【函館】(前編) 西部地区散策〜谷地頭温泉
こんにちは。
私の大好きなまち・函館が舞台になっているらしい、コナン君映画の最新作「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」を観に行ってきた。
※この先作品のネタバレはありません。
最初に潔く言ってしまった方が楽になれるのではっきり言うが!私は!これまでの人生でコナン君を通ってきていない…!アニメはほぼ観ていなかったし、むかしむかし小児科の待合室で漫画の1巻を読んだだけの知識しかないコナン君超初心者…!
そんな私であっても、今回の映画を観終わった後は「おもしろかった〜!!」という気持ちでいっぱいだった。
新規でも楽しめるコナン作品ってすごいですね。
服部平次というキャラに関しては本当に知らなかったので、(この熱血関西弁褐色肌のマブい男は誰ですか…!)と思ってずっと観ていた。
ストーリーも楽しんだけれど、函館の街並みのリアルさよ……見たことある景色、私が実際に立ち入ったことのある建物、実際に歩いた道の上でコナン君達が大暴れしていてその度に嬉しくなった。
そのおかげで、昨年秋に函館に行った時の旅日記が下書きに眠っていたことを思い出したので、少し手直ししてアップします。気が済むまで書いたら5000字を超えてしまいました。書きすぎた。
コナン君やる気をありがとう。なんだかこのパターンばっかりだ。
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2023年11月。
ある火曜日、都合が悪くなった同僚の代打で出勤したら、その週の金曜が代わりに休みになり、3連休が突如出来上がった。
「なーんか、天気も良さそうだし、どっか行く!?函館とか!?」と思い立ち、3日前の直前で宿を拾い、移動手段を確保。
その週の日曜夜には、またいつも通りの一週間が始まる〜と憂鬱に思っていたのに、金曜には旅先にいるんだよ?突発的旅行の良さはこういうところにある。
普段わたしは足に多重のおもりを付けたフットワーク重量級民だが、たまにこんな風に軽やかな時もある♪
私は函館が好きで、これまでに何度も訪れている。
何度来ても確実に満足感を与えてくれる街、間違いないです。
でも直近2回は仕事での来訪で自由時間が少なかったので、自分にとっては後ろ髪を引かれる思いだった。お願いだ〜今度こそゆっくり過ごさせてくれ〜〜!と思っていたところ。念願叶ってよかったね。
今回はもう気の向くままに無計画にまわることにしよう。
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函館着。
基本情報として、この函館滞在中は車無しで公共交通機関のみを利用、この日は市電乗り放題の600円券を購入、そしてたくさん歩いた。
ちなみに函館は市電、函館バス、函館から新函館北斗(新幹線駅)のJRでSuicaが使えます。
私が行った2023年の段階ではJRだけエリア外だったのだけれど、調べたら今年の3月から使えるようになっていました。
今回、乗り放題券はスマホのアプリで事前決済しておいた電子チケットを使用した。降りる時に運転士さんに画面を見せるだけなのでとてもスムーズ。チケットを見せると市内のお店などで優待が受けられたりもする。
前編に登場するところです。今回は函館山にはのぼりませんでした。
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西部地区散策
昼、散策開始!
今日は、函館の街の中をひた歩き、坂を巡って高低差を体感し、あらゆるところに佇む建築を見てときめきたい気分。
函館山と函館港に挟まれた西部地区には伝統的建造物が密集している。
このリストに掲載されているような建物以外にも、一般の民家がとんでもない造りになっていたり、一見普通に見える建物もよく見ると個性的だったりする。
とにかく、あえて探そうと思わなくとも、歩いていれば自然とあらゆる名建築が視界に飛び込んでくるのです。和があり、洋があり、ひとつの建物の中で和洋折衷だったり、さまざま。
このあたりは建築テーマパークのようで、道沿いには教会があったり寺院があったり、洋館の隣にTHE和風の住宅があったり、全く違う様式の建物が並んでいて面白い。けどなんでだろうなあ、不思議ととっ散らかってないんだよね。
日本で最初のコンクリート寺院である、東本願寺函館別院。
※2022年から2028年まで保存修理工事中。
元町公園。函館がぎゅっと凝縮されているところ。
ベンチに座ってひと休みし、函館港を眺めていると、4組ほどの家族旅行のみなさんから「写真撮ってもらえませんか?」と次々声を掛けられる。は〜い
目がチカチカする!
