マイルストーンの始め方
マイルストーンについて、私は、日々の業務でなんとなく理解したつもりでいました。
しかし、改めて説明しようとするとなかなか難しいです。
今回、マイルストーンについて体系立てて勉強できることになりましたので、学習メモを残していくことにしました。
仕事でプロジェクトマネージメントを行う方だけでなく、学校や家庭など、チームの管理に悩まれる方の一助となれば幸いです。
今回の記事の読み上げ動画もあります。音声の方が好きな方は是非ご活用ください。(文章の方が理解しやすい方は飛ばしてくださいね)
マイルストーンの活用場面
作業を頼んだ人から報告が来ない場合があります。こんな場合、どうしたら良いのでしょうか?
信じて待つ
何も考えない
代替策を考える
諦める
話し合う
友人なら信じて待ったり何も考えないようにすることもあるでしょう。家族なら代替策を考えたり諦めたりすることもあるでしょう。
しかし、いずれの場合も建設的な打開策とはいえません
上手くいくと楽観的に判断したり、悲観的になって投げ出したりせず、慎重に「依頼先の人と話して、状況を確認」しましょう。
状況確認をしやすくするためにマイルストーンを活用できます。
マイルストーンへの到達によって、プロジェクトの終了時期を予測できます。
マイルストーンへの到達が遅れている場合、スケジュールや人員などの調整が必要と判断できます。
また、マイルストーンを到達した時点で、中間的な支払いが行われるようにします。
契約形態にもよりますが、成果物ができたかどうかで仕事を評価して、お金を支払うようにします。支払う側も支払われる側も成果物の完成に責任を負うことになります。
中間マイルストーンを置くメリット
中間マイルストーンとは、成果物が完成するまでの間に設定された進捗の指標になります。
中間マイルストーンを置くメリットは以下の2点です。
トンネル化現象を防ぐ
トンネル化現象とは、プロジェクトの進捗状況が掴めなくなってしまった状態です。
これは、よく作業者達が作業に集中している期間に発生します。
皆が作業を計画通りに進めて、会議の場で晴れて進捗OKとなる場合もありますし、誰がどれだけ遅れているか、あるいは、どんな作業をしているか、さっぱり分からないまま、会議に持ち寄ると成果物が目標と異なる状態になっている場合もあります。計画通りの進捗
プロジェクトの立ち上げから成果物が整うまで、計画通り進んでいくことが理想的です。
中間マイルストーンとは
中間マイルストーンは、事前に計画された測定可能な中間地点になります。
プロジェクトを取り巻く状況によっては、プロジェクトの計画を変更する目安にもなります。
マイルストーンとは認識された状態にあり、定義され、測定可能で特定の日時と紐づけられたものになります。
プロジェクトスケジュール上は、測定可能で事前に計画されたイベントになります。
例えば、以下のものは中間マイルストーンの定義としてふさわしいです。
配管工事が承認されること
移転先で機材の設置が完了すること
一方、よくマイルストーンと混同される以下のものはマイルストーンの定義としてふさわしくありません。
雇用契約
雇用契約の状態を明確にしましょう。
例えば、「契約者が署名し、雇用契約が締結されること」製品
製品がどういう状態になっているのかまで定義しましょう。
例えば、「製品の初期ロットが出荷されること」定例会や現場視察
マイルストーンの確認のタイミングが定例会や現場視察の場合はよくあり、混同されがちです。マイルストーンの定義は成果物がどのような状態であるかであり、日程だけではマイルストーンの定義は成り立ちません。
マイルストーンの設定手順
マイルストーンを考える時は、まず最終成果物を考えます。
その後、プロジェクトの立ち上げのための成果物を考えます。
これにはプロジェクトの要件が深く関わります。
前述の最終成果物に加えて、最終成果物を達成するために必要な前提を揃えていくことになります。
プロジェクト立ち上げの合図は、ビジネスの場では「予算承認」が該当する場合が多くなります。
中間マイルストーンの検討
