「エナとリリィ」第3話(終)
「エナとリリィ」第3話
-教室にて-
エナ「ルード、どう?魔法の方は??」
ルード「うーん…手応えってほどではないけど、まぁいい感じだな。やっぱり、土に触れたり、森に行ったりすると感覚が掴める。」
エナ「森…?大丈夫??あそこは魔物とかいるんじゃ…?」
ルード「そこまではいかないさ。ちゃんと結界内だよ。」
エナ「…そっか。ならいいけど。リリィは?」
リリィ「へぇっ!?あえ、えっと…」
ルード「ほぉら、やってない。」
エナ「…?どうしたの?」
リリィ「やややっ!なんでもないの!…ほら、次の授業始まるよっ!」
ルード・エナ「?」
(チャイムの音・場面転換)
ルード「じゃあ…今から校舎裏で
3人で練習しよう!」
エナ「いいわね。」
リリィ「え…」
エナ「大丈夫!私たちが一緒にするから!」
リリィ「いや、でも…。」
ルード「…。」
エナ「ほら、行くよっ!!」
リリィ「まっ、待ってよ~っ!」
-校舎裏
エナ「よし…やるよ。」
ルード「あぁ…やろう。」
リリィ「…。」
エナ「感覚を合わせるのよ。自分の属性と。」
エナ(N)みんな、一斉に目を閉じた。
でも、その後すぐに謎の閃光が走って
私たちはすぐに目を開けた。
エナ「えっ!?なっ、なにっ!?」
ルード「…っ!?」
エナ(N)光を放っているのはリリィだった。
リリィ「あ…ご、ごめんっ!!今消すからっ!!あ、でも、どうしようっ!?」
エナ「落ち着いてっ!!深呼吸して!!」
リード「そうだっ!落ち着け!大丈夫だっ!!」
エナ(N)私達がリリィの手を握ると
リリィの身体から段々と光が消えていく。
リリィ「お…おさまった。」
エナ「…良かった。」
リード「…あぁ。」
リリィ「ふたりともありがとう…。」
(短い沈黙)
エナ「…なんで?」
リリィ「え…?」
エナ「なんで言ってくれなかったの?」
リリィ「あ…それは…。」
エナ「私のお母さんが昔、王国の魔法使いだったって知ってたでしょうっ!?」
ルード「…え…(小さな声で。)」
リリィ「え、あ…ご、ごめん…エナ。」
エナ「…っ!!もう知らないっ!!私、帰るっ!!」
ルード「お、おいっ!!エナっ!!」
リリィ「ご、ごめ…ごめんっ!!」
ルード(N)エナが走っていく。追いかけるべきだと思ったけど、泣いてるリリィをひとりここに残すわけにはいかなかった。
(短い沈黙)
ルード「…大丈夫か?」
リリィ「…うん。」
ルード「…。」
リリィ「…。」
ルード「…ごめん。」
リリィ「え?」
ルード「俺が練習しようなんて言ったから…。」
リリィ「ちっ、違うよっ!!ルードは悪くないっ!私が…私が言えなかったのが悪いんだ…。エナなら…エナなら話せばわかってくれるって思ってたのに、なのに…。」
ルード「…。俺、知らなかったんだ。…魔法が全然出来なくて、リリィが困ってると思ったんだ…。」
リリィ「うん…。ごめん…。」
ルード「もう俺にごめんって言わなくていいからさ、エナと仲直りしよう。きっと…わかってくれるはずだ。エナなら。」
リリィ「…ありがとう、ルード。」
アーノルド「はーい!ふたりとも!こんにちは。」
ルード・リリィ「!?」
アーノルド「いやぁ…さっきの見てたよっ!!すごい光だった…っ!!君…才能あるよっ!」
リリィ「…あ、え、ありがとう…ございます…。」
ルード「先生…何か御用ですか?」
アーノルド「もう下校の時間だ。構内の見回りをしていたんだよ。」
ルード「じゃあ…俺たち、帰ります。さようなら。」
アーノルド「君は帰っても構わないが、彼女とは少しお話がしたいな。」
リリィ「…え。」
ルード「っ!…リリィっ!!走るぞっ!!」
ルード(N)俺はリリィの手を引いて、走り出した。
アーノルド「子供の足で逃げ切れると思うのかねっ!!はっ!!」
ルード(N)先生が放った魔法が俺たちが逃げた先の木に命中して、木が倒れる。逃げ道を塞がれた。
リリィ「ルード…怖いっ!!」
ルード「くっ…大丈夫だっ!!」
アーノルド「さぁ、こっちに来るんだっ!!」
リリィ「いやあぁぁっ!!」
ルード(N)その時、またリリィの身体が強く光出した。
アーノルド「ぐっ…ぐあぁっ!!!目が、うぐっ!!!」
ルード(N)俺にはただ眩しいくらいだったが、先生は明らかなダメージを食らっていた。
エナのママ「そこまでよっ!!子供たちから離れなさいっ!!」
エナ「リリィっ!!ルードっ!!」
リリィ「エ…エナあぁぁっ!!!」
ルード「エナ…なんで?」
エナ「…家に帰って、ママに事情話したら…ちゃんと謝りなさいって。ついてきてくれて…。ごめん、ふたりとも。」
リリィ「こっちこそ…ごめん。」
エナ「うん…。」
エナのママ「あなたが子供たちに向けて魔法を放った事、教育委員会にも魔法教会にも報告させていただきます。」
アーノルド「…ぐっ!!ふざけるなっ!!」
エナのママ「遅いっ!!!」
アーノルド「ぐああぁぁあっ!!!?」
エナ(N)ママの放った魔法、黒い帯状の闇が先生を締め付けた。身動きが取れない先生は観念したのか大人しくなった。
エナのママ「私は元・王国の魔法使い。マナ・グレイスです。そして、今は子供たちの身を守るひとりの母親です。あなたの蛮行は絶対に許しません。」
アーノルド「ぐ…ふぅ…。」
マナ「みんな、ケガはない?」
リリィ「大丈夫です!ありがとうございます!」
マナ「ルード君は?」
ルード「…あ、え?だ、大丈夫です…。」
エナ「…おや?おやおや??」
ルード「…な、なんだよっ!?」
エナ「もしかして…年上好き?」
ルード「はぁっ!!!??」
リリィ「きゃーっ!!ルードってそうなのっ!!??」
ルード「ちっ、ちげぇし…っ!!!変な事言うなよなっ!!」
マナ「ふふふ…仲良しさんね。これからも、エナと仲良くしてねっ!」
エナ・リリィ・ルード「はいっ!!!」
マナ「じゃあ、私は色々やる事あるから。先に帰っててね。」
(短い沈黙)
リリィ「エナ…改めて、ごめんなさい。」
エナ「ううん…。私もカッとなって、ごめんなさい。ママの事、知ってたから私に言い出せなかったんだなって後からちゃんとわかったから。」
リリィ「エナ…!!ふふふ、大好き!」
エナ「ふふ…私もよっ!大好き!!」
ルード「…あの、俺はここにいていいのか…?」
エナ「ここはあんたも大好き!って言うところでしょっ??」
ルード「はぁっ!!?そんなの、絶対…言わねぇしっ!!」
(3人で笑い合う)
~おしまい~