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家族葬の理想と現実
ふとカレンダーを見ると間もなく秋のお彼岸です。
ああ、来週末あたりはオヤジの墓参りにいかないとなぁ、先月のお盆に行ったばかりなのに・・・そんな事を考えていたら、葬式の事を思い出しました。
父は長男では無かったので、我が家にはお墓が無く、僕自身も結婚式は何度も呼ばれていますが、お葬式にはほとんど参加した事が無く、冠婚葬祭の、こと「葬」に関しては全く知識がありませんでした。
同じような境遇の方もいるかと思い、当時を振り返って葬式の理想と現実を書いてみようと思います。
(3000字近くあって長いので、葬儀は何度もやってプロよ!という方は読み飛ばして頂いて結構です)
父は4年前にガンで亡くなりましたが、最初は前立腺がんが見つかり、本人はあと半年だ3か月だと大騒ぎしつつも放射線治療で緩解しました。
それを期に終活を始め、友人知人とのお別れや年賀状を辞めたり不要物の処分を続けていました。
その後すい臓に転移している事がわかりました。すい臓がんと言えば予後が悪いので有名で、患者も耐え難い痛みに襲われるなどとよく聞きますので、家族ももう長くないなという認識でいました。
お決まりの抗がん剤で押さえて、効かなくなって強い薬に変えてを繰り返して、抗がん剤治療も辞めたのですが、結果的に2年程は入退院を繰り返しつつ比較的穏やかに過ごせました。
さて、本人も持って半年と思い続けて2年も生きたので、終活もする事が無くなり、頻繁に呼び出されては死んでからの事をくどくどと言いつけられました。
父は几帳面な性格で、死んでからの事も気になって仕方ないようでした。
その中の一つに葬儀の事がありました。
もう定年退職してから30年近く経ち、当時の部下も残っておらず、仕事関係の人で付き合いのある人はいないのと、兄弟も遠方に住む数人だけとなり、皆高齢のため死んだら一番若い弟にだけ電話を一本入れればいいという事でした。
そういう状況なので、葬儀は身内だけの小さなもので金はかけるなと、1枚のチラシを渡されました。
それは県の年金協会のもので、全国各地の提携している葬祭会館だと葬儀が24万円でできると書いてありました。
それまでも母や家内ともやるなら家族葬というやつだよなという話はしていました。
最近あちこちのチラシや広告で見かけます。98,000円~とか、12万円などと随分安く上がるイメージがありました。
6月のある日、仕事をしていると家内から電話があり、父が亡くなったとのこと。2日前に見舞いに行ったのが最後かと思いつつ、一週間は休む事になるので、上司に父親が亡くなった旨を伝えて、仕事や引継ぎを済ませ16時頃に会社を出ました。
その際に上司から「通夜と葬儀の日程と場所がわかったら連絡するように」と言われました。
病院へ向かう途中に、もう葬祭会館に遺体は向かっていると連絡が入り、現地で母と家内と落ち合いました。
何をすればいいのか全くわかりませんでしたが、そこは相手はプロです。丁寧に段取りやコースの打ち合わせを手際よく済ませました。
この時点で当初考えていなかった事がたくさん出てきました。
参加人数が想定より多い
家族葬のコースにはしましたが、当初は家族葬と言えば身内の10人程度だけの参加だとずっと思いこんでいました。しかし、実際には僕の職場に連絡する事で、同僚や他部署の上長、社長など数十人が通夜に訪れる事になりました。
葬儀も管理職は参加して頂く事になり、とても10人では収まりませんでした。とにかく現金がいる
なんとなく父からもらった年金協会に書いてあった24万円+若干の費用で済むと勝手に思っていましたが、すぐにお坊さんの手配をして当日のうちに枕経をあげて頂く事になり、そこでまず10万円ほど。
これは地域やお寺さんとの関係もあるのですが、我が家には菩提寺と言うものが無く、急遽手配してもらったので一般的にはこれぐらいだと葬儀場の人に聞いて納めました。宗派がわからない
上と関係しますが、仏壇もお墓も無い我が家です。最初に宗派を聞かれますが聞いた事もありません。3歳ぐらいの記憶で、父方の実家に帰った時に爺さんが夜に仏壇の前で「南無妙法蓮華経」とお題目を唱えていたような気がするので、きっと日蓮宗!そんないい加減な感じで宗派が決まりました。
実はこの地域には日蓮宗のお寺は極端に少なく、手配に苦労したとの話を葬儀場の方が言ってました。人数が増えていく
通夜振舞いは何人分にしましょうかと聞かれ、会社関係の人は線香をあげたら帰るので、我が家は3人、それに母と妹家族3人、家内の実家から3人丁度10人です。
料理が10人コース20人コースのようになっていたので、10人コースでお願いしました。
すると、妹の旦那の母と妹2人が来るとの連絡があり+3人、母の妹が来なくていいと言っておいたのに急遽参加。
香典返しも30人もあればとお願いしましたが、結局会社関係も以前香典を出した方から頂く形で膨れ上がり50人ぶんになりました。
さらに母は長年パート勤めをしていましたが、大ベテランという事で先方の会社から社長さんを始め数名の幹部が来られたり、突如家に知らないおばさんが3人ぐらい来て「お線香だけでも」と香典をおいていかれたりで、結局70個近くの香典返しが必要になりました。
そしてお坊さんを頼んだという事は、必然的に戒名が発生します。
結局戒名と葬儀の読経代で50万円がかかり、細かい諸経費も含めて最終的には130万円ほどかかりました。
ちなみに年金協会の提携先という事で、これでも40万円ほどは値引かれています。
親父が葬式代だとある程度のお金は残していたのと、香典などもあるので賄えましたが、これって誰でもポンポン出せる金額では無いのでは?と恐ろしくなりました。
一応家族葬コースではありましたが、それまでイメージしていた10万円前後の家族葬というのは現実的には無理だとわかりました。
親が高齢で世間とつながりが無くても、子供が社会とつながりがあれば、その人達が当然参列に来るので、ある程度の規模は必要です。
また病院では亡くなると「どこの葬儀会館へ運びますか?」と待った無しで追い出されます。あてが無いと自宅へ運び込まれます。結局自宅からまた運ばないといけなくなるので、病院と提携しているところに運びますか?という事になり、その時点でイニシアティブは無くなります。
我が家の場合は、そこで年金協会とやらの提携先を指定して運んでもらったわけですが、仏式でお坊さんを呼ぶ以上は戒名もお布施も必要になってきます。
これは金額は決まっていないので、あくまで「お気持ち」という事ですが、相場を訪ねた結果上記の金額になりました。
次は順番から言えば母親ですが、僕が定年退職してからがいいなと思ったりします。また自分が死んだ時は葬式代ぐらいがでる死亡保険に入っていますが、葬儀の時はキャッシュが必要とわかったので、息子に建て替えさえるのは無理だと頭を抱えています。
死んだら葬儀はあげるな、遺骨は海に撒いてくれ。なんて話も良く聞きますが、世間とのしがらみが強ければ強いほど、オーソドックスなやり方に落ち着くのだなと分かった一件でした。
おしまい