『仮面ライダー』第79話「地獄大使!!恐怖の正体?」について

 多くの人にとってそうだと思うが、何度見ても、いくら考えてもよくわからないところが残る。
 力関係を及ぼしあっているのは誰と誰と誰なのか。組織としてのショッカーと、仮面ライダーとが対立している。ここに、地獄大使がよくわからない第三者となって(なってしまって)関わる。
 地獄大使はガラガランダである。そのことはおそらく首領しか知らない。このことを、地獄大使は利用しようとする。
 冒頭の毒水作戦を実行するのはガラガランダだが、その作戦を知っているのは首領と地獄大使だけであることを首領自らが言う。すなわち首領の言い方は地獄大使=ガラガランダであることを知らないかのようであり、だがそうではないのだろうから、それはその場で地獄大使を捕縛している戦闘員らにそのことを知らせないための口ぶりと考えられる。そして地獄大使は、その言い方に沿って受け答えをする。あくまで「ガラガランダが執行する作戦について、地獄大使が本郷に漏らした」のであり、地獄大使は(その時点では)首領にそのようなことはしていないとだけ言う。作戦を漏らすとは即ち結果的に現場に仮面ライダーを呼ぶということであり、それが糾弾されるのは言うまでもなく作戦が阻止されるからだが、それは場合によってはガラガランダの生命が危機に瀕することでもあり、しかしそれを地獄大使は言わないし、首領はそこでたとえばガラガランダの怯懦を論うこともしない。だが本気でショッカーの内通者が作戦を密告していたとしたら、どういう意図が考えられたかというと、やはりガラガランダを危険にさらすということが念頭に置かれるだろう。別に告げ口などしなくても本郷らは作戦を毎回嗅ぎ付けるのだから、仮面ライダーによる作戦の妨害は想定の範囲内だ。だから陥れられているのはショッカーという組織と言うより、今回作戦を執行する改造人間である。従って逆に、地獄大使=ガラガランダという秘密が守られるのである。

 しかしここに、首領にのみその素性の明らかな、別の怪人がいる。ガニコウモルである。 

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