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中学時代、私立校へ通っていた麻美さん。彼女には朋子という同級生がいた。
クラスでも目立つ存在で、常に中心にいた。
中学の入学卒業まで、麻美さんは彼女とクラスが一緒だった。
けれど消極的な麻美さんは、関わりを持たなかったそうだ。
それから数年が経過し、成人式のため中学のクラス会が行われた。
当時の担任やクラスメイトと昔話に花を咲かせる。けれど彼女が見当たらない。
「朋子」だ。こういった場には必ずいるはずの彼女がいない。そんなことに驚いた。
他のクラスメイトも朋子の話題を出す。
「今日なんで朋子来てないの?」
「仕事だろ?」「誰か誘ったか?」
「誰かしら誘うと思って」
「先生覚えてるよね?」
「あぁ忘れるわけないだろ」そんな問答が続いた。
けれど連絡先を誰も知らない。周囲がざわつき始めたが、次第に落ち着きを取り戻した。そのうち朋子の話で盛り上がる。学園祭、修学旅行、体育祭。
イベントには必ず朋子が中心だったからだ。
クラス会は無事に終わり、麻美さんは楽しい気持ちのまま帰宅する。
自宅でふと彼女を懐かしく思い、卒業アルバムを開いた。思わず視線を右往左往させる。(いない...)朋子がどこにも見当たらないのだ。アルバムの隅から隅まで見ても。
すると何人ものクラスメイトから麻美さんに連絡が届いた。
皆同じことを言葉にする「朋子がいない」
記憶にはっきり残っている朋子。
けれど結局、目に見える物で証明することは出来なかった。
それから麻美さん達の間で、「朋子」という名を口にする者は居なくなったそうだ。

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