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【BL漫画感想&紹介】里つばめさん作品4

とうとうこの日が来た。
というほど全く歴史もない始めて間もないブログですが、とうとう来たんです。
大好きな作家様2(2番目、ではなく、あくまで2ですっ)里つばめさんの作品について書く時が。
(1はBL感想初回のIN THERSE WORDSの作家Guilt Pleasure様です)

前もってお伝えすると、今回わりと長いです。
すみませぬ。

里つばめさん……名前が素敵ですね。
あと読みやすい。
里山ののどかな田畑の上を華麗に低空飛行を決めるつばめ……。
あれ、雨が降るのかな、じゃなくて。
そんなことは1ミリも関係ないだろうし、なんなら作風とも全然違う。

何故今回、作品タイトルではなく、作家様のお名前での紹介なのかといいますと、単純にスピンオフ等関連本が多くて。
もし読むなら各作品の関連性も楽しんで欲しいからです。

絵の雰囲気はさっぱりとした感じです。
最初の2作品に至ってはキャラが鉛筆描きの表紙にはあまり華がないせいか、手に取るのを躊躇してたなんてレビューを見かけてバカちんがぁっと地団駄を踏んだ。
結果的にその方はハマったみたいですが。(めでたし)
かくいうわたしも数年前、一番最初にGAPSを読んだ時はそこまで深くは響かなかったんです。
作品がまだ序盤だった事もあるけど、うん、面白かったなーくらいで。
それがどうしたことか。
数年経って読み返し……アレアレ?と過去作品の未購入巻を買い揃え、また読み返し、最推し作品にも出会い……完全開眼……多分……そんな感じだったような……(結局うろ覚え)

ストーリーは万人に対して面白いですが、受けへの萌えに関しては、作品ごとにわりとターゲットが絞られますねぇ。里つばめさん只者じゃない。

どういうことか考えたら、これはボルダリングだな、と。
コツと取っ掛かりの石が見つけられたらスルスル登っていける、と。
そんなボルダリングBLです。(違う)

それぞれの1巻発売時期とシリーズ冊数、おおまかなあらすじ、私評は以下の通り。
ここからながいでーす。(お茶の準備OK?)

2015年   GAPS→5巻
2016年   DOGS→続編合わせて4巻
2018年   俺が好きなら跪け/俺が好きなら媚びてみろ
2020年   俺が好きなど嗤わせる→上下


※その他番外編や作品集あり

【GAPS】


長谷川(37・受)は仕事はできるし温厚な性格で部下達からの人望もあるが体力低下、恋人との関係にも悩めるそんなお年頃。
対する片桐(30)は一見非の打ち所がない王子様タイプだが、内面は堕落した暴君。
というか、クズ。
ある日偶然、片桐の暗黒面を目撃してしまった長谷川。
世話焼きなのだが奥手で潔癖気味な長谷川をクズ片桐がどうにか落とそうと虎視眈々と狙っていく年の差カップル物語。

◆私評◆
当初あまりの片桐のクズっぷりに怯えた。
それから長谷川さん……本当に人は良いけど、本当に普通のおじさんなんです。わたし、おじさんカップルとか全然ありなんですけど、ほんと、普通のおじさん。なんならお父さん。ここに萌えるかどうかは読み手さん次第ですね。
そんなわたしも巻数重ねて、各キャラにも愛着がでてきて。
カッコ良さを見せたと思ったら間髪入れずクズを入れてくる片桐なんて、もはや癖になるというか。クズも麻痺すりゃなんてことないっていうか。(だめぇー)
当て馬君のいる飲み会現場に長谷川さんを迎えに来た片桐が、乱暴な登場をするシーンがあるのだけど、そんな片桐をみてちょっとキュンとしてしまう長谷川さんだってきっと麻痺してるんですよ。
(長谷川さんだけ敬称つけてるのは、だって長谷川さんって感じだから)
そんな2人の様子に関係性を勘ぐる当て馬君に、片桐が「だったらどーした」とビシッと言ったあと、追撃で放つ言葉「お前とは3Pはねぇから」は、もうクズが煌めいてますね。
他にも片桐の名言「だらしねぇ体。エッロいな」にはドーーーンと来る。うん、癖になるー。
長谷川さんのぽちゃ腹は片桐の萌えどころ。
片桐の強引さにも負けず劣らない長谷川さんの手強さ、というか意地というか……その二人の関係が面白く、普通のおじさん受けにも関わらず読者の支持を反映するシリーズ最高巻数、脱帽。

