祝!プリメーラ復帰!エスパニョールの20-21シーズンを振り返る
「わたしは人生の中にほとんど幻想を持たない人間よ。カブスのことは、そのわずかな幻想の一つにしておきたいと思ってるの」(サラ・パレツキー『サマータイム・ブルース』より)
ふと見つけました。カブスの部分は皆さん色々なチームが入ると思いますが、このnoteでは(というか僕のnote全部ですね)エスパニョールです。
シーズン終了後追記予定。
プレシーズン
屈辱の再開でセグンダ降格となったエスパニョール、1年でのプリメーラ復帰を目指し戦いが始まりました。
新監督に昨季マジョルカを率いた昇格のスペシャリスト、ビセンテ・モレノを招聘しました。
夏の移籍市場での動きは以下の通り
OUT
GK アンドレス・プリエト(バーミンガム)
DF ナウド(アンタルヤスポル)
DF ベルナルド・エスピノサ(レンタル終了)
DF ハビ・ロペス(退団)
DF ピパ(ハダースフィールド)
DF セバスティアン・コルシア(レンタル終了)
DF ビクトル・ゴメス(レンタル)
MF マルク・ロカ(バイエルン)
MF アンデル・イトゥラスペ(引退)
MF ビクトル・サンチェス(退団)
FW ジョナタン・カジェリ(レンタル終了)
FW ファクンド・フェレイラ(レンタル終了)
FW モハ・エザルファニ(レンタル)
IN
DF リュイス・ロペス(レンタル終了)
DF ミゲロン(レンタル)
DF オスカル・ヒル(エルチェ)
MF ケイディ・バレ(マラガ)
MF フラン・メリダ(オサスナ)
MF アレックス・ロペス(レンタル終了)
MF ポル・ロサーノ(昇格)
MF ニコ・メラメド(昇格)
FW アルバロ・ヴァディージョ(レンタル)
FW ハビ・プアド(レンタル終了)
PSMはウエスカに1-1、カディスに0-1、マラガに3-0、アルメリアに4-0とし、セグンダのチーム相手にはしっかり勝ち切り、開幕に備えました。
1~11節 開幕
120周年記念ユニフォームを身に着けて挑んだポンフェラディーナ戦に勝利
J1 H アルバセテ 3-0○
J2 H マジョルカ 0-0△
J3 A オビエド 0-2○
J4 A サバデイ 0-1○
J5 H アルコルコン 1-0○
J6 A ラージョ 1-0●
J7 H ミランデス 2-0○
J8 A テネリフェ 0-0△
J9 H ポンフェラディーナ 2-0〇
J10 A マラガ 0-3〇
J11 H ルーゴ 2-1〇
開幕した20-21ラリーガ・スマートバンク、最初の11節までで8勝2分1敗、失点僅か2という堅守で開幕のスタートダッシュに成功。9節ポンフェラディーナ戦ではクラブ創設120周年の記念すべき試合で無事勝利を収め、過酷と言われたセグンダでもこのまま楽に突破できるのでは?という楽観的な意見がネット上で出てきましたが、現実はそんなうまい話はありませんでした。試練の時期を迎えます。
12~14節 最初の試練
J12 A フエンラブラダ 1-1△
J13 H ジローナ 1-2●
J14 A レガネス 2-0●
12節フエンラブラダ戦は87分にPKを決められ、試合終了間際に同点、そのまま引き分けとなりました。以前も試合終了間際に相手の猛攻を喰らうことはありましたが、点を取られることはありませんでした。危なかったけどまあ点とられてないし大丈夫か、事なかれ主義ではダメだと気づかされます。
しかし、13節ジローナ戦は40分にRDTのゴールで先制も83分から5分で2点奪われ屈辱の逆転負け、14節レガネス戦では実力で押し負ける。「このチームには精神的にも、技術的にも脆さが存在する、監督はそこを改善できているのか?」ビセンテモレノ監督の手腕が疑問視され始めました。
15節~19節 首位奪還!2021年へ
J15 H サラゴサ 2-0○
J16 A カルタヘナ 1-3〇
J17 H スポルティング 2-0〇
J18 A ログロニェス 0-3〇
国王杯 リャゴステラ 1-0〇
J19 H アルメリア 2-1〇
手腕が疑問視されたレガネス戦以降、ビセンテモレノはある変更を加えます。ダブルボランチの組み合わせをダビド&メリダからダルデル&バレとしました。運動量に優れる闘犬、バレを配置、トップ下だったダルデルをバレの相方とし、ダビドはCBに入るようになりました。以前のメリダ、ダルデル同時起用の布陣は攻撃時に圧倒すればワクワクする中盤でしたが、守備のバランスに不安を抱えていたためそこを変えてきました。
攻守のバランスを改善したチームはスポルティング、アルメリアという上位陣相手に苦しみながらも勝利し、2020年最後を首位奪還という最高の結果で締めくくりました。
20節~29節 第二の試練
J20 A ラス・パルマス 1-0●
国王杯 ブルゴス 2-0〇
J21 H カスティジョン 2-0〇
国王杯 オサスナ 0-2●
J22 A ジローナ 1-0●
J23 H ラージョ 2-3●
J24 A ルーゴ 1-1△
J25 A マジョルカ 1-2〇