どんどんあるこう。
坂の上から見ていて、気になる大きな建物を見つけたので降りていくとそこは歴史ある、それでいて現役の小学校だった。美しい曲面…
こんな学び屋に通ってみたいものです。
ついに中華の建物も登場し、びっくりしてしまった。函館、おもしろい街すぎる。
函館の街を歩けばいたるところでその名を聞く(見る)相馬株式会社 社屋。
この外壁のグリーンに、細部まで凝ったデザイン、引きでみれば堂々とした佇まい、うっとりしてしまいますわ…
洋館の窓にはめられた型板ガラス(もみじ)、見惚れてしまいますわ…
伝わっているかもしれないが、わたしには曲線狂の一面がある。とてつもなく癖なのです…
函館を歩いていると、こうした角が丸い建築にたくさん出会える。
旧イギリス領事館の中にも久しぶりに入った。
入場チケットを購入すると併設されたカフェのクーポンが付いてきたので、スコーンがついたクリームティーセットを頼んだ。
ガルパン 聖グロリアーナ女学院のダー様方を思い出しながらじっくり味わいましたの。
市電のポイント切替地点となる十字街の交差点にある操車塔。
現在は電動化されて使われていないけれど、昔は人力だったんだって。
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最高おばあちゃん
歩いていると遠くに気になる建物を見つけた。
わたしね、こういう坂の上と下で高低差のある建物へ往来するために作られた渡り廊下がたまらなく好きなんだ…
平地の建物をつなぐ渡り廊下には別に興奮しないけれど、そこに高低差があるとぐっときてしまう。癖。うんうん、オーケー、私だけがわかっていればいい。
そっちへ行っていいですか、もっと近くでその姿をよく見せてください…と手前に広がっていた駐車場を横切り、渡り廊下に近づいていったところ、停めてあった車の一台から、高齢者マークをつけた函館ナンバーの車から腰の曲がったおばあちゃんが降りてきた。
なにやらこちらに向かって手を振りながら向かってくるが、(私の背後に彼女のおともだちでも居たのだろう、だいたいこういう時って相手が用事あるのって私じゃない方だからねっ、というひねくれ思想を持っているので、)おばあちゃんの方でなく気になる渡り廊下の方へ足をすすめる。
が、おばあちゃんは私の方に向かってくる。もしかして…私か…?振り返っても私以外だれも居なかった。
(ごめーーーん!つまらぬ偏屈を出さずにすぐそっちに行ってあげればよかった!
何でしょうか!?もしかしてここ立ち入り禁止でしたか!?この駐車場私有地だった!?)
小走りでおばあちゃんに駆け寄ると、(訛りが強くて一言一句の文字起こしは難しいが)「このペットボトルのキャップを開けてくれないか?開かなくて困ってたんだ、そこにちょうど若い人が通りかかったものだから」という。
なあんだ!お安い御用!
おばあちゃんから差し出されたペットボトルはガラナ(北海道のご当地炭酸飲料)だった。
なるほどね、これは普通のよりキャップが硬いわけだ。あたしに任せな〜
開けてあげたペットボトルをおばあちゃんに返すと、その場で勢いよく飲み始め、数口あとに渾身の「プハ〜〜!」を聞かせてくれた。ふたりで笑顔になっちゃった。
そして、おばあちゃん、私に向かって手の平を擦り合わせて「ひゃ〜ありがたや〜〜!」と何度も唱えてくれた。鞄から取り出したお菓子もくれた。
最高かわいいばっちゃん。
旅の思い出のひとつになりました。ありがとう。どうぞおげんきで。
やさしい人間でありたいね。
旅先での「人」との出会いが記憶に残る旅っていいよね。
後で調べたところ、この渡り廊下は函館の老舗レストラン 五島軒の建物を繋ぐものらしかった。
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谷地頭温泉
この日は晴れていたが風が強かった。陽が沈むと寒くなってくる。
そんな時はゆっくり湯に浸かりましょう。
前から行ってみたかった谷地頭温泉へ行ってみよう。
函館山の麓にある谷地頭温泉までは、市電の終点のひとつである谷地頭電停から徒歩5分。
函館にある温泉といえば、わたし個人的には無色透明の湯の川温泉のイメージが強いのだが、この谷地頭温泉は鉄分を含む茶褐色の湯色で濁りも強い。
「谷地」頭という地名からも、函館山ってむかしは火山だったんじゃないだろうな!?
そして果てしない時間をかけて北海道と陸地続きになったんじゃなかろうな!?
