【函館】(後編) 五稜郭〜湯の川温泉
2023年11月 函館旅日記 後編です。
また5000字になってしまった。
前編はこちら。温泉ばっかり入ってますね。
後編で登場するところ。
2日目、おはようございます。
前日夜、ラッキーピエロのふわとろBIG…オムライスをそれはもうお腹いっぱい食べたので、胃もたれしてるかなと思ったが意外にもすっきりとした目覚めだった。
普通にお腹も空いており朝ごはんを食べる。底知れぬ奴!
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五稜郭公園 箱館奉行所
朝9時、今日は五稜郭へ。
五稜郭公園までは市電の電停から徒歩10分ちょっとくらいかな。
まず最初に五稜郭タワーに登ることにする。
おほしさま〜〜!すごいおほしさまだ。
五稜郭の構造を観察するためには、上から俯瞰で見下ろすのが一番。
しかし面白いかたちをしているよね。戦って守るための城郭。
(さて、攻めますか…or 守りますか…)と、軍師になったつもりで兵をどう置くか、どう進めるか、守るか考えてみたりすると楽しい。
眼下に広がる五稜郭公園だけでなく、五稜郭と旧要塞である函館山との位置関係、距離感や、海の方角なんかも気にして函館のまち全体を見てみるとなお楽しめる。
展示スペースには函館、五稜郭にまつわる様々な資料や模型などが並んでいるので、それらを眺めつつ、現物を見て確認できるのが良いですね。
360度全方位ガラス張りなので好きなように見られる。
満足するまで上から見たので、今度は降りて実際に地面を歩いていこう。
これは半月堡といわれるちいちゃい要塞。
星型の凹みにひとつだけ出っ張ったところがあるでしょう、そこが半月堡です。
本当は半月堡を5つ作って完全形にしたかったらしいけど予算が足りなかったんだって。
函館奉行所、ちょうど星型の中心にある。
箱館戦争の後解体され、今目にしている建物は2010年に復元されたもの。
復元工事が終わってまもなくの頃に函館に来て一度見学しているはずなのだが、とにかく混んでいた記憶がある。今回はじっくり見てまわろう。
内部は歴史資料や建築資料などの展示・見学。
見学順路の終盤にはどこの観光地でもお馴染みのビデオ上映ゾーンがあり、この奉行所を再建するまでの復元工事のようすをまとめたドキュメンタリー映像が流れていて、思わず見入ってしまった。さながらプロジェクトXのよう。わたしはプロジェクトXを見て大きくなったので。
普段はなんとなく見てそれでオッケーとしてしまいがちな私だけど、今回はループ再生されている動画の端から端までしっかり見た。古写真などの資料をかき集めての調査、遺構の発掘調査、設計図の書き起こし、日本全国あらゆるところから集結した現代に生きる職人たちによる匠の技…大きなプロジェクトだ。
ちょうど他のお客さんも少ないタイミングだったので、順路を逆走して始めから建物内部に目を凝らしながら(はぁ〜これが、あの!)と至るところに感嘆しながらまた最後まで回った。外もぐるっと回って瓦屋根や太鼓櫓を見上げる。
初代の奉行所庁舎は箱館戦争終結によってわずか7年の間に取り壊されてしまったが、この復元庁舎はこの先も永く、その風格ある佇まいで存在し続けてくれることを願う。
奉行所を後にして松林の中を歩き回り、ゴールデンカムイの例の井戸跡(とファンの間で言われている場所)を探す。わしは大将首はいらん、金塊何処〜!
…………ありました!!
ちょうどいいくらいの難易度だった。
ゴールデンカムイを読んでなかったらここは素通りしてしまう。
兵糧庫などを見つつ、そのまま北側(裏門) 方向へ歩いていこう。
実際に五稜郭の中を歩いてみるとよくわかるのだが、道が入り組んでおり土塁の高低差もあって全く見通しが効かない。奉行所の建物も簡単には見えてこない。
どこを見回してもなんだか同じような景色で迷路のよう。方角もわからなくなる。
今でこそ、五稜郭のどこにいてもタワーが見えるので「入ってきた南西側はあっちだな」とすぐにわかるのだが、タワーがなければ私はすぐ迷子になって仲間とはぐれ、敵の攻撃をくらっていただろう。
そして、五稜郭公園で私がしてみたかったこと。
星型のお堀の外周が1.8kmの散策路になっており、そこを散歩すること!
