#89 自己肯定感の欺瞞
本日は遅い更新にて失礼。
例のよって例の如く、いつもの2丁目の店でいつの間にか臨時スタッフとして働いておった。
今日は中村うさぎさんと若いゲイの子たちを交えた座談会であったが、その話の中で出てきた「自己肯定感なんてものは無い」という話にヘビメタル赤べこ状態になった。
ずっとモヤモヤしていた昨今の「自己肯定感を上げよう・上げねば」という風潮の、丁度気持ちいい落とし所を綺麗に言われた気がした。
自己肯定感なんてまやかしの欺瞞だ。
「私、天才!」
「私、美人!」
「私、最高!」
なんて、その日によって違うじゃないか。
仕事が思い通りに上手く行ったり、朝起きた時に肌の調子がめちゃくちゃ良かったり、何か上手いこと得したりすれば、それはそう思うだろうが、しかしそれは毎日じゃない。
なんだか集中できなくて失敗が続いたり、月のモノの関係で肌が荒れたり、さっき買った店よりこっちの店の方が安かったりとか、そういうことの方が多いことだってある。
そんな時でも「私、最高!」なんて思い続けるなんて無理な話だし、そんな風に思えるのだとしたら、あまりに日々に向き合っていなさすぎじゃないか。
最初からすべてが満たされる人生なんてないし、あれが欲しいこれが足りないという欲望があるから、それを達するために頑張ろうと思えるんじゃないか。
もちろん、足りない自分を嫌ったり、否定するのはあまり健全とは言えないけれど、でも自分の今の足りなさを認めた上で、夢を見ることが楽しい人生なんじゃないか。
それに、まるで「自己肯定感が低い=不幸」みたいな図式も歪だ。
それは不足する自分の否定であり、最もその「自己肯定感」と相反する考え方で、矛盾でしかないのだ。
今、自分に足りない部分があったとしても、雨風を凌げる家があって、それなりの食事を食べられているのなら、それ以上の幸福はない。
生きているなら、幸せなのだ。
生きているなら、不足はいつか満たせるのだ。
なんだかんだ、後半は久しぶりの立ち仕事だったので疲れてるはずなのに、むしろパワーに満ち溢れて元気な気がする。
いい夜だった。
幸せなのだ。