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『圕の大魔術師』働く司書の美しい眼差しに痺れるコマまとめ(1巻)

アルライターのあごたふです。今回も、超個人的な趣味で1巻から順に様々な角度から『圕の大魔術師』の魅力に迫ります。

前回は『圕の大魔術師』で描かれている司書のお仕事がリアルに解説されていることに注目しました。(司書という仕事に興味がある方はぜひ読んで頂けたら!)

今回は「働く女性は美しい」編です。この世界のキャラクター(司書)たちがいかにカッコいいかを最大限に魅せるコマを選んで『圕の大魔術師』をご紹介。司書としてのその真剣な眼差しを刮目せよ!

それでは、どぞっ!

泉光先生の異次元級画力

まずこの作品の魅力の一つとして、泉光先生の画力が挙げられると思うのですが、背景、建造物の描き込みが異次元なのです。

書架に収められた一冊一冊の本、一文字一文字まで、これでもかってくらい丁寧に描かれています。これだけのコマを完成させるのにいったいどれだけの時間を要するのか。想像しただけで途方に暮れてしまいます。痺れます。

働く司書たち、女性たち

真剣に何かに打ち込む人の生き様は男女関係なく美しいものです。司書も同様です。

しかし、この作品では特に女性が美しく描かれています。図書館界は圧倒的に女性比率が大きな割合を占めているからです。作中でもその男女比は、

「1(男):9(女)」 !!!

作中では時代設定、世界設定も加味されていますが、男女比だけで見れば現代の図書館界もほぼ同じ状況と言っていいでしょう。僕も実際に図書館で働いていますが、現場の男女比はまさにこれです。(もちろん図書館によって差異はあります。館長も男性の方が多いのではないでしょうか。)

「男性の肩身が狭いんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。でも、図書館って文化系と思われがちですが、その実「力仕事」が半分以上を占めていて男手はかなり重宝されます。(本屋や吹奏楽部でも同じ現象が起きているでしょう。因みに僕は吹奏楽部に所属していたためこの境遇に慣れていました。笑)

『圕の大魔術師』でも男女関係なく司書(カフナ)が大活躍していますが、序盤である1巻では主に女性司書がめちゃくちゃカッコよく描かれていますよ!!

あごたふピックアップ、働く司書の真剣な眼差しに痺れるコマまとめ(1巻)

魔術書回収のためアムンの村まで遠征して来た中央圕の司書たち。

今回の主役は彼女たちです。(かっこよすぎる登場シーンです。)4人の役割から見てみましょう。(紹介ページでもこの描き込みよう。マジ半端ない。)

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守護室のセドナ=ブルゥ(17歳)。言わずもがなこの作品のキーパーソンです。『圕の大魔術師』のもう一人の主人公でしょう。

この頃はまだ若く、最新刊まで読んだ後に初登場時の彼女を見るとなんだか不思議なあどけなささえ感じます。この少女があんな立派になるなんて。この頃から「期待の若手」とされその片鱗を示していました。

守護室の役割は貴重本を狙う輩や違法書物の取り締まりをする本の警察。時には悪者や危険な魔術書と対峙しなければなりませんから、魔術や実戦を得意としています。

セドナはというと、肝心な時以外は割と自由です。そして、やたらとカッコつけます。物語を大切にしているからこそです。老若男女問わず、本を愛する心を持つ者に対する敬意を感じられます。

そんな彼女の激推しシーンがこちら。

魔術書が発火して燃え盛る村の図書館。セドナから借りた本と館長を助けに飛び込んで行ったシオのもとへ颯爽と駆けつけるシーンです。この火の海の中、少年に凛とした眼差しで「無謀と勇敢は違う、けれど物語の主人公は無謀なことにも立ち向かわねばならない時がある」ことを教えてくれます。

主人公のシオが司書を志すきっかけになった人物です。まさに英雄の登場!カッコつけるだけでなく、行動で「主人公」を体現できる実力。誰だって、痺れないはずがありません。

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お次は、修復室のナナコ=ワトル(17歳)とピピリ=ピリベリィ(22歳)です。