この日は天気の良い休日であったから、ウォーキングや犬の散歩の人、落ち葉拾いの家族連れ、ジョギングの人と多くすれ違った。
お堀周囲のベンチに座り、見上げるとこの眺め。
最高か〜!
誰かとリアルタイムで最高さを共有したくなり、私が知っている人の中で一番暇そうな人かつ電話に出てくれそうな人……筆頭である祖母へFaceTimeをかけてみた。最初は祖母も懐かしさにノリノリだったのに数分で「見たいテレビが入ったから」と言われて通話は切られてしまったが。まあいいわ、達者ならなによりです。
あと多分ね、その番組みるの5回目くらいだよ。
散策路、どんどん歩こう。
ここ、実際に自分の目で見たかった場所。方角でいうと北東になる。
五稜郭には今現在、一の橋、二の橋、裏門橋の3本の橋がかかっているが、このほかに、昔はこの北東側にも橋がかけられていたという。
箱館戦争の時に旧幕勢力が、裏手の守り強化のために橋を落としたと考えられているんだって。
ほ〜〜確かに他の部分とは石垣のつくりが明らかに違うし、土塁も途切れている。おもしろ〜!
星型周回おさんぽ、あまりにも気持ちよかったのでおかわりし、もう一周した。
この道を毎朝散歩するために函館に住むのもいいな。
外周を2周歩いている間に、「写真とってもらえませんか〜?」と5組ぐらいから声をかけられた。はぁ〜い。最後の組には「よければお撮りしましょうか?」と自分から近づいていったくらいだ。
話しかけると記念撮影イベントが発生するNPCと思われていた可能性がある。
五稜郭公園に面したところにある六花亭に入ろうと思ったが混んでいたため、少し歩いてラッキーピエロで休憩。
(六花亭五稜郭店、公園に面した壁一面がガラス張りになっていて最高です!)
前日の予期せぬフードファイトの一件もあるため慎重にいこう。飲み物ならおそらく大丈夫…
シェイクの味はたくさんあったが、ゴマ味に惹きつけられる。
想像以上にすっっごい量のごまがこれでもかと入っており、すっっごい色をしていた。ジャリジャリしそう。これは効きそうだ。私はごまが好き。
美味しかったです!
気がつけば五稜郭で5時間くらい過ごしていた。同行者に気を遣わず自分の好きなように時間を使えるのは一人旅の醍醐味ですね。
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湯の川温泉街 周辺散策
ここからはまた市電に乗って湯の川温泉へ移動。
思いがけず温泉宿に泊まれちゃうの、楽しみだなあ〜
湯の川温泉は函館空港から車で5分という場所にあり、市電でもバスでも函館駅前から一本でいけるアクセスが良い温泉街だ。
着きました。
電停からすぐの湯倉神社へ行って、お参りと御朱印をいただく。入浴剤もおまけしてくれた。
ここも紅葉が綺麗で秋の青空との対比が良かった。
あとは、境内に銀杏の木があったため強烈にくっさ〜〜〜だった。
道沿いにだんご屋さんがあったので吸い寄せられるように入店。
私のすきなやつ。間違いない。
串だんごとおまんじゅうを購入、宿でたべよう。
道なりに歩いていると、今度は交差点のところに足湯を発見。入るしか、ない!
真ん前で工事をやっていた、ご苦労様です。
足湯、たいへんアチチだった。熱すぎる!でも、馴染んでくるとほぐれて気持ちいい。
あまりにも最高なので、かばんからさっき買ったばかりの串だんごを取り出して食べちゃう。足湯に浸かりながら。こういうことしちゃう。
斜め向かいで足湯に浸かっていた、関西から北海道旅行中というご夫婦としばし談笑。
普段の生活では可能な限り人と会話したくないと思っているが、こういう時だけ平気になれる。
じぶん、旅先コミュニケーションならいけます、任せてください。
そろそろ上がりましょうか〜という流れで、私が余分に持っていた、タブレット型の圧縮タオル(水をかけると戻る)をご夫婦におすそわけした。
街を歩いていていきなり足湯が現れて入りたくなる時があるかもしれないし、と多めに持ってきておいて良かった。
足湯に入るまでは2日間歩き回ってさすがに足が重たく感じていたんだけど、足湯効果なのか一気に軽くなった。どこまででもぐんぐん歩けてしまいそう。
湯の川温泉の疲労回復効果、すごいと思います。
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香雪園 紅葉ライトアップ