中間マイルストーンを検討する手法は複数あります。それぞれメリットとデメリットがあるので、組み合わせて考えていきます。
過去の類似プロジェクトを真似る
よく用いられる方法です。現在のプロジェクトと過去の類似プロジェクトの違いを見落とさないようにしましょう。過去のプロジェクトで生じた問題を考慮することも大切です。プロジェクトマネージャーが考える
効率的ですが、視野が狭窄する危険もあるため、上役などにレビューしてもらいましょう。コンサルタントを利用する
実行すべき事項を把握しているコンサルタントを利用すると、マイルストーンが効率的に設定できます。作業グループと共に考える
非常に一般的な方法です。プロジェクトのメンバーで考えます。
以下はマイルストーンの設定方法としては誤っています。
エンドユーザーと協働する
エンドユーザーはプロジェクトオーナーではないので混同しないようにしましょう。プロジェクトを進める上で有意義な情報をエンドユーザーから得られる場合もありますが、マイルストーンの設定には無関係です。入札させる
下請け業者が入札する際の作業項目からマイルストーンを設定する方法です。倫理的に問題があります。
マイルストーンを繋ぎ合わせる
マイルストーンを活動と成果物に分けて定義していきます。
例えば、以下の例の各活動の最初の中間マイルストーンは以下になります。
活動:建物の購入と設備の配置
中間マイルストーン(成果物と状態):予算が予算責任者から承認されること
活動:IT設備の配置
中間マイルストーン(成果物と状態):建物の使用権が得られていること
活動:全システムのテスト
中間マイルストーン(成果物と状態):生産ラインが上役から承認されていること
これらを並べて見ると気付かれるかもしれませんが、ある活動の中間マイルストーンはある活動の前提になっている場合が多くあります。
中間マイルストーンを繋ぎ合わせて、プロジェクトの作業の実施順序や活動の関連性を明確にしましょう。
プロジェクトの最終成果物と無関係な中間マイルストーンは存在しないはずです。
マイルストーン全体は、プロジェクト中に解決しなければならない問題を全て反映しています。
マイルストーンの見直し
プロジェクトのマイルストーンはプロジェクトの期間中に定期的に設定する
詳細化を行って、トンネル化現象を防いだり、スケジュールや人員の見直しを行ったりします。マイルストーンの間には十分な時間を置く
マイルストーンの間は実施期間だけでなく、プロジェクトリーダーが成果物を確認したり、マイルストーンを見直したりするための期間も設けます。
この期間は多くのプロジェクトでバッファとして潰される傾向がありますので、注意しましょう。
マイルストーンを設定する際の心構え
マイルストーンを設定する際に考えるべきことは以下です。
立ち上げのマイルストーンは何か?
中間マイルストーンは立ち上げと最終成果物の間で逆算していきます。そのため、立ち上げのマイルストーンを明確にすることは重要です。最終成果物はどのようなものか?
全ての中間マイルストーンは最終成果物を達成するために必要な中間成果物になります。
マイルストーンを設定する際には考えないようにすべきことは以下です。いずれもプロジェクト運営の上では大切な事項ですが、分けて考えます。
プロジェクトの投資収益率
コストを監視することはプロジェクトマネージャーの重要な役割です。
しかし、マイルストーンを設定する際には、プロジェクトの終了から逆算して成果物と期間を考えます。役割分担
役割の定義はプロジェクトの要件の一つです。しかし、マイルストーンとは無関係です。問題があった場合どうするか?
リスクに対応することはプロジェクトマネージャーの重要な役割です。
しかし、マイルストーンを設定する際には、最終成果物の達成に向けた中間成果物の検討に注力します。
感想
個人的には、マイルストーンは定例会などそのものではないということやマイルストーンを考える際に他のことを考えないようにするという点が目から鱗でした。
日常生活でも、懸念点を度返しして成果物に集中すると道が拓けていくこともありますよね。
今回、学習したことを色々な場面で活用していきたいと思います。