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1Q84・フタマタオ・シンクロ

山に呼ばれている

ずっと前に、故郷の山々に呼ばれているような気がした事がありました。
青梅には「山の呼び声」というお菓子があり、
初めて見たときに、山は呼ぶのだなと共感した覚えがあります。

登山はあまりしないものの、奥多摩の山々も雄弁に呼びかけてくるような、
独特な魅力があります。天狗やリトルピープルのような妖精が隠れているのかもしれません。

という事で、なぜかまたすぐ行きたくなって、
再度行ってみました。

また行くからには、1Q84も関連個所を読み直し、新・平家物語16巻は読んでないものの、吉川英治記念館には行ってみる事にしました。

1Q84を読み返してみた時に、シンクロありました。

その日は友人の家でご飯をいただいてました。
テレビできれいな紅葉が紹介されていて、それを観て、
「すごいきれいな紅葉!」
と言ったら、友人から「そんなとこより、大菩薩峠に行ってみればいい」
と言い放たれました。
内心、なんの脈絡??と固まりました。
その友人は、前回二俣尾に行った日にもたまたま会っており、
私が吉川英治記念館に行かなかったと話すと、自分の知っている小説を連想したらしく、さんざんと『大菩薩峠』という小説を読めばいいなどと、ゴリ押しされたのを思い出しました。
「大菩薩峠」は1913~1941年に新聞に連載されていた中里介山の長編小説で、実際に山梨にある峠の名前のようです。

とにかく負けず嫌いなとこがある人なので、吉川英治にムキになった様子で、ゴリゴリに推してくるのですが、短編ならまだしも、興味もってない長編小説をゴリ押しされても気楽に手は出せないのだけどと、その時は思っていました。

その日帰ってから、1Q84の猫の町あたりを読み返してみました。
天吾はお父さんの施設へ行って、お父さんの部屋で面会します。
会話の後の沈黙の中、
お父さんが天吾に、
「何か読んでもらえませんか」
とお願いします。
天吾は父の本棚を見て、「大菩薩峠」が全巻あるのを見ます。

大菩薩峠が全巻⁈
え⁈
さっき耳にしたばかりの、
前回、二俣尾に行った日にもさんざんゴリ押しされた大菩薩峠!!

そもそも、人生で大菩薩峠をゴリ押しする人に会うという事がマジ想定外。
それも、それを聞いたその日に、天吾のお父さんの話を読むとは。。。。

びっくりしました。
もしゴリ押しされてなければ、
読み流して、気にも留めなかったかもしれません。

それも全41巻。
新・平家物語の16巻にも手が出ないのに、
41巻ひょえ~。

などと思いつつ、
天吾のお父さんが「大菩薩峠」の読者だったのだなという事で、天吾のお父さんのイメージが少しふくらみました。

天吾も小説を書くくらいなので、お父さんの小説好きな影響は受けたという事なのかなとか。

吉川英治も新聞の連載で人気を博した人でした。
当時の新聞の連載小説の人気や影響力を考えてみると、
日本人の人格形成に対して、ものすごい影響があったのではないかと、あらためて思わされました。

また、平家物語をあらためて新・平家物語として書き上げ、
怨霊の代表格と言われていた崇徳上皇を心優しい人物として描いた事などは、天吾によるふかえりの『空気さなぎ』の改稿や、『1984年』のウィンストン・スミスの文章の改ざんなども連想します。

1Q84を読み返して思い出したのですが、ふかえりの好きな小説が平家物語でした。新人賞受賞の記者会見で平家物語の中の自分の好きな箇所を暗唱し、その場にいる記者たちは圧倒されます。後に天吾のリクエストに応えて、「壇ノ浦の合戦」の部分を、安徳天皇の入水まで暗唱します。
安徳天皇の入水、そこを暗唱するというのも興味深いです。
ふかえりの「平家物語」と、吉川英治の「新・平家物語」。
二俣尾つながりで、発想になんらかの接点があったかは不明ですが、偶然だったとしても平家つながりがあるというのは面白いですね。

それから、吉川英治記念館の日本家屋。
戎野先生の家が風格のある大きな日本家屋という設定で、
庭の木がよく刈り込みされているとあります。
吉川英治の旧家もまさに大きな日本家屋で、
よく手入れされた大きな庭があります。
戎野家の応接室の窓からは、山の連なりがパノラマとなって見え、蛇行する川も見えた、との事。
吉川英治記念館からは、山は見えますが、パノラマというほどではなく、川は見えませんが、大きな日本家屋という点では、実際に見学できる場所として、ロケーション的にも戎野家を連想できるよい場所ではないかなと。

吉川英治は、二俣尾から引っ越す事になった時に、その家で300人ほど集まったパーティをしています。
そこには近隣の人も多く招かれたようで、二俣尾に住んでいる人にとって、吉川英治先生というのは親しみのある先生だったのではないかなと思うと、二俣尾という場所が小説の舞台になるのは、ある意味作家に愛されている町だなと思ってみたり。

最初は15分歩くのしんどいとか思いながら、行かなかった場所ですが、行ってみるとインスピレーションが湧く重要なポイントだったなと思いました。

それから、1Q84の猫の町のストーリーには、
「三匹の猫」が登場します。
大菩薩峠の友人の家には三匹の猫がいて、それもシンクロ?!と思いつつ、
あらためていろいろと自分なりの考察を深めた次第。

今回の小説舞台巡礼ツアーは、
二俣尾の手前の駅、石神前駅から。

駅の近くにある神社で大きな銀杏を見て、
日帰り温泉に寄り道、
二俣尾まで歩いてみたら、
意外と歩ける距離。
手作りパン屋さんへ寄って、
吉川英治記念館へ行き、
遠目に黄色が目立って見えた銀杏を目指して歩いてみると、前回訪れた海禅寺だったり。

そこからログハウスの喫茶店に行き、
二俣尾駅から青梅に行きました。

赤い紅葉が美しい石神前駅
二俣尾までの道がわかりやすい地図
石神の大イチョウ
石神社

日帰り温泉

おくたま路で日帰り温泉

パン屋

手作りパン屋さんのnoco

吉川英治記念館

母屋の玄関前
庭からの建物
新平家物語も執筆した書斎
母屋からの庭
外観と紅葉
奥多摩橋
橋の上から見た多摩川の蛇行


遠目に一際目立って黄色が映えていた海禅寺の銀杏
物語に登場しそうな外観の喫茶店
ウォールナット
お昼から営業

紅葉もきれいだったし、探せばいろいろと楽しめるところもあり、
二俣尾はなぜか妙に惹かれます。

奥多摩線沿線、
なかなかよいですね。

またすぐ行くかも。







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