まだ気分的には外を歩きたい気分だけどもう日没が近いし、どうしようかな〜このへんで何かないかな〜と思って調べると、山の上にある香雪園という庭園でちょうど紅葉のライトアップをやっているらしい。ライト…アップ…わたしひとりで行って楽しめる場所じゃない気もするがまあ行ってみるか、せっかくだし。
香雪園までのバスが20分ほど遅れたため、隣に並んでいた近くに住んでるのというおじいちゃんとおばあちゃまと雑談して待っていた。この日の私は雑談無双。
今年の家庭菜園の振り返りと来年の展望、街医者の話、老人会の話など、相槌を打ちながら都度質問を入れて聞く。さっき私が寄り道した団子屋さんにもよく行くんだって。
私みたいなカメラ素人のスマホ撮りはこれが限界だ。
紅葉のライトアップを見るのは初めてだったが、夜桜より雰囲気がしっとりした感じで良かった。
暗くて庭園自体の雰囲気はよくわからなかったものの、広さだけは十分に感じられた。今度は昼間の明るい時間に来ようと思う。
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湯の川温泉 お宿
投宿。
お値段がリーズナブルなのである程度予想はしていたが、なかなか年季の入った宿だわね。わたし好きよ。
広々とした和室におばあちゃんちみたいな布団一組がぽつんと敷かれている。
そして部屋の中には至るところにNational 松下電工の製品が置かれており時代を感じる。まだまだ現役なんだね。
夕食はイカを含めいろいろ食べた。が、写真を忘れたので、遡ること2022年に函館で食べたピチピチのイカを載せます。
活造りだったので元気いっぱいだった。
さ〜お風呂いこ〜
濁りの強い谷地頭温泉とはうって変わって、湯の川温泉は無色透明のさらさら湯。
夜の津軽海峡を眺めながらの露天風呂は貸切状態で、心身ともにリラックスできた。
寄せて返す波の音と、チャポチャポと絶え間なく流れ出るお湯の音が混ざり合って心地よい。
秋冬の露天風呂の好きなところは、火照った体が風に吹かれるとちょうど良く冷えて気持ちいいところ。
サウナは私の場合、整わずにとっ散らかってしまうことが多いので苦手だけど、寒い時期の露天風呂は”ととのい”を感じられる。
暗闇の海へ目を凝らすと遠くに光が一列に並んでいることに気がつく。
ということは、あれがイカ釣り漁船の漁火〜!もしくは、海上謝罪会見をしている誰かか。
おかげさまで美味しいイカを食べさせていただきました。ありがとうございます!
いつまででも入っていられそうだけど、出るか〜
満喫した!
館内を軽く散歩。波の音がきこえる。
この日は27000歩あるいていた。
部屋に戻ったらすぐに眠くなったのでおふとんに入った。
波の音に抱かれる前に、2回くらい波が寄せて返すその間に眠りについた。
z z z
朝の浜辺 日の出
翌朝、6時。目が覚めたのですぐ近くの浜辺を散歩しながら日の出を待つことに。
朝釣りのおっちゃん達が波打ち際に点々と並んでいる。
向こう岸は青森だ。
向かって左手が下北半島、右手が津軽半島。
目を凝らすと肉眼でも岩木山と思われる輪郭が確認できる。函館から見えるなんて知らなかった。
こうして見ると案外近いように感じるけれど、青函連絡船 洞爺丸事故などの歴史を知ると”遠かった”んだなと感じさせられる。
トンネルの開通によって天候に左右されることなく安全に、そして安定した人と物の輸送が可能になったというのは当時の人々にとって大きな出来事だったろう。
薄明るい空と海を眺めているとなんだか無性に聴きたくなった曲。
これまで何度聴いただろうか、私の10代をかたち作った曲のひとつだ。
今も私の骨組みのひとつとして生き続けている。
曲自体はもちろん、MVも狭い箱のようなスタジオの壁が倒れて、背景に海がひらける瞬間がたまらなく好き。
こうして10代の頃に擦り切れるまで聴いていた曲を改めて聴くと、やはりいい曲というのはいつ聴いてもいいなと思うと同時に、年を重ねて色々と変わった部分もあるけど、この曲をいいと思う感性が自分の中にまだまだしっかり残っていることに、ほっと安堵したりする。
大丈夫、今日も朝が来た。
この後、朝風呂に入って冷えた身体をあたため、朝食をいただいて宿を後にした。
直前に思いついた旅行だったけど、とても良い時間を過ごせた。
一人旅のはずなのにそんなこと感じさせないくらい色々な人と話したなあ。
見たもの触れたものもそうだけど、今回の旅行では人とのやりとりが特に印象に残っている。
函館をさらに好きになった。