【DOGS】


GAPSで登場した片桐の同級生(悪友)の矢島(29・受)は丸ノ内署の生活安全課所属の巡査部長。
見た目は体育会系の短髪さっぱり強面男子。
キャリアである上司の斉藤(30)からはパワハラを受けつつ仕事に邁進していたが、それにセクハラも加わり、だがセクハラだと思っていた行為は斉藤の愛情表現で……?
懐かない野良犬を屈服させるエリート犬な物語。

◆私評◆
警察と言うことで事件とか絡むので話はちょっとややこしいです。
逆に言えばしっかりとお話が作り込まれているので読み応えがあるとも言える。
矢島は昔から男だけにはよくモテる。
可愛い受けって感じじゃなくて、まさにゲイモテって感じ。
短髪ノースリーブがモテ、みたいなやつですね。
「きのう何食べた」のシロさんがゲイ受けしないイケメンであれば、その対面にいるタイプです。
雄々しい受けは嫌いじゃないんですが、そんな彼らから発せられる色香がむしろ好きなんですが……矢島から色気と可愛げとかそういう要素、日常シーンから感じるのは皆無かと。色気ならむしろ斉藤のほうが。
斉藤は綺麗系イケメンなので、見どころとしてはそんな男に屈服させられるって関係性でしょうか。
矢島の色気云々については、片桐と絡むシーンでようやく線香みたいな細さで立ち昇ってくる。
毎回喧嘩みたいなエチーなんだけど、なんか後を引くというか。漂う線香の残り香が。
ああ、分かった。匂いの根源は斉藤さんの色気か。線香じゃなくてアロマかな(あんまりだな、わたし)
なんだかんだで絆されている矢島は屈服目線では可愛いです。
あと、見どころといえば矢島の悪態に対し、時々見せる斉藤の表情がとても好きなんです。
矢島には単なる悪態のつもりの言葉をしっかり受け止めて矢島の気持ちを量ってるところ、いい。悪態のつもりが斉藤からの返しにより墓穴を掘っていることも多々あるけれど。
こういう、言葉のない表情の描き方が本当に素晴らしい!
斉藤の王様ぶりと愛し方は一見の価値ありです。
あと、作中でてくる広瀬さん色香立ち昇っていてヤバいので、スピンオフこないなぁ。

【俺が好きなら媚びてみろ】


東都第一銀行のエリート同期ラブ。
松田(受)は女性からも人気があり同期に嫉妬まで買っていたが、仕事で上をいく同期の加藤をライバル視していた。
誰に対しても内心マウントをとっている松田に対し加藤はそんなことはどこ吹く風というスタイルで松田はそのことも気に入らない。
だがそんな松田に加藤はお前を好きだとはっきり伝えグイグイと迫っていく。、
ワガママで気位も高い松田をクールな見た目に反して熱々ハートで溺愛する加藤。そんな二人の物語。

◆私評◆
松田は見た目も仕事能力も周りより秀でているし、それを自覚もしているのに満たされない感覚が強いのは何故〜。
プライドの高さ故に劣等感が強いというか。そういうとこ、損してるぞ!
加藤はボンボンです。いいね、わたしボンボン好きなんです。
とにかく自信があり、揺るぎがない感じで、その無双な感じが松田は気に入らないわけだけど、そんな加藤の弱みが自分だと知って自らの立場が上になったと喜んだりもしてて、全くこの子は……。
まあ、加藤も加藤で、松田のことを「頭がいいのにバカだな」「チョロい」と結構言いたいこと言ってるけど、的を得ている。
加藤は毎度、そんなチョロ受け松田をわざと怒らせては愛でている。
こう書くと松田のいいとこは顔と頭だけかって思うけど、天才肌ってわけではなくて負けず嫌いな努力家で、なにより取引先を真剣に思いやる心ももっている。
殺伐としたメガバンクジャングルのなかで。
そこは多分ボンボンの加藤には欠けがちなところで、惚れの要因なんだろな。
普段表情筋ないんかって感じの加藤だけど、時折松田に見せる笑顔がいい。
自宅にもゲーミングチェアも兼ね備えているゲーマー加藤が、同期の引っ越しを松田と手伝いに行ったとき、作業後に三人でゲームをやってるシーンがあるんだけど、そこで「好きなものばっかりで最高に楽しい」っていうのなんか、めちゃ可愛いな、と思います。
普段無愛想な子の笑顔は最高ですね。加藤かわいい。

