#215 サブクエスト発生!
普通に生きていて色んなサブクエストが発生する人生である。いつも行くような場所で思いがけないものに出会って、ちょっとした新しい挑戦をすることとか、人からふいに何かを頼まれることとか、まぁ起こる。「龍が如くのサブクエの世界で生きとるんか?」というのは友達の言葉だ。
生きてるだけで奇妙なものに出会い続ける人生なので、ちょっとやそっとのことでは驚かないぜ。と思っていても、やはり思いがけないものに出会うと胸が高鳴る。
近くのスーパーにツノザメの切り身が売られていた。ツノザメ。名前からして、あの鮫の仲間だろう。何かにつけてB級映画で暴れ回ったりする、あの鮫。
見るからにプルプルしていそうな太い白身が2切れ、「豊洲発」と書かれたステッカーの貼られたパックに収まっている。
日常的にあまり見慣れない食材だからか。
ツノザメの売れ行きは見るからに芳しくなく、陳列棚の中でたくさん残っており、安売りされていた。まぁ、無理もない。
考えてみれば、鮫はフカヒレ以外で食べたことがない。ましてや、こうした切り身は初めてお目にかかる。陳列棚には「甘辛く煮詰めるのがオススメです!」とポップが貼られていた。助言に感謝。こういう挑戦的な食材には、私のようなサブクエの人間が挑むべきだろう。私はツノザメのパックを1つ手に取ってレジに進んだ。
改めてツノザメを見てみる。

ツルツルした灰色の皮が残っており、身は白身で柔らかそう。ラップを外してみると、思ったより魚らしい匂いだ。鮫の肉はアンモニア臭がすると聞いていたのだが、それらしい匂いは一切無い。手の込んだ下拵えも必要なさそうなので、一安心だ。
普通に魚の煮付けを作るように、砂糖、みりん、醤油、水を少し加えて、落とし蓋をして弱火で少し煮込む。身に火が通った頃に、少し火力を上げてタレを煮詰めて、とろみをつけて完成。
至ってシンプルな工程で、王道な煮付けが出来た。漁港近くの食堂でよく見るような、赤魚の煮付けと匂いも見た目もあまり遜色ない。

さぁ、未知のものを食べる喜びを噛み締めよう!箸を入れると、ホクッと身がほぐれる。身離れが良くて、ますます魚らしい。口にすると、感触も魚のそれだ。フワフワした身質はクセもなく、甘辛いタレとよく合う。
私の調理スキルもあるだろうが(ドヤ顔)無事に美味しく出来上がって満足だ。
さて、実は私は別のサブクエストを入手している。ワクワクするだろ?その話はまた今度。
今、まさに美味しく食べるために調理中だからな。