修復室とは、貸し出した本や古書の修復をする部署です。まさに職人の司書たち。本の修理には少し特殊な技術が必要とされています。もちろん現代の司書にも本の修理をする業務があります。詳しくは前回の記事で触れています。ましてや、この物語はファンタジー世界。魔術書の修復ともなるとその技術力の高さたるや、専門性の高さを伺えます。こんなに若いのに大したものです。

ナナコは無愛想ですが、傷ついた本は見過ごせない性格で本のことを「この本(こ)」と呼ぶほど本を愛する文学少女です。もちろん、技術力も高く数冊の本であれば一瞬で修理してしまいます。

ピピリはナナコの先輩です。珍しい種族。彼女たちの登場シーンのコマで、ピピリがどこにいるかわかりますか?ちょっと難しいですね。それくらい身体が小さいのです。ナナコとは正反対で明るくて少しおバカな性格ですが、古書修復の名手のようです。

そんな職人気質な彼女たちの痺れるシーンはこちら!

「とばすぞナナコ!遅れんじゃねーぞ!!」

「ウス」

普段の柔和な表情から一変。鋭い眼差しに、気合いの入った「ウス」と言う返事!!痺れます。

火は紙でできている本の天敵です。一刻を争う事態で本を守るという修復室の使命に燃える一コマです。古書修復の名手といえど、貴重な古書、魔術書の取り扱いには細心の注意と技術を注がねばなりません。その真剣な眼差しと深く静かに呼吸がその緊張感と集中力を物語っています。

集中する修復室の二人の背中を守護室のセドナが守りフォローする。この連携プレイには司書の圧倒的チーム力が伺えます。図書館も燃えていますが、読者の心も燃えます。

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最後に、このチームの主任を務めた最年長のアンズ=カヴィシマフ(33歳)です。この人は凄いです。いつもニコニコしていて6児の母。すでに凄い。

渉外室は「図書館を地方に広げるための交渉新たに発見された書物を獲得するために活動する部署」とのこと。政治・営業担当的なポジションでしょうか。

現代の図書館では指定管理制度業務委託といって、図書館の経営スタイルも様々です。公共図書館は基本的に自治体の職員が常駐していますが、その自治体職員とコミュニケーションを図る図書館職員と役割が似ています。

なぜ、図書館を地方に広げなければならないのでしょうか。それは中央圕にだけ本があっても意味がないからです。図書館には「知(図書)の収集・整理・保存」とともに、「知の提供」という大きな使命があるのです。図書は整理保管されるためだけに存在するものではなく、全人類に等しく提供しなければ意味がありません。読まれてこそ価値のあるものなのです。(この辺はもっと時間をかけて別の機会に語りたいところです。)

収集する図書、それを読む利用者、貸出する相手、これら全てに対していかなる思想・身分・民族の違いがあっても平等でなければならないのです。

ですから、視察で訪れたアムンの村の図書館長のシオへの差別的な対応に対し怒りを露わにします。

開眼している!!!(怖すぎるでしょうよ)

普段はニコニコしている彼女も、図書館が不当に働きその使命を果たしていないと判断できた場合、司書としてその過ちを正さなければならない。中央圕が全ての図書館を支配しているのではありません。中央圕の司書としての使命感ゆえの怒りなのでしょう。その強い責任感のある眼差しに痺れざるを得ません。

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いかがでしたか。今回は、『圕の大魔術師』を読む上でその存在なくしては語れない司書(カフナ)たちの魅力を改めて伝えたいと思いこのnoteを書かせてもらいました。少しでも、この作品の世界観の魅力をお伝えできていれば嬉しいです。

次回からは2巻の内容からテーマを選びご紹介できればと思います。

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同じくアルライターの大先輩「旅するタコ」さんのこちらのマガジンに前回の記事をまとめていただきました。

タコさんはストーリーの伏線に対するガチめな考察記事を書いていらっしゃいます。今後の展開に注目したい方は次の新刊が出るまでにタコさんの記事を読んで読み直してみると、新たな発見があるかもしれませんよ?


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