これ、ブラタモリでやったところだ。嬉しい〜
早速中に入っていこう。
私みたいな旅の人ももちろんいるんだろうが、圧倒的に地元民の行きつけって感じだ。いいね。
子供たちがクラスでの話とか、パート帰りっぽいおばちゃん達が仕事先の店長の話とかしてる。
脱衣所、広すぎて迷子になりそうだ。
浴場は天井が高くて開放感があり、洗い場もずらーっと並んでいて、浴槽もプールくらいあるんじゃないかというサイズ感。
どんな温泉でもそうなんだけど温泉水の泡風呂があると最高。なんか効きそうだから。谷地頭温泉にもしっかり備わっていた。きもちいい〜
露天風呂にも入ろう。浴槽が五稜郭をイメージした星形のかたちをしていた。
私が浴槽に浸かろうとした時、何故だかわからないが、先客のみなさんが星形の頂点(角)それぞれに陣取って中心を見つめており、私も自ずと最後にひとつだけ空いていた角の部分に収まるかたちになった。郷に入っては郷に従えというよね。
わたくしオタクゆえ、この構図から円卓の騎士会議(アーサー王とランスロット、ガウェイン、パーシヴァルなど)を連想してしまい、こんなの、このタイミングで登場するのなんて、円卓ならぬ星卓会議に遅れて出席する最強主人公じゃん!とひとりニコニコオタクになってしまった。
ぴかぴかのほかほかになりました。
風呂上がりには、地場の牛乳自販機があったのでそれをぐびぐびと飲み干し、温泉銭湯ここに極まれりという仕上がりになった。最高!
風邪ひかないように支度して出ます。
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ラッキーピエロチャレンジ
時刻は19時過ぎ。どこかでさくっと夜ごはん食べて宿へ戻ろうかな。
函館ご当地ハンバーガーとして有名なラッキーピエロ、これまでチャイニーズチキンバーガーのテイクアウトしかしたことが無かったので、店に入ってなんか食べてみたいな〜と思い、ラッキーピエロ マリーナ末広店へ。
ラストオーダー夜9時半までやっていてありがたい!地方の店の閉店時間の早さは常日頃、住んでいるまちで痛感している。
この店舗は広いので、待ち時間無しで一人客でもボックス席に通された。
各種ハンバーガー以外にもカレーに焼きそばにオムライスにハンバーグにソフトクリームに何でもあったが、なんとなく目についたオムライスを頼んだ。
(この先の展開を知るはずもなく席で呑気にオムライスを待つ私…)
ちょっと、あの、これ、あんまり画像では伝わらないかもしれないんですけど、想定より遥かにでっっっかいオムライスだった。
それもそのはずだ、店内のメニュー表を改めて確認するとオムライスには ”ふわとろBig” という形容詞がつけられている。
決して、私が大きいサイズを頼んだ訳でなくこれが”普通”の量だ。
しかもチャイニーズチキンも乗せちゃったし、炭酸まで一緒につけちゃった。
(noteを書いていて気がついたが、最高おばあちゃんのガラナのキャップを開けてあげた一件がここに繋がり、無意識のうちに付けてたのか!)
おい、ちょっと待ってくれ、気合い入れます。食べますよ、ひとりで完食してみせます、頼んだのは私だ、任せてください。成人女性少食タイプですが本気を出します。やる時はやります。みなさん応援してください。
結果。途中息づかいを荒げながら、時間はかかったものの米粒ひとつ残さず完食…!ごちそうさまでした、かっこよすぎる。拍手拍手の大喝采。ナイスファイト。ご声援ありがとうございます。
正直、普段のわたしの2〜3日分の食事量くらいあった。
今回のオムライス完食で自信がつきました。いや、もうこんなに一食で食べることなんて今後ないと思うけどさ…
一日外を歩き回り、坂をのぼっておりて、温泉に入り、昼食も軽く済ませた一日だった。全身の細胞がジャンキーを欲していた時だったから体中に染み渡っていった。
宿に帰ります。
鋼の心をお持ちの方はモニュメントの中心部分でブリッジしてみるのも良いだろう。
街を歩きながら、今日見てきた建物たちを思い出して考える。
なんとも素敵な古い建物だけど、住む人や過ごす人を失ってしまったのか、庭の雑草は伸び放題、ところどころ傷んでいたりする建物をいくつか見かけた。
寂しいなあ。あのまま空き家状態が長く続けば、跡形もなく元から何もなかったかのように取り壊されてしまうのだろうか。
建物が朽ちるのはあっという間だ。
古いものを保存していくためには、手間もお金もかかることはもちろんわかってはいるが…なんとも切ない。
たとえこの先なくなったとしても、自分の目で見て、確かにその建物がそこに存在していたことを憶えておきたい。
今ある姿が少しでも永く保たれるように。役割が変化しても永く人々から愛される建物として街を見守っていくために。
私はこうして現状を嘆き、時間を見つけて現地に赴き、微々たるお金をおとして帰り、こうしてSNSで自分の”好き”を放出することしかできない。ただの旅行者であるので好き勝手言ってしまっている。
建物の保全活動に取り組まれている方々には本当に頭が下がります。
函館も、歴史ある建物の内部をリノベしてホテルとして活用したりしてるところが増えているんですね、今度函館に来た時には泊まってみたい。
部屋に戻る。この日は2万5千歩あるいていた。
荷物を軽くまとめて顔を洗って寝る前の支度をして、秒で寝る。
追記 : 函館後編 五稜郭公園〜湯の川温泉 に続く。