【キャリアの転機】まだやれる|役職定年・50代を迎え、地元の事業責任者へ
このシリーズでは、紹介業の理想郷づくりに奮闘するペルソナ株式会社のコンサルタントが過去に転職のご支援をした事例についてご紹介します。
クライアントの採用課題について課題=イシューを正しく把握し、対象となりうる方々の転職動機・入社動機をどう言語化したのかをコンサルタントが振り返ります。
採用企業の抱える課題、募集背景
今回ご紹介するのは、流通・小売 → 地方の外食業界の物販事業責任者 への転職事例です。
採用企業は、コロナ禍の影響を大きく受けた外食業界で、手探りで始めた冷凍食品の開発が成功したものの、食品業界経験者が不在のため業界特有のノウハウが全く無い状態でのスタート。そこで銀行出身の元CFOの役員が製造から営業まで一貫して担当していました。
当初は地場の大手スーパーを中心に直接営業をしていましたが、流通業界は食品商社の卸問屋経由での流通が常識であり、メーカーとの直接の取引は断られてしまうなど、商習慣を理解していないがゆえの不が生じていたり、役員自らがスーパーの売場でクリスマスのPOP設置応援に出向いている状態でした。
そのエリアでは抜群の知名度を誇る外食チェーンということもあり、順調に売り上げを伸ばし、手ごたえは感じていたものの、勝手が全く異なる流通業界での営業活動を素人対応のまま続けるには限界があり、外部から知見のある方を採用することとなりました。
転職を希望した背景・理由
お声がけしたのは、ちょうど海外赴任先から日本に帰任したタイミングでした。役職定年が近く、その際には待遇面が一気に下がることから、それであれば地元へ戻ってご家族との時間を取り戻したいと考えていました。
せっかく転職するのであれば、長年のものづくりのノウハウや、そこで得た知見を活かして貢献できる会社を選びたい、その会社に伸びしろ、可能性があり、その成長に寄与できるポジションに就きたいという思いがありました。また海外駐在での経験や人脈も活かして、海外進出の夢へもトライできる可能性があればうれしいともお考えでした。
入社を決めた理由
当初は、積極的に転職活動をしていたわけではありませんでした。しかし海外赴任が終わるタイミングで仕事だけでなく、プライベートも考えながら動きたいという心境でしたので、採用企業にも情報共有し、自宅から通勤して働くイメージを醸成してもらうようにしました。
そして確実に年収が下がる転職になることから、選考当初よりご家族との合意形成を丁寧にしていただきました。
現職では役職定年になれば同等の年収になる想定であることと、転職先では逆に活躍次第で上がる余地があることを企業からも説明し、年収カーブを想定しながら進めていくことで、提示年収が大きな問題になることは最後までなく、ご納得のうえ入社の意思決定をされました。
入社後の感想
入社3週間後に企業へ訪問し、採用のカウンターパートとご入社した求職者に話を聞いたところ、既に経験や人脈を活かして、事業の広がりが芽生え始めていました。
求職者もこれまでとは大きく規模の異なる企業で手触り感のある業務にあたっていることで変化のスピードの速さや、影響の大きさをポジティブに感じていらっしゃったご様子で、後進の育成も始めていらっしゃいました。
求職者からは「年収以上の遣り甲斐を既に感じていることから、非常に満足度の高い転職となった」との声を聞くことができました。
「転職の成功=年収アップ」ではなく、家族との過ごし方、これまでの経験の活かし方、役職定年前後の「まだやれるのに」第一線から退くことを強要されることへの不満の解消など、複雑なインサイトを理解して寄り添うことができました。
常に「入社後の活躍」をゴールとして考えて採用(転職)支援をしている私自身にとっても非常に貢献度を高く感じられる事例となりました。
ペルソナ株式会社 下司
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