2022年ベストアルバム20選
という訳で今年のベストアルバム20選です。書きたいネェ、と思いながらダラダラしてる間に大晦日になってしまいました。酒も飲んでるし終わりだよ終わり。
今年はなんとなくnoteに書こうかな、という気持ちになったのでnoteに書きます。Twitterの140字縛りもある面では結構楽で好きなんですけどね。
では少しの間、コイツは今年こういうの聴いて気に入ってたんだな、という自己開示にお付き合いいただければと思います。
20,King Gizzard & The Lizard Wizard / Omnium Gatherum
「音楽」を全部やろうとしてるのでは?みたいなオーストラリアのワーカホリックバンド、今年3枚出した新譜のうちの1枚です。1年で新譜3枚ってなに?
今作もしっかり音楽全部やっているんですが、特にのっけから18分の爆走サイケロックを放り込んでくるイカれ具合が最高でした。
19,Yin Yin / The Age of Aquarius
オランダはマーストリヒトから、ノリと勢いと好きで心地よい東南アジアン・サイケをキメてくるバンドの2nd。前作よりもスペーシーな空気感が強くなっており、前作同様のアジアへのふんわり解像度と相まって、絶妙にこちらのチル飲酒欲を煽ってくれますね。
18,Dharma / Three Thousand Realms in a Single Thought Moment
歌詞がお経だったり、ライブにガチ僧侶を招いたりしている台湾の仏教デスメタルバンド。それだけだったら良くも悪くもナイスアイデア賞というだけで終わるんですが、肝心の中身もSeptic Fleshあたりを想起させるような重厚なシンフォデスメタルをベースにオリエンタルな要素も乗っかったサウンドで素晴らしかったです。まさかブラストビートをバックにデスヴォイスで連呼される南無阿弥陀仏を聴く日が来るとは思っていませんでした。
17,Fortune 500 / The Music of the Now Age IV
Fortune 500!!生きとったんかワレェ!!
首魁luxury eliteはもちろん、INTERNET CLUB、회사AUTO、Skeleton(骨架的)など、Vaporwaveの黎明~全盛期を彩った錚々たるメンツが再集結した上に、まさかの猫 シ Corp.まで参加しているという贅沢ぶりはもはやエクスペンダブルズですよ。
16,Tim Miller / Synergy
アメリカのコンテンポラリー畑のジャズギタリスト。
俺バカだからヨォ、どっちかっつうとテクニカル志向な楽器弾きのくせにジャズはあんまり琴線に触れねぇんだけどヨォ、このアルバムは特にコードの響きの取り扱いの繊細さが特に気持ちよくて普通に楽しめたゼ。
正直これ系の音楽は自分でもOKとNot for meとのラインがよく分からんのですが、ともあれ好みのアルバムでした。
15,Russian Circles / Gnosis
シカゴが世界に誇るポストメタルバンドの8thアルバム。
今回も本筋は外さず、暴力的なリフに挟みこまれるメロディの二本柱でグイグイ引っ張っていくRussian Circles節は健在。ほとんど丸太並みの太さのリフと繊細なメロディで、的確に喉元を狙ったラリアットを毎曲フィニッシュブローの強度でキメてくるサマは圧巻で、個人的にはEmprosに比肩するぐらい好みになったアルバムでした。
14,ライナスの青い毛布 / ロストメルヘン
悪いインターネットのドリームバンド、待望の1st。
ロックというフォーマットでポップスという像をどう描くか、という命題は一つの定番で、今作もその命題に対してどういう解を提示するか、というものになるとは思うんですが、各人の普段の活動や音楽性を知っていることで、例えばシューゲイザーであったり、例えばギターロックであったり、あるいはシンプルなポップスであったり、メンバーそれぞれのベースやルーツの違いを重ね合わせ、抽出していくプロセスがよく見えて、バンドの面白さってこれだよな。と再確認させてくれました。
13,THE ALFEE / 天地創造
特に2010年以降のTHE ALFEEはバキバキ最前線なんですが、ここにきて日本のポップスの歴史全乗せのようなカラフルさはそのままに、自らの過去作であるDNA Communicationの進化系のような作品を送り込んできおましたね。過去の自分たちをも飲み込もうとする姿はバイタリティの権化ですよ。オッサン通り越して前期高齢者がLINEの既読が云々などとのたまっているキツさは行き過ぎたバイタリティによるご愛嬌ということでどうか一つ。
12,marble / Colorful Pop
marbleは個人的に思い入れのあるユニットで、活動休止以来期待しすぎずにずっと待っていたのですが、ついに復活しましたね。嬉しい限りです。
音楽性も「そう、これこれ!これよ!」となるオーガニックポップをやってくれています。これからも肩ひじ張らず、息長く活動していって欲しいですね。
11,Polyphia / Remember That You Will Die
いやぁいいアルバム作りましたよね。
ギターヒーロー不在、ともすれば不要とすら思われかねない昨今のなか、テクニカルであることを諦めず、打ち込み人力再現の限界を目指すかのように練度を高めたその心意気がまず素晴らしいですし、その結果として「楽器が上手くて売れる」という、もはや途絶えたかと思われた道をも切り拓こうとしつつあるのは本当にすごいと思います。なにより最後の最後にSteve Vaiをfeat.してくる意地ですよ。こいつらは真性のギターキッズですよ。
10,TEKKNO / Electric Callboy
ドイツが産み出してしまったバカ、本格的にバカになってからは初のアルバムです。
