見出し画像

太陽の空より vol.12 河村聡人

多忙によりほとんど2か月お休みいただく形となってしまいましたが、「太陽の空より」再開します。これから数回は思い出話にしようと思います。
思い出話の起点として、天文教育普及研究会2023年度若手奨励賞からお話していきしましょう。
ありがたいことにこの8月に授賞式があり、立派なトロフィーと共に本賞を頂きました。

受賞理由は 「Mitaka のカスタマイズ機能の普及および教材開発」です。Mitaka国立天文台4D2Uプロジェクト にて加藤恒彦氏(現在は立教大)中心に長年開発されてきたフリーソフトで、これまで人類が観測し てきた宇宙を再現しています。

地上から見上げる空から138億光年の宇宙の端(宇宙の晴れ上がり)まで、旅することができます。2020年よりカスタマイズ機能が実装され、(厳密にはプログラミングで はありませんが)プログラミングの様にその動作を予め規定することができるようになりました。その機能の活用と普及に対する活動が若手奨励賞として認められました。

その専門的な詳細については天文教育普及研究会の会誌 天文教育での連載などを参考にしてもらうとして、ここでは個人的な背景をお話したいと思います。

実は僕はMitakaとは20年近くの長い付き合いです。2006年、まだMitakaがベータ版だった頃だったかと思います。当時の僕はアメリカにいました。
高校を卒業してすぐ、アメリカ留学の1年目でした。
TOEFLの点数が足りず、正規の授業ではなく語学研修を受講していた頃でした。SNSは限定的で、情報は基本的に自分で取りにいかないと見つからない時代でしたので、どうやってMitakaを見つけたのか、思い返すと不思議です(もしかして1部だけ持って行ってたNewtonか?)。
物理学がしたくて渡米したのに、目の前には英語のことばかり。その中で数少ない物理学との接点となったのがMitakaでした。

その後、メインPCをMacにしたのでしばらくMitakaとは離れたのですが、ある時MikuInstaller (Wine)を入れればWindowsソフトが動くことを知り、再びMitakaで遊びだしました(多分ボイスロイドにまつわる技術的恩恵を最も大きく受けた瞬間!)。
当時はIntel Macだったのでこの手が成立しましたが、今は難しいらしいです。Macを使わなくなって10年近く立ちましたので情報に追いつけていません。どなたかMacでWindowsソフトを動かす手段をご存知でしたら情報をご共有ください。日本の天文コミュニティがかなり喜びます。 閑話休題。

米国で修士まで取得した後、京大の博士課程に移りました。学位取得とまではいかなかったのですが(そして早く学位取れと方々から言われているのですが)、Mitakaとの縁は一気に深まりました。
京大の花山天文台に3D眼鏡を使用したMitaka上映設備があり、また小中学校での出前授業やサイエンスカフェ、観望会などでのアウトリーチ活動の機会が増えたことが理由です。
特に昼間に 行うしかない学校での出前授業や雨天時の観望会では、Mitakaは今夜の星空や宇宙の広がりを紹介する重要な手段となっています。
天文教育普及研究会の2019年の年会にて、当時リリース間近のMitakaカスタマイズ機能についての紹介があり、またそのカスタマイズ機能の普及のためのワーキンググループの紹介が続き、その場で同ワーキンググループへの参加を決意しました。
それからの活動を評価いただき、今回の若手奨励賞受賞となりました。ワーキンググループ参加後の活動についてはこれから出版される年会収録(一定期間が経てば無料公開されるはずです)に載るのでここでは割愛とさせていただきます。
ちなみに同時受賞の星見まどかさんもこの年会が活動のきっかけなのだとか(発表資料)。石の上にも3年というか、こうやって巨人の肩に乗っていくのだなぁとしみじみと。

さて、これからの連載における思い出話ですが、このMitakaとの付き合いの約20年間におけるハイライトを、特に米国時代を中心に行いたいと思います。必ずしも宇宙の話にはなりませんが、お付き合 いいただければありがたいです。

河村聡人(かわむら あきと)
アラバマ州立大学ハンツビル校卒(学士・修士)、京都大学大学院退学。太陽・太陽圏物理学が本来の専 門。最近は地球観測も。天文教育普及研究会2023年度若手奨励賞受賞。8月頃から忙しすぎて記憶が 怪しい。。。

いいなと思ったら応援しよう!