論文紹介② 新卒看護師の職業コミットメント─入職前後の変動ならびに職業継続意欲との関連性─
はい皆さん!こんにちは!
つかさ@パーソナルプリセプターです。
前回記事から少し間が空いてしまい、申し訳ありません!
(看護学生・看護師さん対象にしたイベントしてました。またそちらの様子も報告しますー)
はい、そしたら前回の続きをさくさくやっていきますねー!
「新卒看護師の職業コミットメント─入職前後の 変動ならびに職業継続意欲との関連性─」 (竹内朋子ほか)
原著はこちらから http://janap.umin.ac.jp/mokuji/J1601/10000001.pdf 日本看護管理学会誌 2012 年 16 巻 1 号 p. 5-12
新卒看護師138人の入職前から1年後にかけての回答を分析した論文。
その中で、前回は「看護が好き」「看護に誇りに思う」という指標である、情緒的職業コミットメントに触れました。今回は、また別の視点である計算的職業コミットメントについて見ていきます!
まず簡単な研究の結果をお見せします。(前回と同じ)
情緒的職業コミットメント=情緒的C
計算的職業コミットメント=計算的C
規範的職業コミットメント=規範的C
T1=入職前 T2=入職後3ヶ月 T3=入職1年後
計算的職業コミットメントとは
計算的職業コミットメント
「いま看護師以外の仕事に転職するとなると,色々な意味で損をするだろう」など,職業を換えることに伴う損失を回避する意識
簡単にいうと、経済的損失を回避する意識で、「ほかの仕事をすると、看護師をするよりも損をするなぁ」というものですね。
その結果がこちら。
これに関しては、グラフの通りなんですが、上がり続ける結果になりました。
一般的に、計算的職業コミットメントは、自分が投資した時間・経済・労力によって累積されるので、それがそのまま反映された結果となりました。
原著論文では、この点についてそこまで言及はされていなかったですが、みなさんはどう思いますか?
つかさは、ここをスルーしたくないなって思いました。
計算的職業コミットメントへのつかさの意見
ここは正直、何でもないただの若造の主張と思われるかもしれないんですが、「だからこそ、真剣に新人教育を整備するべきだ」と思ったんですね。
統計学的に有意に、概ね例外なく、新卒看護師のみんなは計算的職業コミットメントが上がるわけですよ。というか、推測ですが、経験年数が上がれば上がるだけ、このコミットメントは強くなるものだと思います。
それはどういうことか。
「看護師という仕事に報酬を期待する」とも読み取れると思います。
それ自体は悪いことじゃないんですが、場合によってはこの計算的職業コミットメントのみが上昇し続けてしまうと困ったことになるんじゃないかと。
つかさのある体験談
ここでちょっとつかさの新人時代のエピソードを引用したいと思います。
つかさが新人時代、休憩室で一緒になった中途採用のある方が言ってました。
「お金は大事ですよー。私はWork for Moneyやから」と。
正直、その人は中途で入職して一通りに仕事はできるけど、看護師として魅力的ではあまりなかったんですね。教え方というか、伝え方も感情的なところあったし、本当お金のためやなーって印象。
(当時、つかさも1年目なんで、それも生意気なんですがw)
で、つかさは思ったんです。
「あ、Work for Moneyだけになったらダメだ」と。
別にその先輩看護師を批判や否定するつもりはないんです。
ただそこに違和感を感じた。
計算的職業コミットメント自体は、「計算的職業コミットメントが高いほうが看護師を継続する」とも言えると思うので、看護師人口の面では良いことと捉えられる。
ただ、お金への期待値のみスクスク育ってしまうと、様々な弊害が出てくる可能性はあるなと。
一方、綺麗事は抜きにして、生活していくためにもお金は大事。看護師という専門職において、簡単に職種をコロコロ変えてもよくない。
ほんなら、みんなが計算的職業コミットメントが上昇する運命なんだから、そこに充実感がともなうようような教育体制の整備は必要だよねって思いました。
続ければ、続けるだけ「看護師が楽しい」って思えるシステムづくりをしたい、そう思いました。
なので、新人看護師教育においても、順調にいく組とレールから外れる組が出るんじゃなくて、意欲のある人材がちゃんと成長できるようなセーフティネット、多様な価値観が尊重されるようなコミュニティも必要なんじゃないかな。
そのために、パーソナルプリセプターという文化を作ることによって、勝ち抜き戦のような看護師の職業観は終わりにしたいと思っています。
※ちなみに、「給与を上げるという外的動機付けは、やりがいを与えるという内的動機づけに比べて弱い」ということが別の研究でも明らかになっています。一概にお金でモチベーションはあがらない。
はい!若者の主張をお読みいただき、まことにありがとうございました。
次の記事では、この同じ論文でまとめをしたいと思います。
最後に
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それでは、また!