それまでもバカの片鱗は見せていたのですが、真面目な雰囲気をメインに時々ふざける、というスタンスだったのが、ボーカルの交代以降、バカと真面目の比率が逆になりました。なんでやねん。
ところがどっこいこの方向転換がドンピシャの大ハマり。オープンな楽曲が多いことで、"あの頃のメロコア"そのまんまみたいな曲や、シリアスな雰囲気の曲がいいアクセントとして機能していますね。脳細胞の稼働率を下げて楽しめるアルバム。
9,Fellowship / The Saberlight Chronicles
イギリスパワーメタル界の新星による1stアルバム。
アルバム全体に満ち満ちるこのハッピーなエナジーはなんなんでしょうか。こういう明るいパワーメタルという方向性はこと最近の一つの潮流として立ち上がりつつあると思っているのですが、その中でも特に前向き指数の高い、パワーメタルを好きであることまで含めてまるっと肯定してくれる賛歌ような素晴らしいアルバムです。
8,ナイトサファリ / 哀愁と銃撃
滋賀県のロックバンドによる2nd。誘われて行った別バンド目的のライブで観てブチ刺さってしまいました。
確かなテクニックの楽器隊を背に、エモーションを掘りっぱなし土付きのままぶん投げてくるボーカル、楽曲もシンガロング出来るパートを作りつつリズムチェンジやテンポチェンジを頻繁に繰り返すなど、アツさと冷静さのバランスが絶妙。
7,black midi / Hellfire
ロンドンのバンドによる3rd。
音は煮詰めるとここまで行くのか。という第一印象で、このアルバムに比べると彼らの過去作ですらアッサリ風味に感じます。
そういう点で見れば、よく言われるKing Crimsonとの相似性というのは、もちろん音楽性に関しても見出すことはできますが、それよりもその偏執的なまでのこだわりや、ジャンルという枠組みそのものを拒否するような精神性にあると思うんですよね。そういうものを積み重ねた凄みで殴ってくる異形の名盤。
6,Destrage / SO MUCH. too much.
セクシ|なイタリアのボイの6th。正直ちゃんと聴いたのは3rd以来だったんですが、しっかしこんな化けるもん?ちょっとビックリしました。
Periphery率いる3DOT Recordingsに移籍したのが功を奏したのか、元々のカオティックな音楽性をマッチョにまとめ上げる方法論がメチャクチャ今っぽくアップデートされている上、では小難しくまとまっているのかと言うと全体的にブチ切れた勢いを保ち続けており、それこそあの頃のSikThとかに近いレベルまでの完成度を見せています。ここまで凄いアルバムを作ってるのに未だにポニョのイメージで止まってるのはリスナーサイドの怠慢まである。
5,Imperial Circus Dead Decadance / 殯——死へ耽る想いは戮辱すら喰らい、彼方の生を愛する為に命を讃える——
オ、オタクーーーーーー!!!!!!(ここで爆発四散)。メロデスをベースに日本の同人音楽を放り込んで魔改造し、あさきをはじめV系のクドさもマシマシでトッピング。令和の知見で00年代オタク音楽のヴァルハラを作っとります。あらまり引っ張り出すとか反則ですよ。好きになるって。
4,Victorius / Dinosaur Warfare Pt. 2 - The Great Ninja War
多分まだテレビマガジンとかてれびくんを定期購読しているであろうドイツのパワーメタルバンド。前々作で改造恐竜vs宇宙人、前作で正義の忍者vs宇宙忍者と、隠された真実の戦いの歴史を暴いてきた彼らですが、新譜では改造恐竜軍(上腕三頭筋を鍛えているトリケラトプスとかがいる)と宇宙忍者軍(邪悪な帝国、カタナキングダムとかがある)が戦うんですよね。はぁ?
3,Animals as Leaders / Parrhesia
孤高のリズム研究家による5th。完成度、という点で言えば最高傑作じゃないスかこれ。これまでも使用していたSelective Pickingによるフレーズ構成を更に強烈に推し進めたことでメロディがスライスされ、従来の専門研究分野であるリズムとの境界線が更に溶け合い、キャッチーさを残しつつ完全に異形のリズム絵巻と化しています。
2,David Maxim Micic / BILO Ⅳ
セルビアのギタリストなんですが、これちょっととんでもないアルバムじゃないですか。
フィルムミュージックを目指したアルバム、というのは数あれど、メタルを出自にしつつ真に幅広いジャンルを内包し、かつ楽曲、ひいてはアルバムのトータルバランスまで考えた結果として、フィルムミュージックに限りなく近づいた、という手触りのアルバムは本当に稀有ですし、更にこのトータリティを保ちつつ一枚一曲みたいな大作志向の穴に落ちてない、というものすごく難しいことをかなり高い次元で完成させてますよこれ。すごすぎ。
1,Lorna Shore / Pain Remains
アメリカのデスコアバンドによる4thアルバム。
持ち球は1種類だけなのに、その破壊力がバケモンすぎるせいで通用どころか貫通してしまうアルバム、というのはたまに出てきますが、今作はまさにそれですね。
超シンフォニック超デスコア、それしかやってない。わんこそばのノリで食っても食っても全マシ二郎系が勝手に目の前に置かれてくる。それなのに美味すぎるせいで気づいたら全部食わされきってしまうような快作。
以上です。
毎年「今年もあんま音楽聴けんかったなぁ」という心残りを抱えたまま年を越すのですが、今年は夏から秋にかけてかなり長くメンタルをやられてしまったので、より聴けなかったなぁ。という感想です。その割には下期に出た・聴いたアルバムからの選出が多いんですが。
飲みながら書いていましたが、いつの間にか酔いも覚めてきました。来年はもう少しいい感じにやっていければな、という希望があります。よろしくお願いいたします。