J26 H サバデイ 1-0〇
J27 A スポルティング 1-1△
J28 H オビエド 1-1△
J29 A ミランデス 2-2△
冬の移籍市場ではアンデルレヒトから元ベルギー代表FWランドリー・ディマタをレンタルで獲得、FW ビクトル・カンプサーノをスポルティングへ、MF アレックス・ロペスをミランデスへ契約解除で放出。
首位奪還を達成し、上昇気流の乗ると思われたチームですが、年明け初戦のラス・パルマス戦に敗北、その後国王杯オサスナ戦から公式戦3連敗。ジローナ、ラージョにはシーズンダブルを許してしまいました。
首位もマジョルカに奪われてしまいます。首位決戦となった25節マジョルカ戦こそ勝利するものの、27節スポルティング戦から2試合連続引き分けの足踏みにより遂にはアルメリアに抜かれ今シーズンすっと守ってきた自動昇格圏からも外れ3位となってしまいます。「今シーズン昇格できなかったらどうなるんだ、マジョルカ、アルメリア共に息切れする気配がない。昇格できないとデポルのようにずるずる降格してしまうのかもしれない。」そんな最悪の予想をしてしまうほどセグンダのレベルは想像以上に高いです。
29節アンドゥバでのミランデス戦、89分にまさかの勝ち越しゴールを許し絶体絶命の状況、95分に今シーズンからトップチーム昇格のニコ・メラメドのヘディングゴールで同点!このゴールから快進撃の歯車が動き始めました。
30~38節 Espanyol , on fire! 昇格へ!
サラゴサに引き分けて昇格決定!
J30 H ログロニェス 4-0〇
J31 A カスティジョン 1-3〇
J32 H フエンラブラダ 4-0〇
J33 A アルバセテ 0-3〇
J34 H レガネス 2-1〇
J35 A アルメリア 1-1△
J36 H ラス・パルマス 4-0〇
J37 H マラガ 3-0〇
J38 A サラゴサ 0-0△
30節からは今までの不振が嘘のように勝利を重ねました。前線は大黒柱RDTとディマタの2トップ、サイドは右にエンバルバ、左にプアドのリーグ屈指のアタッカーを並べ、今シーズン最多4得点の試合を3度演じました。プアドはキャリア初のハットトリックを達成。RDTは得点ランキング単独首位浮上、エンバルバはアシストランキング首位快走中、ディエゴは最少失点と個人賞でもいい記録を狙えるようになってきます。
そして引き分け以上で昇格が決まる38節、ラ・ロマレダでのサラゴサ戦で0-0、自力で昇格を達成しました。
1年間耐えてきたぺリコ達も喜ぶ
大学広場で試合終了後、盛り上がるぺリコ
翌日、バルセロナに帰ってきた選手たちをRCDEスタジアム前で約2000人のぺリコが出迎えた
昨シーズン、カンプノウでの屈辱の降格を画面の前で見るしかなかったぺリコ達にとって久しぶりの歓喜の瞬間となりました。
(追記)39~42節 優勝を決めるも…
J39 H カルタヘナ 0-2●
J40 A ポンフェラディーナ 1-4○
J41 H テネリフェ 1-1△
J42 A アルコルコン 1-0●
昇格を決めたエスパニョール、あとは優勝するのみ!チームの目標は決まった。しかし、ビセンテモレノにはもう一つやるべきことがあった。現有戦力の見極めである。来シーズンプリメーラで戦える戦力がいるのか、今夏は動きの少ない市場と予想されている。そのため、ここまで出場が少なかった選手(ウーレイ、バルガス、オイエル、ポル・ロサーノ、ヴァディージョなど)、組み合わせを積極的に起用した。
しかしながら、相手は残留が掛かっているチーム、急増の組み合わせで勝てるほどセグンダは甘くなかった。加えて最終節が迫るにつれて代表活動での離脱も重なり、穴ぼこのチームでの戦いとなった。最終節までもつれた優勝争いの結果、敗れたもののマジョルカの引き分けにより優勝を手にした。
これにより、エスパニョールの過酷で長い20-21シーズンは終了した。
しかし、帰るべき場所に帰ってきただけである
昇格を達成したエスパニョールだが、80年以上在籍したプリメーラに帰ってきただけというのも事実です。チェン会長の野望「4位以内、クラブ史上初のCL出場」は未だ為されていません。また、セグンダでの成功がプリメーラでの成功に繋がるわけでもありません。現にセグンダ最多勝ち点を記録して昇格した12-13のデポルは19位で降格、最速で昇格を決めた06-07のバジャドリーは翌シーズンから15位、15位、18位で降格と特筆すべき結果を残せたわけではないです。エスパニョールはセグンダを戦って得た経験を活かしながら更なるチーム力アップをする必要があります。
最後にお気に入りの写真を。RCDEスタジアムで盛り上げ役になったケイディ・バレです。足を支えるヌコノ(落ちんなよー)
今のところ良い調子ですが、ここまでの感想は「セグンダなんて二度と戦いたくない。魔境」です。
来シーズンのエスパニョールにご期待ください。
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