論文です。
ざっくり言うと、新人看護師さんの職業観をアンケート調査して、1年後に職業継続意欲「これからもできる限り看護職を続けたいか」という問いの答えにどのように影響を与えたか、という研究です。
それで、前回は”計算的職業コミットメント”、前々回は”情緒的職業コミットメント”というものについてご紹介しました。
今回は、「じゃあ結局、肝心の職業継続意欲とやらはどうなったの?」という点についてお答えしていきたいと思います。
職業継続意欲とそれに影響を与えたもの
もうすでに抽象的な雰囲気出てきたので、シンプルにしましょう。
T3(入職1年後)の職業継続意欲は4.9(±1.3)でした。質問項目は7件法とのことなので、おそらく4点が「どちらとも言えない」という選択肢だろうと考えられます。となると、この集団ではだいたい半分以上の新卒看護師が「続けたいと思う」と肯定的な回答をしたと読み取れます。
ほんで、それに影響をあたえた因子は何か。その結果の表がこちら。
新卒看護師の職業コミットメントと職業継続意欲の関連(表を分割)
この表で言うと、β(標準化偏回帰係数)の値がその大きさになります。
・情緒的職業コミットメント(0.561)
・計算的職業コミットメント(0.394)
・規範的職業コミットメント(0.301)
つまり、1年経った時点で新人看護師さんが「看護が好き・誇りに思える」って言えることが、「これからもできる限り看護職を続けたい」という職業継続意欲につながっていると。
「看護師なんだから、好き嫌いに関わらず働くべきだ」という意見も内々としてありそうなので、少し新しい常識感があります。客観的なデータで示されるとインパクトがあります。この結果に驚く先輩看護師は少なくないかもしれません。
結論、職業選択でも、好きなもの・誇りを感じるものに惹かれると。
一見当たり前なんですが、この看護師という職業選択においても統計的に有意であることは、興味深いと思いました。
さらに別の示唆も
また、T1→T2→T3の変動自体においても職業継続意欲につながる因子が発見されました。実はこれも情緒的職業コミットメントでした。
図はこちら
新卒看護師の職業コミットメントと職業継続意欲の関連(表を引用)
・T1-T2の情緒的職業コミットメント(0.513)
・T2-T3の情緒的職業コミットメント(0.556)
ここまで見ての考察ですが、職業継続意欲にもっとも大きい影響を与えているのは、情緒的職業コミットメントなのは間違いなさそうです。しかもT1→T2にかけての期間の値、T2→T3の期間の値の両方で有意に働くようなので、入職してからいつのときも情緒的職業コミットメントが高いことが望ましいみたいです。
※全体の情緒的職業コミットメントの傾向としては、T1→T2にかけて下降します。それは全体傾向なのですが、上記の結果では「入職してから下降せずに情緒的職業コミットメントが上昇する場合」ということですね。
なので、1年目の新卒看護師さんに対しては、「看護が好き」と思う体験をしていたり、自分自身で看護を誇りに思える価値観をインストールできていたりするのが大事だと考えられます。
この論文が発表されたのが2012年なので、おそらくここから看護教育もややシフトしていると思います。つかさが新人なときは、「看護が好き?なめんなよwそれより知識じゃ、スキルじゃ!」と言われる雰囲気でした。
近年は、地域の病院の集合研修なんかでも、自分自身の振り返りやちゃんと成長している自分に気づかせるように仕組みを入れているところもちょくちょく見られているので。
このパーソナルプリセプターでも、情緒的職業コミットメントの背景を踏まえつつカウンセリングしていく方針です。もしご興味ある方は対談をご依頼ください。
はい!今回は以上です。あたらしい試みとして論文紹介をやってみましたが、いかがだったでしょうか。この他にも新人教育に関する論文はいくつもあるので、様子見ながらまた検討したいと思っていますー!
最後に
こんな感じで、このnoteでは、男性看護師や新人看護師にむけたワンポイントアドバイスやコラムを発信しています。もしよかったら、つかさ@パーソナルプリセプターをフォローしてくださいね。
そして、無料対談も受け付けしていますので、「職場のことを誰にも相談できない」「看護師の教育やキャリアについて迷っている」などありましたら、つかさ@パーソナルプリセプターへお声掛けください。
今回は以上になります!ありがとうございました!
それでは!