【俺が好きなど嗤わせる】


加藤と松田の上司にあたる二人のメガバンクエリートラブ第二弾。
専門部次長の梶はワーカーホリックで、妻にも最近三行半突きつけられていた。
身なりにもあまり関心がなく、常に仏頂面。
とはいえ部下いわく意外といい人。そして結構モテる。
営業部次長の神谷(受)は同期にはゲイと明かしており、梶とは対照的に物静かで穏やかな雰囲気。
そんなある日同期での飲み会の後、梶が気がつくと自分の上に乗っていたのはあられもない姿の神谷だった。
事の後、その理由を問う梶にセフレと切れて溜まっていただけだと飄々と話す神谷に、自分に惚れているなら付き合えと迫る真面目一徹の梶。
無賃乗車の神谷を追い詰めていくハンター梶な物語。

◆私評◆
ハイっ!出ましたっ!わたしの最推し……梶×神谷の大人なエリートラブ物語です!受け攻め共に最高です。
眼鏡の誘い受け(誘い逃げ受け?)神谷もとってもいいのですが、この作品で好きなのは、というか今回紹介した作品全ての中でも一番好きなのが梶!
うーん、愛い男よ……。
真面目で熱いところがいいのだが、その熱さが表に出てるタイプではない。
地下で燻るマグマタイプ。実は恋愛に臆病な神谷にジリジリ迫るマグマ攻め。
カレーも愛もふつふつと煮込んだほうが美味しい。
で、ありながら誘い逃げ神谷が求めてきたときはバッサリ断るのはなかなかできることじゃない。
気持ちでちゃんと向き合いたいってことさ!
神谷に好きなところはなんだと聞かれた答えが「顔と体」の割に、ですが!笑
不器用っ!
そんな梶の仏頂面も好きだ。
常に眉間に皺寄ってる梶は可愛いです。
神谷との会話で変化する梶の表情、いい。
身なりとかあんまり構わないのに、時々ビシッと決めてくるところもいい。
ぶっきらぼうな癖にすることが優しいのもいい。
専門部でバリバリ頭が回るのもいい。
良いの大渋滞。
そして神谷のはぐらかし挑発にも一切乗らない愚直さ。
(松田よ見習いなさい)
ストレートだった梶が神谷に乗られたあとですぐ付き合うか、と問うのは余程の恋愛脳でない限り通常あり得ないと思うけど(ここ、神谷にも突っ込まれてた)梶の場合、彼の脳内スーパーコンピュータが瞬時に弾き出した選択だったのでしょう。
人間は潜在能力の10%ほどしか使えてないというから、きっと梶はこの時、心体ともども追い詰められたこと(もしくは昇天)によりノルアドレナリンが大量分泌され集中力が高まり、プロ棋士のごとく先読みの能力が開花し……付き合うか、に結論付いたのではないでしょうか。きっとそう。
間違ってない、その判断。
上下巻とか言わず、ずんずん続けてほしい……!
こんな美味しいカップルなかなかいないわよぅ。



って感じです。宣言どおり長っっ。

絵がさっぱりと言いましたが、とても美しいのですよ。
どんどん進化し魅力的になっていて素晴らしい(泣)
背景とかの描き込みも煩くないけど丁寧で。
何度も書きましたが、攻めの表情の変化もサイコーです。
そしてスーツ姿のキャラ、いいんですよ。
腕時計とか、しっかり美しく描き込まれている。
スリーピースやら、ベストやら選べるタイプ、揃ってます!
(梶はよくシャツ腕まくりしてるけど、いい……)
と、スーツ好きな人はさらにハマることでしょう。

あ、告白とか、要所要所の言葉選びも秀逸です。
ぜひ読んで体感してほしい。

とてもいろいろな感覚が繊細で秀でていらっしゃる作家様だなぁと思います。

最新作は大学生のお話みたいで、わたし的にはこの方の大人カップルが好きなので、今のところちょっと梶達程にハマれるか分からないんだけど、、、単行本でたら必ず買います!

ほんとに最後までお付き合い頂きありがとうございます。
お疲れ様でしたっ






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